会計部分の学習ノート表紙

             −目 次−  凡例:[page]

1.簿記の基礎………………………………………………………………………………………………1
   (1) 簿記原理[1]
   (2) 会計帳簿[3]
   (3) 決算処理一巡[4]
     試算表・精算表の作成
     決算仕訳貸借対照表・損益計算書の作成

2.企業会計の基礎………………………………………………………………………………………9
	(1) 損益計算書[9]
		収益の会計、費用の会計
	(2) 貸借対照表[11]
		資産の会計、負債の会計、純資産の会計
	(3) キャッシュフロー計算書[17] ※キャッシュフロー関係は「財務」です。
	(4) 企業結合[17]
		合併・分割、連結決算
	(5) 会計ディスクロージャー[18]
	(6) 税効果会計[19]

3.原価計算…………………………………………………………………………………………………21
	(1) 原価概念[21]
	(2) 原価計算の種類と方法[23]

4.経営分析…………………………………………………………………………………………………27
	(1) 経営比率分析[27]
		収益性、流動性、生産性、成長性
	(2) 損益分岐点分析[31]
	(3) 利益増減分析[32]

5.利益と資金の管理………………………………………………………………………………………33
	(1) 利益計画[33]
		限界利益と貢献利益、プロダクト・ミックス
	(2) 予算・実績差異分析[34]
	(3) 資金繰りと資金計画[34]

参考図書
リンクの参考資料	p1〜p9
※過去問題へのリンク文の「★」は計算問題を示す。
※H27年第9問キャッシュ・フローの減少額……は、財務の方になります。
1.簿記の基礎 (1)簿記原理 商取引の財務諸表ができるまで 日々の取引……商取引を伝票類に記録 → 仕訳帳に仕訳する → 総勘定元帳へ転記する 月末・期末……総勘定元帳より試算表を作成→棚卸の実施→各種処理→精算表作成→財務諸表作成 ※コンピューターによる処理も原則同じ。 ※伝票類は、「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の方式と、「売上伝票」「仕入伝票」を加えた方式がある。   ある販売業者(M社)で次のような取引があった。  8月8日 A社に商品Pを50,000円で掛売りした。  9月10日 A社より8月8日売上の代金50,000円が振り込まれた。 これらの取引は、仕訳帳に以下のように記録されている。  8月8日 A社へ 売上 50,000円  売掛発生 50,000円  9月10日 A社より入金 50,000円  売掛消滅 50,000円 この仕訳を文章形式で表すと    (借) 売掛金 50,000  (貸) 売 上 50,000  (8月8日の取引)    (借) 預 金 50,000  (貸) 売掛金 50,000  (9月10日の取引) となる。ここで、「(借)」は借方への記帳、「(貸)」は貸方への記帳を示し、8/8の取引は、売掛金勘定の借方に50,000、売上勘定の貸方に50,000 と記録されていることを表す。 取引の二面性借方の要素(資産の増加、負債の減少、純資産の減少、費用の発生)と貸方の要素(資産の減少、負債の増加、純資産の増加、収益の発生)の組み合わせになる。  所在地は事前に明らか……売掛金(の増加)は借方、売上(の増加)は貸方と決まっている。 【過去問H17-2:★仕入帳】   簿記は「天秤の働き」 新バランス ー莪を相対する科目の借方・貸方という所在に分けて記録する。 ⊆敲の重さ(合計金額)と借方の重さ(合計金額)はいつも天秤のように釣り合う。貸借平均原理 仕訳した内容は勘定科目ごとに分類して、取引の要素別に集約する。 つ蟯的にすべての科目を集合させて「試算表」つくると、財務状況が見えてくる。 ※取引簿記上の取引とは、資産・負債・資本の移動を伴うもの(債権や債務の移転を含む)で、「受注した」や「契約を結んだ」だけでは取引の対象にならない。また、災害を受けて損害が生じた場合は取引になる。【過去問H17-1:簿記上の取引】  
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要素の所在地 取引要素    <借方>     <貸方>    資産の増加   資産の減少    負債の減少   負債の増加    純資産の減少  純資産の増加    費用の発生   収益の発生   留意すべき勘定科目  未収金と未払金営業活動以外の売買取引で、受取りまたは支払いが後日になる場合。 例:「余剰の備品を売却したが、代金は月末に振り込まれる。」ときの売り手側は未収金で、買い手側は未払金で仕訳する。この場合、売却時に売り手には債権が、買い手には債務が生じる。[H29-2]参照 ただし、主たる営業活動で生じる後日の受取りや支払いは「売掛金」「買掛金」で処理する。  前払金と前受金営業活動で手付金や内金など代金の一部を事前に支払う場合、支払った側は債権として前払金を、受取った側は債務として前受金を設ける。  立替金と預り金一時的に現金を立替払いしたときに立替金を、預っておいて(まとめて)支払う場合に預り金を使う。  仮払金と仮受金金額や内容が確定しないため概算で支払うときに仮払金を用いる。出張旅費などで使い、明確になれば精算を要す。他方、金額や内容が不明の(現金・預金の)受取り時には仮受金を使う。 割引について 峪兎割引」は収益勘定(貸方)で、費用ではない。◆崘箴絣箘」は費用勘定(借方)で、収益ではない。 売上割引……売掛金の決済が期限より早くなった場合、相手方に返す。営業外費用に相当 仕入割引……買掛金の決済を期限より早く行った場合、買入先からの戻り。営業外収益に相当 ※何れも「割引」であることに注意(「値引き」ではない) 売上戻り……いわゆる「返品」によって売上額から控除すること。   ※貸借平均原理複式簿記において、借方記入額と貸方記入額とが一致する関係が成立する。 H25-1:★簿記原理(伝票式会計) H26-1:簿記原理(帳簿組織) H26-2:★簿記原理(売上割戻) H27-5:★簿記原理(仕訳:支払手形)  
