★2017年版中小企業白書を拾い読みしました。

「当該年度および翌年度に講じた若しくは講じる中小企業施策」がなくなる。あまり有用ではなかったようだが知ろうとすればWebサイトのみになるのは、生産性の低下?   「白書を信じていいのか?」今年度は辛口で読んでみた。


副題 中小企業のライフサイクル −次世代への継承−

  

第1部 ★平成28(2016)年度の中小企業の動向
第1章 中小企業の現状
第1節 我が国経済の現状
第2節 中小企業の現状
 回復傾向にある。
第2章 中小企業のライフサイクルと生産性
第1節 開廃業

 

この6年間を見ると、中規模企業は開業数が廃業数を上回る。 大企業と中規模企業の従業者数が増加しているが、小規模企業の従業者は減少している。まさに「大・中が小を食っている」。 宿泊業、飲食サービス業の開業が最も多い。新陳代謝が分かる第1-2-9図、 また、黒字・高い利益率でも廃業している。(その93%が従業員20人以下、その中の80%が5人まで。)
第2節 中小企業のライフサイクルと生産性

 

2003年から2013年までの企業財務データから3期に分けて、労働生産性の上昇率を「TFPの上昇率+資本分配率×資本装備率」とし、その変化要因を各効果(★参考1)に分けて分析する。 ただ、この11年間はリーマンショックを挟む変化の見える期間だが、期間のわけ方の説明がない。誇張?恣意?
第1-2-25図を見れば、大企業はリーマンショック後に立ち直れているが中小企業はそうではない。それは、第1-2-26図より特に小規模企業のショックが大きかったことと読めるようだ。 図をよく見れば、中小企業の廃業を大きく改善できれば(廃業を大きく改善するだけで)日本経済は確実に良くなるとも読める。 中小企業は、従業者数の減少によって労働生産性が上昇していた。 3節のまとめは「生産性が高いのに倒産している」と読める。
第3章 中小企業の雇用環境と人手不足の現状
第1節 我が国の雇用環境

 

就業率が増加しているのは、女性のM字年齢層で労働参加が進む。 完全失業率を、構造的失業率(均衡失業)と景気変動の失業率(需要不足失業率)に分けて分析する。パートなど
第2節 中小企業の雇用環境
大企業と中小企業の賃金格差は20年経っても変わっていない。1-3-16図
 
第2部 中小企業のライフサイクル
第1章 起業・創業

 

第1節 我が国の起業の実態
起業希望者、起業準備者は減少傾向にある。また、起業家、起業準備者、起業希望者の平均年齢は高齢化している。 そんな中で国際比較するなど実態と課題を探る。

 

第2節 起業に至るまでの実態と課題
2016年の調査で、18,000人の77.7%(約14,000人)が起業無関心者であるが、その中の7割に「起業に対するイメージ」を聞き、マイナスのイメージを持っている割合が高いとする。
社会的に新陳代謝が重要で起業の役割は理解できるものの、起業しようとする個人のメリットや事情が示されていない。 また、8割近い人が起業に無関心なのに、関心がある2割の人にのみ向けて分析されている。つまり、関心がある人のみを見つめ、施策や支援方法、法律・制度の在り方を問うている。

 

第3節 起業後の実態と課題
第2-1-37図で示し、創業後5年以上10年以内の約3,000社のアンケート回答を、高成長型、安定成長型、持続成長型(★参考2)を、創業期、成長初期、安定・拡大期(★参考2)の段階で分析する。 成長タイプ別の直面する課題を第2-1-51図で示す。 但し、就業経験なしが4%、子会社又は関連会社として起業した人が1割存在する。つまり、事業承継もかなり含まれる?
起業後の成長:タイプ別段階別の@最も多い課題、A販路拡大

 

第2章 事業の承継

 

第1節 事業承継に関する準備状況及び課題
中小企業・小規模事業者の事業承継について、「経営の引き継ぎ」と「資産の引継ぎ」に分けて分析する。 つまり、人の引き継ぎと物の引き継ぎであるが、知的財産は人の引き継ぎのようだ。 東京商工リサーチの企業データやアンケート結果をもとに行うが、個人事業者が多い小規模事業者と、中規模企業の事業承継の背景や課題は異なるのではないか。 2014年白書でも取り上げている。

 

第2節 事業の譲渡・売却・統合(M&A)や廃業に関する検討状況及び課題
事業の譲渡・売却・統合や廃業に関する分析を付加している。
「個々の企業によって様々な事情があり、それに応じた最適な方法を探していく必要がある」 「早期の準備が必要で、身近な公認会計士、税理士、取引金融機関、商工会・商工会議所等に相談せよ」としている。

 

第3章 新事業展開の促進

 

第1節 新事業展開の重要性、第2節 新事業展開への取組及び成否の実態
中小企業の継続的成長のためにアンゾフを参考に、@市場浸透、A新市場開拓、B新製品開発、C多角化、D事業転換 をあげ、その中で最も判断が困難とされている事業転換について分析する(第2-3-1図)。
実施状況と課題
およそ3750社からの回答報告で、事業転換を実施していないのは95%。「必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足している」「特に課題はない」
課題として、市場ニーズの把握、情報発信、自社の強みの活用が多いとする(第2-3-12図)。 また、研究開発に外部資源の活用(オープンイノベーション)をすすめる。

 