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(2)会計帳簿 計算書類商人に課せられた計算書類(会計書類に相当、商人は計算書類の作成を義務付けられている。) ○商法第19条第2項:正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表) 商人が営業と財産の状況をあきらかにするために必要な帳簿で、商業帳簿によって貸借対照表を作成すること。 商法19条2項、商法施行規則6〜8条に貸借対照表の原則・作成・区分がある。 ○会社法第435条第2項:各事業年度に係る計算書類 貸借対照表、損益計算書、その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なもの 計算書類の作成と公告を義務づけている。計算書類は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表。 会計帳簿の定義は見当たらないが、計算書類を作成するのに必要不可欠な主要簿(仕訳帳と総勘定元帳)と補助簿(現金出納帳、仕入帳、売上帳など)を示すものと考えられる。 計算書類の役割 計算書類は、財政状況や事業活動の報告を行う面と、計算書類の受け手が意思決定を行う面をもつ。また、法による目的は、債権者保護(商法)又は株主保護(会社法)であり、投資家保護(金融商品取引法)あるいは課税の公正(税法)などである。 H25-2:★会計帳簿(剰余金の残高) H26-4:★支店分散計算制度 H27-2:★本支店会計(本店集中計算) H29-3:★会計帳簿(剰余金分配可能額)   試算表イメージ  
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(3)決算処理一巡 決算処理一巡(決算整理仕訳)……試算表の作成→棚卸帳の作成→決算整理手続き→財務諸表の作成 (イ)試算表・精算表の作成 試算表総勘定元帳の勘定科目の合計や残高を集合させた表で、期末確定前のため試算表である。期末あるいは定期的に作成する。 役割は総勘定元帳への転記が正しく行われたかどうかを確かめ、財産の状況を概観でき、財務諸表の作成資料になる。3種類ある。  合計試算表元帳の借方合計金額と貸方合計金額を記入する。元帳記録の検証に最適。  残高試算表元帳の借方と貸方の金額の差額の多い方を記入する。通常は科目によって貸借位置が明確になっている。  合計残高試算表元帳の借方合計金額と貸方合計金額および差額を記入する。合計の貸借を一致させてから残高の貸借を一致させることで仕訳合計と一致するか確認できる。 精算表残高試算表に損益計算書と貸借対照表を作成する計算プロセスを加えた表。 精算表の列タイトルは、〇長盪郢刺宗楝傘弖彁蚕顱楝濕畋仂班宗↓∋長盪郢刺宗椽だ亀入+損益計算書+貸借対照表、の2種類ある。 ,蓮孱況綫沙刺宗廚如↓△蓮孱厳綫沙刺宗廚箸い錣譟∋邯海暴个討る精算表の多くは8桁精算表である。  決算整理仕訳処理後は、精算表の損益計算書では、借方合計と貸方合計の差額が当期純損益となり、純利益なら借方に純損失なら貸方に示される(ここでも貸借平均原理)。「損益法」といわれる。  同じく精算表の貸借対照表では、借方合計と貸方合計の差額が当期純損益となり、純利益なら貸方に純損失なら借方に示される(ここでも貸借平均原理)。  この貸借対照表では、期首純資産額と期末純資産額の差額が当期純損益にあたる。「財産法」といわれる。  ※損益法の純損益と財産法の純損益は同じ金額になるが、「包括利益」を導入すると一致しない場合が生じる。 <精算表のサンプル 【過去問H19-2:★決算処理一巡(精算表)】 【過去問H16-2:★精算表】 H28-1:★[決算処理一巡]売上原価算出 H28-5:★[決算処理一巡]設問1:期末の資本金、設問2:期末の繰越剰余金 H29-1:★決算処理一巡(期末商品) H29-2:★決算処理一巡(未収利息)  
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(ロ)決算仕訳 決算処理 帳簿を締切り次の手続を行う。 ’箴絽恐舛粒猟蝓帖調末繰越商品を確認して売上原価を確定する(期首たな卸資産の仕訳)。 当期純仕入高に期首商品たな卸高を加え、期末商品たな卸高を控除して算出。そのため、「棚卸」が必要になる。仕訳では、期首及び期末の商品たな卸高を「繰越商品」としている。  仕訳:(借) 仕  入 xx (貸) 繰越商品 xx     (借) 繰越商品 xx (貸) 仕  入 xx 減価償却の計上(資本設備に対して毎期費用配分する)  既定の償却法(定額法または定率法)によって減価償却費を計算する。どちらの方法も、取得価額から減価償却累計額を除いた残りを期末の評価額とする。  (借)減価償却費 xx (貸) 機械設備減価償却累計費 xx 債権・債務の見直し期末時点の未収金および未払金を確定するほか、「繰延資産の償却」「仮払金の精算・仮受金の内容判明」 じ越し・繰延べ当期に帰属しない又は長期に渡る費用・収益をみつけて、前払い費用・未払費用又は未収収益・前受収益を計上する。経過勘定といわれる。  (借) 前払保険料 xx   (貸) 支払保険料 xx グ当金の設定……貸倒引当金等の引当て額を算出する。他にも退職給付引当金等がある。  (借) 貸倒引当金繰入 xx (貸) 貸倒引当金 xx 税金の算出……消費税も含めて税額を計算。 有価証券の評価  「有価証券の評価」を参照。 ┯酋癲ν其發硫疉埖修正  「現金・預金の過不足修正」を参照   計算関係の要点 (a)売上原価の確定(棚卸仕訳手順)……小売業のケースとして。 期首のたな卸商品(たな卸資産の一部)に当期の仕入高を加えて、期末たな卸商品有高を減じたものが売上原価になる。 売上原価=期首たな卸商品+当期仕入高−期末たな卸商品 売上原価の算出 3分法(仕入、売上、繰越商品の3勘定で処理する)の仕訳手順 ・期首繰越商品を仕入勘定(借方)へ振り替え、期末繰越商品有高(仕入勘定の(借方))を繰越商品(貸方)へ振り替え仕訳する。 ・仕入勘定の(貸方)の差額は売上原価なので損益勘定(借方)へ振り替える ・売上の(借方)[純売上]を損益勘定(貸方)へ振り替える   (b)たな卸資産 棚卸期末のたな卸資産有高を確認して棚卸表を作成する。たな卸資産は商品、材料、消耗品、備品のほか現金、預金、貸付金などすべての資産が対象になる。 期末の有高は基準にしている評価法で算出するが、員数が帳簿と合わない場合や原価が実勢と大きく異なるときは、たな卸減耗損を計上する仕訳が生じる。 棚卸減耗損……棚卸減耗損=原価×(帳簿棚卸数量−実地棚卸数量)   (貸) 棚卸減耗損費 xx  (借) 繰越商品 xx 商品評価損……低価法の商品評価損=(原価−時価)×実地棚卸数量   (貸) 商品評価損  xx  (借) 繰越商品 xx ※両者を(正常な範囲であれば)売上原価に含める場合と、棚卸減耗損を販売費に含め、商品評価損を営業外費用に含める2通りがある。 ※棚卸は、帳簿棚卸法または実地棚卸法で確定する。  
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(c)減価償却 減価償却とは固定資産の時間経過による価値の減少を期間費用として配分する手続で、減価償却費として処理する。ただし土地は対象としない。 減価償却資産の評価取得翌年度の資産価値は、「取得価額−前年度減価償却費」となり、毎期逓減していく。 減価償却費の計算方法 定額法……毎期同じ額を償却していく。 定率法……毎期、残存価額(未償却残価)に同じ償却率を乗じた減価償却額を償却する。 ※2007(平成19)年税法の改正で新旧定額法と新旧定率法に分かれている。残存価額を備忘価格(1円)にして身軽になる減価償却の方法を採り入れた。<減価償却費の計算 減価償却費=取得原価÷耐用年数 で求め、償却可能限度額と残存価額は廃止。 償却限度額=取得原価×定額法の償却率 ※定額法の償却率=1÷耐用年数 ※固定資産を使用しているときの処理 固定資産の価値を高める支出は「資本的支出」とみなして取得原価に加算する。他方固定資産の損傷等による修理などは固定資産の価値を高めるものでないので「収益的支出」として費用として処理する。   (d)引当金の設定(貸倒れの引当てとして) 貸倒引当金等の引当て額を算出する。  金銭債権の貸倒れに備えるために貸倒引当金を設定する。売掛金や受取手形の金銭債権を次期に繰越す場合、予想される回収不可能額を見積もって貸倒引当金を繰り入れる。設定方法は、実績率法または差額補充法が用いられる。  過去の実績から見積もる方法(実績率法)と、前期からの貸倒引当金残高を伴う場合は残高に不足分を追加設定する方法(差額補充法)である。 貸倒損失……取引先の倒産等で金銭債権が回収不可能になった場合の処理 ‖濺欅当金を設定していて、残高がある場合は、貸倒引当金と相殺できるので当期に貸倒損失を計上しなくてもよい(損失額より引当残額が大きい場合)。引当残額で不足する場合は不足分を計上する。  (借) 貸倒引当金  200,000  (貸) 売掛金  200,000 貸倒引当金を設定していない場合は、  (借) 貸倒損失   200,000  (貸) 売掛金  200,000 債権別の算定(取引先の経営状況によって算定方法が異なる貸倒引当金) (a) 大きな不安がない企業向け債権で「一般債権」として過去の貸倒実績率を基に計算。(b) (c) 。 (b) 破綻していないが支払い遅延などが生じている債権を「貸倒懸念債権」として、〆睫各睛読床阻(担保等で回収できる金額を控除してから算定)、▲ャッシュ・フロー見積り法 の2つ。 (c) 破綻状態にある「破産更生債権等」で、担保・債務保証を除く全額。   (e)税金の算出 費用とならない税金(所得税、住民税、消費税など)について、予想される確定所得をもとに支払分から不足分を算出する。 消費税は、届け出による計算方法に従い算出する。前々期の売上高1,000万円以上が該当する。  
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(f)有価証券の評価 有価証券の評価法 原価法取得原価を基本とする。売却を目的としない長期保有の評価法で、子会社株式などが該当する。 時価法期末ごとに市場価格(時価)に修正する。短期保有による売却を前提としたもので、売買目的有価証券が該当する。  強制時価評価市場価格のある満期保有の債券、子会社・関連会社株式、その他有価証券の著しい下落(取得原価の50%以上下落)  実価法市場価格のない株式の低下 純資産÷株式数で取得時との比較 目的別の評価 有価証券を目的別に分類して、評価基準を設定している。「満期保有目的有価証券」は取得原価で評価し、「売買目的有価証券」は時価で評価して評価差額は損益計算書に計上する。関係会社株式のうち子会社株式は取得原価で、関連会社株式も取得原価で評価する。評価差額が生じる場合は合計額を純資産の部に計上する。なお、売買目的有価証券は償還期限が事実上存在しないので1年基準が適用され流動資産に計上する。  売買目的有価証券保有したままで期末を迎えた場合、時価で評価して差額を評価損益として計上する。  満期保有有価証券満期まで保有する有価証券及び子会社株式・関連会社株式は、満期まで保有(売却しない株式)すると考えられ、取得原価(償却原価法)で表示する。  子会社・関連会社株式持ち合い株式が相当し、取得原価で評価する(純資産の部に評価差額の計上も)。  その他有価証券その他有価証券で、時価で評価する。 国際基準との共通化検討:広く金融商品に拡大  時価で計上時価・公正価格で評価する。非上場株式に評価の課題あり  償却原価で計上主に満期保有などの有価証券で、取得原価で評価する。   (g)現金・預金の過不足修正 帳簿上の残高と実際の有高が異なる場合、現金過不足勘定にて処理し、判明した場合は適宜処理する。 決算日になっても判明しない残高がある場合、現金過不足勘定の借方残高であれば雑損(費用)で、貸方残高であれば雑益(収益)として処理する。 【過去問H18-2:★現金過不足】   H27-1:★簿記原理(売上原価) H27-3:★決算処理(当座預金残高) H28-2:[簿記原理]「売上控除」  
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(ハ)貸借対照表・損益計算書の作成 財務諸表は貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)等で構成される。 貸借対照表  <貸借対照表 一定時点(事業年度末日)の企業の財政状態(ストック)を示すもので、借方に資産を、貸方に負債・純資産を記載し、それらの差額(貸借平均原理)が当期純利益になる。 精算表から得られる貸借対照表でみると、基本的な資産・負債・純資産の科目に、決算整理仕訳の項目が追加される。 資産項目の構成 流動資産……現金預金、売買目的有価証券、受取手形、売掛金、たな卸資産 ほか 固定資産……有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産 ほか 繰延資産……株式交付費、社債発行費等、創立費、開業費、開発費の5つ。 負債項目の構成 流動負債……支払手形、買掛金、引当金、短期借入金 ほか 固定負債……社債、長期借入金、退職給付引当金 ほか 純資産項目の構成 株主資本……資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式 ほか 評価・換算差額等……その他有価証券評価差額金 ほか 新株予約権……ストックオプション、自己株式予約権等 ※会計基準をベースに会社法様式を加えた。