第3節 中小企業における新事業展開の成功要因
マーケティング活動として、自社の強みの把握、市場ニーズの把握、自社の製品・サービスのPR活動、これらの評価分析の4つを一貫した実施を目指すこと。
「新規顧客の獲得」のために「情報戦略活動の実施」が好影響している(第2-3-33図)、オープンイノベーションの活用。

 

第4節 新たな潮流
第四次産業革命や新技術活用、さらにシェアリングエコノミーについて記述する。 ★page389の一読をすすめる

 

第4章 人材不足の克服

 

第1節 人材不足の状況とその影響
人材を「中核人材」と「労働人材」の2つに区分して、7つの業務領域に分けて実態を明らかにする。

 

第2節 人材確保の状況
「中核人材」と「労働人材」に分けて分析する。更に年齢層も考慮する。 採用活動について求職者と中小企業とに違いがあるのか分析する。
採用手段のミスマッチ……ハローワークはどちらも認識が高いが、求職者の年齢が低いほど「就職ポータルサイト」を認識している。
情報のミスマッチ……中小企業が思うほど「沿革・経営理念・社風」や「技術力・サービス力・社会的意義」重要視していない。
情報伝達・獲得手段のミスマッチ……情報獲得手段は「各種の求人広告」
人材の定着
中小企業における人材の定着のためには、社内制度の整備とともに、雰囲気のいい職場づくりに努めて就業の満足度を高めること。

 

第3節 多様な人材の活用と柔軟な働き方
この10年間に女性・シニアとも雇用者数が増加しているものの、今後の就業を展望すると供給源としての余地が大きいとは言えない。 就業希望がある無業者は1,000万人以上いて、600万人いる非求職者の労働参加に期待したい。 そこで、労働参加が低かった要因分析をする。女性の時間や場所の制約を緩和したり、シニアの経験・技能を活かした職務への配置などが求められる。
多様な人材の活用と多様な人材の活用をするための柔軟な働き方
今までの女性やシニアに外国人や障がい者を加えて多様な人材として考える。 管理職の意識、従業員間の融和などが課題となる。また、柔軟な働き方のためには職場環境の整備、業務プロセスの見える化の取り組みが必要とする。

 

第4節 人材不足を前提とした企業の取組
人材不足のために、機械化・IT導入、外部リソースの活用等を考える。
製造業務委託以外の業務プロセスのアウトソーシングについて分析する。 業務領域は「バックオフィス業務」と「専門業務」に分け、中小企業の利用の少ない「専門業務」は何か。成長・拡大指向企業は特に「デザイン・商品企画」「調査・マーケティング」の必要性が増えたという。
さらにクラウドソーシングなども紹介しながら人材不足克服の可能性を探る。ただ、アウトソーシングの課題は、利用を検討中の企業は費用対効果が不明と感じるので、効果測定が重要とする。 専門業務のアウトソーシングの活用をすべきだが、目指すべき方向性や事業の戦略を見極めつつ、@自社の強みを伸ばすためにコアの補完のためか、A自社従業員を定型業務から高付加価値の業務に集中させるかを考えたい。

 

 

 

生産性水準への影響  労働生産性などについて(詳細はp42欄外にも)
一定期間の企業の財務データから生産性の上昇率を計測し、存続企業の変化にどのように寄与したかを確認する。
 内部効果……存続企業の生産性の水準の変化にどのように寄与したか
 再配分効果……存続企業の市場シェアの変化にどのように寄与したか
 参入効果……開業企業の市場参入による寄与
 倒産効果……倒産企業の市場退出による寄与
 廃業効果……廃業企業の市場退出による寄与
 業種転換効果……存続企業の業種転換による寄与

パートなど(雇用環境より)
 常用(パートタイムを除く)……雇用契約で、雇用期間の定めがないか又は4カ月以上の雇用期間が定められている者のうち、パートタイムを除く者を指す
 常用パートタイム……週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用されている通常の労働者の1週間の所定労働時間に比して短い者のうち、雇用期間の定めがないか、又は4カ月以上の雇用期間によって就労する者を指す
 臨時……雇用契約で、1か月以上4か月未満の雇用契約期間が定められている仕事を指し
 季節……季節的な労働需要に対し、又は季節的な余暇を利用して一定の期間(4か月未満、4か月以上の別を問わない)を定めて就労する者を指す。

起業後成長のタイプ
 高成長型……新興市場に上場した企業以上の売上高伸び率(規模変化は不問)
 安定成長型……中小企業基本法の企業規模が創業期に比べて拡大した
 持続成長型……中小企業基本法の企業規模が創業期に比べて変化していない、縮小した

起業後の段階
 創業期……本業の製品・商品・サービスによる売上がない段階
 成長初期……売上が計上されているが、営業利益がまだ黒字化していない段階
 安定・拡大期……売上が計上され、少なくとも1期は営業利益が黒字化した段階

事業転換……既存の事業を縮小・廃止しつつ、新市場で新製品・サービスを展開


 

辛口の視点
p146の2-1-37図で、各型の円の大きさをn数で表現してもらいたい。
p148の2-1-39図は、n数の合計が合わない。
p157の2-1-48図を見る限り、起業と承継が混じっているのではないか。
p158のコラムでは、ソーシャルビジネスの起業は特定非営利活動法人の起業割合が高い。
p169の第2-1-49図は全体が2,890になっているが、その後の集計では上下している。なぜ?

 

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