勘定科目はJISでも規定されている(JIS X4085)。   損益計算書  <損益計算書 一定期間(事業年度中)における企業の営業成績(フロー)を示すもので、すべての収益と対応するすべての費用を記載して経常利益を表示し、特別損益を加減して当期純利益表示する。損益計算書の当期純利益は当然ながら貸借対照表のそれと同じ金額になる。 精算表から得られる損益計算書でみると、売上である収益からそれを実現するために要した仕入、給料等の費用を差し引いて営業損益を導き、支払利息や受取利息等の営業外損益を加減して経常損益を、さらに特別損益を加減して純損益を導く。 損益計算書の表示 営業損益計算……収益、費用を計算 経常損益計算……営業損益計算から利息・割引料、有価証券売却損を記載して経常利益を計算 純損益計算……経常損益計算から特別損益を記載して当期純利益を計算   【過去問H19-1:★簿記の基礎(横に並べた財務諸表)】 【過去問H18-1:★期末財務諸表】  
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2.企業会計の基礎 企業会計の基礎 貸借対照表や損益計算書を作成する場合、「一般に公正妥当と認められた会計原則」に準拠しなければならない。この会計原則が「企業会計原則」である。 企業会計原則  企業会計原則は、一般原則、損益計算書原則及び貸借対照表原則の三つで構成する。  一般原則は、真実性の原則、正規の簿記の原則、資本取引・損益取引区分の原則、明瞭性の原則、継続性の原則、保守主義の原則及び単一性の原則の七つからなる。この中の「保守主義の原則」とは、企業財政に不利な影響を及ぼす恐れがある場合には、これに備えて健全な会計処理をしなければならない、こと。<七つの会計原則  損益計算書原則は、発生主義の原則、総額主義の原則及び費用収益対応の原則のほか、損益計算書の区分や各種損益を規定している。  貸借対照表原則は、貸借対照表の記載内容、区分、配列及び分類等からなる。簿外の資産・負債は貸借対照表の記載外としている。  また、「企業会計原則注解」にて具体的に注解している。   【過去問H19-3:収益の会計(経過勘定:前受収益)】 【過去問H18-3:収益の認識】 【過去問H19-4:費用の会計(役員賞与の会計処理)】 H21-3:★貸借対照表(有価証券の評価)】 【過去問H18-4:★有価証券の評価】 H27-4:★準備金の積み立てと配当原資 H29-5:企業会計の基礎(企業会計原則)   (1)損益計算書 一定期間の収益と費用の動き(フロー)をまとめたものが損益計算書。期間の損益が直感的に判る。 構造は営業損益計算、経常損益計算および純損益計算の3段階で構成される。 損益計算書原則 発生主義「すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない。」  経過勘定「前払費用及び前受収益は、これを当期の損益計算から除外し、未払費用及び未収収益は、当期の損益計算に計上しなければならない。」
購入時点と消費時点が異なるとき残高とする。々愼し、経過後消費:「繰延べ」、⊂暖颪掘経過後購入:「繰上げ」又は「見越し」
総額主義「費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによって(中略)損益計算書から除去してはならない。」 費用収益対応の原則「費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に記載し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。」  
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(イ)収益の会計 ○収益 「純資産を増加させる原因となることがら」  売上高の計上基準 売上高は実現主義の原則に従い、商品等の販売または役務の提供によって実現したものに限る。ただし、長期の工事等については合理的に見積る。  実現とは対価の受取りが確実になったことを収益の実現といい、この時点で計上する。商品等の販売の場合は引渡し時(引渡基準:発送または引渡し)、役務の提供の場合は確認(検収や検針など)時、あるいは一定の時間などで実現したとする。 収益の認識  売買契約成立から代金の受領までの間では「引渡し」が収益の認識となり、妥当な時点を選定して継続的に適用することとなる。つまり、製造業で多い出荷時点であり、小売業で多い販売時点が該当する。  しかし、特殊販売収益として4つのケースの認識時点を扱っている。^兮販売は、受託者が委託品を販売した時点、∋醉冏稜笋蓮買い取りの意思表示をした時点、M縮麋稜笋蓮決算日までに商品の引渡または役務の給付が完了した分だけ当期売上高として計上し、残額は前受金等で負債の部に記載して次期に繰り延べる(例:雑誌の年間購読など)、こ簓衄稜笋蓮⊂ι覆魄き渡した日とするが、引渡後も費用が生じたり貸倒の可能性があるので、割賦金の回収期限到来の日または入金の日を収益実現の日とできる。 工事収益の計上方法 H29-4:★損益計算書(進行基準)   (ロ)費用の会計 ○費用 「純資産を減少させることがら」  費用は、価値の費消であるが、収益を獲得する目的のためになされたもの。 配分法適用の対象たな卸資産、固定資産、繰延資産等の費用性資産(過去の支出だが具体的に財貨費消を把握できない)に対して、配分する。 見積法適用の対象将来の支出又は損失に備えて当該年度に負担する引当に対して、実際に発生する額が最小となる引当金を見積もる。 支出基準適用の対象支出がすぐに費用となる対象で、営業費及び電気・ガス等を対象とする。 営業損益営業活動により生ずる費用及び収益の差額として、営業利益を算出する。 経常損益営業損益から、利息・割引料・有価証券売却損益・その他営業活動以外の原因から生ずる損益で特別損益に属さないものを計算し、経常利益を算出する。輸出入がある場合は「為替差損益」、子会社からの利益は「持ち分法投資損益」もある。 純損益経常損益から、固定資産売却損益・前期損益修正額等(特別損益)を計算し、当期純利益を算出する。  特別損益[彁損益:有形固定資産売却損益、災害損失 ∩梓損益修正:減価償却の過不足修正額(償却方法変更などで)、過年度償却債権取立額(貸倒処理した債権が回収できた)等。  
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(2)貸借対照表 貸借対照表原則 記載目的特定日における財政の状態を記載し、利害関係者に正しく表示するもの。重要な事項は注記すること。 基準原則区分は資産の部・負債の部・資本の部とし、配列は原則流動性配列法とする。分類と評価も規定している(以下参照) 分類基準資産を流動資産・固定資産・繰延資産に区別。負債は流動負債と固定負債。資本は資本金と剰余金に区別(純資産の明記はなし)。 流動性配列法資産の場合、流動性の高い資産から流動性の低い資産へと順に配列する。負債の場合、現金の支出を要求する順序が早い順に配列する。純資産の部には適用しない。 営業循環基準と1年基準 資産及び負債を流動・固定に分類するとき、企業の営業循環内に営業取引で生じた債権・債務が現金化または消費・消滅される資産・負債なら流動資産・流動負債に、そうでない資産・負債は固定資産・固定負債となる。(営業循環とは、現金を財や用役にして製品等を産出し、再び現金に戻るまでの平均期間。)貸付金や借入金など営業目的以外の取引で生じる債権・債務は1年基準を適用して流動資産又は流動負債とする。1年以上の期間がかかるものは固定資産又は固定負債になる。(ワン・イヤー・ルールともいう。) ※上記は会計原則の内容だが、この学習ノートでは、会計原則に従いながらも会社法等による表記も採り入れている。  
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(イ)資産の会計 資産の評価と内容……資産の部は流動資産、固定資産及び繰延資産で構成する。  原則、1年以内に現金に還る資産を流動資産とし、1年を超える資産は固定資産として区別する。  「将来の期間に影響する費用」で換金性がなく数期間損益計算対象になる資産を繰延資産とする。繰延資産は、株式交付費、社債発行費等、創立費、開業費、開発費に限られる(H21年第3問)。  評価は原則取得原価主義であるが、交換価値を考慮すると時価で評価すべきものとも考えられ、順次時価評価が進められている。   (a)流動資産 金銭債権「金銭の給付を目的とする債権」で、売掛金、貸付金、預金、手形債権及び外貨金銭債権等がある。本来の事業活動に関連して発生した金銭債権を「営業金銭債権」といい、資金の融通等を目的として発生した金銭債権を「非営業金銭債権」という場合がある。売掛債権ないし受取勘定は営業金銭債権になる。  評価は、「債権金額」によって評価することが原則だが、債権金額より高い代金で買い入れたときは「相当の増額」を、低い金額で買い入れたときは「相当の減額」をすることができる(商法)。例えば、「一定の利息付の債権」(*1)を買い入れる場合、約定利率と市場の利回りが異なるときに債権金額と取得価額が異なり、その差異を金利の調整で行う場合を想定する。金利相当額を適切に各期の財務諸表に反映させるために、その差額を弁済期に至るまで毎期一定の方法で貸借対照表価額に加減する償却原価法を用い、加減額は受取利息に含めて処理する。 *1「一定の利息付の債権」の種類 コマーシャル・ペーパー(CP)優良企業が機関投資家から短期の資金調達目的で発行する単名・自己宛の無担保約束手形。 譲渡性預金証書銀行が定期預金の見返りに満期日に元利金を支払う旨を約した無記名の譲渡可能な預金証書で、預金者はそれを金融市場で自由に売買できる。 債権評価取立て不能の虞(おそれ)がある場合、「取立不能見込額」を控除しなければならない。つまり、貸倒引当金の見積りが必要になる。これは、個々の債務者を勘案して回収不可能見込額を控除した回収可能見込額を貸借対照表に計上する個別評価法と、収益に対応する適切な損失見込額を費用化するために確率計算による貸倒率を債権金額に応じて一括して見積り期間費用として計上する総額評価法(または一括評価法)がある。「一般債権」には総額評価法が、「貸倒懸念債権」及び「破産更生債権等」には個別評価法が用いられる。 在庫評価……商品棚卸減耗損(帳簿数より実施棚卸数が少ない) B/S上は「商品」から減額 2つの方法 商品評価損(低価法:商品の価値が下がった)……差額×棚卸高 方法……’箴絽恐舛瞭睫として計上 営業外費用で計上 たな卸資産評価取得原価が異なる場合はそれに従い区別する個別法のほか次の方法がある。 先入先出法……古い商品から先に売れたとする。期末たな卸商品は最新の取得。 後入先出法……新しい商品から先に売れたとする。(廃止の方向にある) 平均原価法……平均原価による評価。総平均法と移動平均法。 棚卸評価法詳細  
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有価証券  株式の場合、有価証券を目的別に分類して、評価基準を設定している「前掲」。  国債や社債の取引処理では、債券価格と利息に分けて記録する。したがって、取得した場合の取得金額は債券価格で、端数利息は利息として額面金額×利率×保有日数÷365日 で求める。売却した分の利息は、買い手が売り手に支払うことになっている。 その他流動資産 前渡金・前払金……内金、手付け金など。「仮払金」も相当 未収金 ……まだ現金として入金していない債権:小売業の土地売却代金など非売掛金 貸付金……借用証書などを受けて貸し付ける金銭。 前払費用……前払賃借料等の未経過費用勘定が前払費用。 未収収益……未収収益は未収利息、未収使用料等。  
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(b)固定資産 有形固定資産建物、機械、土地等であり、減価償却資産(建物、機械等)と非減価償却資産(土地等)に分かれる。  固定資産の評価正味売却価額と使用価値(将来C/F)の高いほうで評価。方法は、ヽ箘前将来C/Fの総額と帳簿価額との対比、帳簿価額−回収可能額=減損の測定。 原価配分と減価償却資産の取得原価を特定の期間(当該資産の耐用期間)にわたって配分する手法を原価配分といい、この手続きを減価償却と呼ぶ。そして、取得原価の期間割当額を減価償却費という。 減価償却の3要素……取得原価、耐用年数、残存価額 減価償却方法 期間配分の方法  定額法毎期均等型償却方法で、毎期の減価償却費は、取得原価から残存価額を控除した額を耐用年数で除した額になる。  定率法償却資産の未償却残高に定率を乗じて減価償却費を算定する方法で、各期の減価償却費は、取得原価から原価償却累計額を控除した額に償却率を乗じた額になる。 生産高で配分する方法  生産高比例法鉱業用減価償却資産に限定した期間配分より有効な償却方法 (取得原価−残存価額)×(当期利用量÷総利用可能量) 貸借対照表の表示原則、減価償却資産別に毎期の減価償却費を「減価償却累計額」として固定資産の部にマイナス表示するが、一括して有形固定資産全体に対する個別科目として記載する方法等も認められる。 減価償却計算 定額法……減価償却費=(取得原価−残存価額)÷耐用年数 残存価額ゼロへ(H19改正) 定率法……減価償却費=(取得原価−償却累計額:既償却額)×償却率 ※償却率=[{(取得原価−残存価額)÷耐用年数}÷(取得原価−残存価額)]×2.5     =1÷耐用年数 ×2.5 ※「1÷耐用年数」は定額法の償却率(H19改正) ○無形固定資産……営業権、無体財産権(産業財産権)及び無体財産権に順ずる権利等 営業権……有償で取得した「のれん」 無体財産権産業財産権で、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権を示し、独占的・排他的権利である。 ソフトウェア無体財産権に準ずる権利で、コンピュータ・ソフトウェアのことをいい、プログラムのほかシステム仕様書やフローチャートも含まれる。平成12年に追加された。製品マスターを完成させるまでの制作費が対象になり、無形固定資産に計上するにはいくつかの要件が必要。自社利用のソフトウェアの製作費も含む場合がある。償却は、見込み販売数量による償却方法が適切とされる。  
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(c)繰延資産  繰延資産は、株式交付費、社債発行費、創立費、開業費、開発費に限られる。 原則費用として処理すべきものだが、繰延資産として処理することも認められる。 新株発行費、社債発行費等(新株予約権発行費を含む)、創立費、開業費、開発費。研究開発費は全額費用処理。 ※上記は「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」平成18年8月11日、「会社計算規則」の改正に基づく実務対応報告第19号による。 ※創立費は資本金および資本準備金から控除できるものの、公正な会計慣行では繰延資産も処理できる(計算規則)   H25-3:★貸借対照表(株主資本等変動計算書) H26-6:リース取引 H28-4:[貸借対照表]ファイナンス・リース※解説は「財務」のノートに H29-7:貸借対照表(資産の会計:固定資産の減損)  
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(ロ)負債の会計 ○負債 負債の部……負債の部は流動負債と固定負債で構成する。 金銭債務「金銭の支払いを目的とする債務」で、支払手形、買掛金、借入金、社債等がある。本来の事業活動に関連して発生した金銭債務を「営業金銭債務」といい、資金の融通等の目的で発生した金銭債務を「非営業金銭債務」という場合がある。仕入債務ないし支払勘定は営業金銭債務になる。 原則、営業金銭債務及び1年以内に返済期限が来る非営業金銭債務を流動負債とし、それ以外は固定負債として区別する。 引当金 評価性引当金……貸倒引当金(通常負債の部だが資産の部に△表示も)     負債性引当金……退職給付引当金、修繕引当金など(将来支出) (a)流動負債 金銭債務……支払手形、買掛金、借入金、社債 ほか 引当金 ……貸倒引当金、賞与引当金、製品保証引当金 ほか 未払法人税等 その他流動負債 未払金……営業取引過程以外から生じる金銭債務 前受金……次期の収益を前受けした(前受収益) 未払費用……払っていないが今期の費用(保険料の支払い:支払5月など) 預り金、短期借入金 ほか (b)固定負債 社債……私募債を含む。(償却原価法による価額表示) 長期借入金 引当金……退職給付引当金等   H26-5:★社債の償還   (ハ)純資産の会計 ○資本の部 純資産の部(会社法) 純資産=株主資本+評価換算差額等+新株予約権。自己資本=株主資本+評価換算差額等。※単独会計 機コ主資本   資本金   資本剰余金……資本準備金とその他資本剰余金。増資の一部を「株式払込剰余金」にできる    資本準備金……株式払込剰余金、合併差益    その他資本剰余金……自己株式処分差益   利益剰余金……利益準備金とその他利益剰余金で構成。    利益準備金社外流出(利益処分)の1/10以上を、利益準備金と資本準備金の額が資本金の1/4に達するまでつみたてる    その他利益剰余金……任意積立金と繰越利益剰余金で構成   自己株式(マイナス表示) 供ド床繊Υ校産抗枦   繰延ヘッジ損益、その他有価証券評価差額金 掘タ軍予約権 検ゾ数株主持分(連結の場合)   純資産合計  
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  (3)キャッシュ・フロー計算書  Cash Flow Statement 「一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を一定の活動区分別に表示するものであり、貸借対照表及び損益計算書と同様に企業活動全体を対象とする重要な情報を提供するもの」と定義され、平成11年4月から財務諸表の一つとして位置づけられることになった。(詳細は6項にて) 会計上の利益と現金の有り高が異なるので資金の流出入を示す。計算書の結果として現金及び現金同等物の残高が示される。また、「営業」「投資」「財務」の3つの活動に分けてキャッシュ・フローを示す。 ※キャッシュ・フロー関係の過去問は「6.キャッシュ・フロー」の項に表示     (4)企業結合 (イ)合併・分割 企業結合(合併・分割) 「企業結合に係る会計基準」 対価として株式を交付する場合 持分の結合……結合後も議決権比率が変わらない等の要件を満たす結合。持分プーリング法。 取得の結合……持分の結合以外。パーチェス法。 パーチェス法「被結合企業から受入れる資産および負債の取得原価を、対価として交付する現金および株式等の時価(公正価値)とする方法」 持分プーリング法被結合企業の資産、負債、資本の適正な帳簿価格を引き継ぐ方法 H28-3:[企業結合]のれん   (ロ)連結決算 連結会計 連結の対象 会社法で、形式基準(間接所有も含む)と実質基準 連結範囲 50%超の議決権保有……間接所有を含む(50%超の子会社が50%超を保有など) ⊆村岨拉曄憤媚弖萃蟲ヾ悗鮖拉曄法△燭箸40%未満の保有であっても。 ※意思決定機関を支配とは、役員や支配人等が保有する議決権を合計して過半数になる、融資額が資金調達の50%を超える場合などがある。 連結貸借対照表作成 手順/堂饉劼隼匆饉劼旅膸察↓∋匆饉匯饂困班藝弔了価評価、親会社の投資と子会社の資本勘定を相殺、は結会社間の債権・債務を相殺(未実現利益) 100%子会社の場合……親会社の「子会社株式」と子会社の「資本金」を相殺 少数株主の存在………全面時価評価または部分時価評価で少数株主持分を評価 のれん……純資産額より高く購入して子会社にした差額は「連結調整勘定」で資産に記載 時価評価 (a)全面時価評価……子会社の資産と負債をすべて時価評価 (b)部分時価評価……親会社の持分だけ時価評価(少数株主持分は簿価評価) 【過去問H19-5:連結会計(純資産の部の記載形式)】 H25-6:★企業結合(のれん代) H26-8:持分法  
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  (5)会計ディスクロージャー  企業活動と地域住民の関係や、企業の生産物と一般消費者の関係等における、企業情報に対する知る権利をディスクロージャーが充足する。公表会計報告書のディスクロージャーを会計ディスクロージャーと呼んでおくが、知りたい人へ有用な情報すべてを提供するか、知りたい部分のみ提供すべきであるか悩ましいところ。  また、ディスクロージャーの目的は、債権者保護、株主保護および投資家保護によって異なり、開示する情報も同じとはいえない。 法による開示と目的 会社法 ヽ主総会招集時は、計算書類と付属明細書(事業報告) 435条2項、会社計算規則91条 株主総会の承認を得た計算書類を会社に備え置く 3主総会の承認を得た貸借対照表を公告する(大会社は損益計算書も)会社法440条 ※計算書類は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表 金融商品取引法……有価証券報告書の提出 会社法の開示は債権者及び株主への開示が目的であり、金融商品取引法は株主もしくは将来の株主(投資家)への開示が目的。商法は債権者保護が目的。 ※「中小企業の会計に関する指針」の目的は、会計の質の向上を図ること。会計参与が計算書類を作成する水準。   【過去問H19-6:★純資産の会計(株主資本残高:配当)】 【過去問H19-7:会計ディスクロージャー(計算書類)】  
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(6)税効果会計  企業会計上の収益または費用と課税所得計算上の益金または損金の認識時点における相違によって、企業会計上の資産または負債の額と課税所得計算上の資産または負債の額とに相違がある場合、法人税等を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させるための会計処理。 「法人税等調整額がマイナス」これは、法人税等から控除されるべきもので、つまり、将来減算(される)一時差異。仕訳上の相手勘定は繰延税金資産(税金の前払)。 税効果会計……法人税等を適正な期間に配分する方法 企業の税:利益に応じて課金(法人税、住民税、事業税等) 税務会計:「納税すべき税金がいくらか」を算定する会計 所得金額=益金−損金 財務会計:(商法上の)利益=収益−費用 商法上の所得に、税法上の調整を加えて申告を行う 益金資産の販売、有償又は無償での資産の譲渡、有償又は無償での役務の提供、無償による資産の譲受、資本等取引以外のその他の収益 損金収益獲得に係わった売上原価、完成工事原価、販売費、一般管理費、その他の費用、損失額で資本等取引以外の取引にかかわるもの 特別規定の益金受取配当等の益金不算入、還付金等の益金不算入など 特別規定の損金たな卸資産の範囲と評価方法、減価償却資産の範囲と償却限度額等、特別償却制度、繰延資産の範囲と償却限度額等  
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税効果会計の要点 税金の前払い分(耐用年数より早く償却した場合有税償却になるなど)をどのように表示するか ※B/S上で「繰延税金資産」「繰延税金負債」、P/L上で「法人税等調整額  減価償却費を50,000円超えて100,000円にした場合 会計上の「法人税等」は(税引き前利益+超過額)×税率として算出 次に(超過額×税率)を「法人税等調整額」として列記して減額、(結果的に法人税等を修正したことになる)  最後に「税引後当期純利益」を算出 例 次は減価償却費を50,000円超えて100,000円にした場合のP/Lで、B/Sには流動資産に繰延税金資産20,000を計上する。 営業利益   10,000,000 税引前純利益  5,000,000 法人税等    2,000,000   (税率40%) 法人税等調整額  -20,000  税引後純利益 3,020,000   一時差異収益または費用と益金または損金との認識のタイミングが異なり、将来解消される 将来減算一時差異税金の前払いとして認識される。減価償却資産及び繰延資産の償却限度超過額、各種引当金の繰入限度超過額、たな卸資産及び有価証券の評価損否認額。P/L上で「法人税等調整額」として減額(当期純利益は多くなる)し、B/S上は「繰延税金資産」。 将来加算一時差異税金の支払の繰延(負債)として認識される。圧縮積立金(利益処分)、特別償却準備金、その他特別措置法上の諸準備金。P/L上で「法人税等調整額」として加算、B/S上は「繰延税金負債」(準備金の積立額は税負債を除く純額) 永久差異企業会計上収益または費用となるものが益金または損金とはならないもので、永久に解消されない 税効果会計の対象外交際費限度超過額(損金不算入)、寄付金の限度超過額、法人税・住民税・事業税 ※「圧縮記帳」補助金を受けて機械などを購入した場合、その資産から補助額を控除した金額でB/Sに表示すること(補助金額だけ圧縮)   ※税制改正(2007.4)「償却可能限度額」の撤廃、2007年4月以降の取得資産は「新定額法」又は「250%定率法」で償却する(定額法償却率×250%=定率法償却率)。<詳細   国際会計基準(IFRS) 2009年6月に「国際的な財務・事業活動を行っている企業の連結財務諸表はIFRSの任意適用を認めることが適当」とされた。国際会計基準(IFRS)は、財政状態計算書、包括利益計算書、所有者持分変動計算書、キャッシュ・フロー計算書の財務諸表と注記表の作成を求めている。 財政状態計算書は、従来の貸借対照表に相当するが構成は異なる場合がある。包括利益計算書は損益計算書であるが、経常利益の表示がなくなり新たな包括利益までの計算書となる。所有者持分変動計算書は株主資本等変動計算書に相当する。 その他に、包括利益計算書による営業利益の概念、物品の販売による収益の認識等の変更が伴うようだ。   【過去問H16-9:★税務会計】 【過去問H18-7:★税効果会計】 H26-3:税効果会計 H29-6:税効果会計  
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3.原価計算  原価計算の目的には、〆睫浬表を作成して企業外部へ情報提供する(財務会計目的)と、原価を把握して企業内部の経営管理のために情報を提供する(管理会計目的)の2つがある。 (1)原価概念 製品単位の原価 ○製品に関係する結びつきによる原価の分類 直接費製品に使用する量と価格が直接関係する原価。物品のみならず労務費や経費も対象になる。配分することを、製品に対して「賦課」または「直課」するという。 間接費製品に使用する量と価格が明確でない原価。物品のみならず労務費や経費も対象になる。製品に対して配賦基準で「配賦」する。 ※配賦基準…樟楮猯組駛 閉樟楮猯組颪粒箙腓杷柯蝓法↓直接労務費法(直接労務費の割合で)、D樟楔恐阻 閉樟楮猯組顱楪樟槝務費の合計額の割合で)、つ樟楮邏隼間法、サヽ作業時間法が利用される。 ○製品原価の費目による分類(製造原価の3要素ともいう) 材料費製品を構成する原材料、素材、買入部品、燃料、消耗品 など。 労務費製品を製造するために従業員の労働作業に伴う原価で、賃金、給料、労務手当、法定福利費 など。 経 費製品を製造するための材料費と労務費以外のすべての原価。減価償却費や水道光熱費などがある。 ※この3つの費用を、直接費と間接費に分類して区別する。 生産単位の原価 生産活動からみた原価の分類で、生産量や売上高、あるいは作業時間などの原価発生要因で原価を分類。次は操業度の例 変動費……操業度に比例して増減する原価。 固定費……操業度に関係なく、常に一定額発生する原価。 ※まとめ:製造原価=直接費+間接費=材料費+労務費+経費≒変動費+固定費 である。 ※製造途中の製品を「仕掛品」という。簿記上の仕掛品勘定は、借方に、月初仕掛品+直接材料費+直接労務費+直接経費+製造間接費 を、貸方に、完成品原価+月末仕掛品 となる。図で示す原価勘定  
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管理会計の原価概念 主に管理会計として意思決定などに使われる原価概念で、差額原価、機会原価等がある。<その他の原価概念 差額原価複数の代替案がある場合に、選択する代替案によって増減する原価で、主に変動費が充当される。 機会原価二つの選択肢があり、片方を選択すると他方を選択できないが、仮に他方を選択したとすると獲得が予想される利益を機会原価という。逸失利益(法学表現)やチャンス・ロスと呼ばれる場合がある。   原価構成 製造原価の3要素材料費、労務費、経費。経費は、材料費と労務費以外の原価で、減価償却費や水道光熱費などがある。 製造原価の形態直接費、間接費。製造直接費は製品1単位あたりの使用または消費が明らかにできるもので、製造間接費は1単位に分解できない又は分解しにくい製造費用。 ※本試験では、「製造原価=直接材料費+直接労務費+製造間接費」とするケースが多い。製造間接費は、間接材料費+間接労務費+間接経費。 原価計算の形態分類まとめ   原価計算の手続き  ある製品Aは、材料をカットして成形したのち、塗装し、検査を経て製品として販売されるとすると、製品Aの製造原価は材料費、労務費、経費に分類できる(費目別計算)。この企業が工程別部門あるいは責任者に分けて生産していれば、それぞれの部門について製造原価を算定する(部門別計算)。これらの原価から製品別に算定される。 “駝槓矛彁原価要素を費目別に分類・計算して直接費と間接費に分類する。例えば材料費を直接材料費と間接材料費又は主要材料費あるいは買入部品費に分ける。 部門別計算原価が発生した場所・部門別に分類・計算する。部門個別費、部門共通費のほか補助部門費を加える場合がある。その上で部門内で製品別に分けられる。 製品別計算製造部門費、作業屑等の価値を加えて製品1単位当たりの製造原価を計算する。   【過去問H16-7:★素価】 【過去問H19-8:原価概念(標準原価)】 【過去問H17-6:原価概念】 H25-9:原価概念(労務費) H27-6:原価概念 H28-6:[原価概念] 原価 H29-10:原価概念  
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(2)原価計算の種類と方法 個別原価計算と総合原価計算(個別受注生産と見込み生産) 個別原価計算生産する製品ごとに発行する製造指図書に製品原価を記録して把握する。個別受注生産形態向き。 総合原価計算生産する一つの製品を複数個生産する場合に、製品1種類あたりの製品原価を把握する。見込み生産形態向き。 標準原価計算1種類当たりの生産量が多い場合は原価標準による標準原価計算を採用し、実際原価との差異を生産改善等に活かす。 実際原価計算予定原価や原価標準を使用せずに、実際に消費した原価を計算する方法。個別原価計算などで使われる。 全部原価計算と直接原価計算(報告用と管理用)<説明     図で示す原価報告書  
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図で示す個別原価計算 図で示す製品原価勘定と損益計算書  
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標準原価計算 標準の操業度・数量・原価を定め、実際の原価と比較することで、生産状態の特性を掴み、ムダを見つけたり集計の迅速化を図る方法。 原価標準会計年度のはじまりに製品1単位当たりの標準原価を設定する。これにより標準の費用が明確になる。 標準直接材料費……標準価格×標準消費量 標準直接労務費……標準賃率×標準作業時間 標準間接費  ……標準配賦率×標準時間・数量  ※標準配賦率は、「変動費率+(固定費÷基準操業度)」で求められる。「率」とあるが1時間当たりの単価とする場合が多い。 標準完成品原価=完成品数量×原価標準 月末仕掛品原価の標準原価 標準直接材料費=単位当たり標準直接材料費×仕掛品数量 標準直接労務費=単位当たり標準直接労務費×仕掛品換算量 標準製造間接費=単位当たり標準製造間接費×仕掛品換算量   差異分析  <差異分析計算 手順標準原価と実際原価の差額を差異として、差異の発生原因を知ることが重要。
実際原価>標準原価なら不利差異。
数量差異と価格差異に分けて分析する(直接材料費差異の場合:ニ分法)。 数量差異=(材料標準消費量−材料実際消費量)×標準単価 価格差異=(標準単価−実際単価)×実際消費量 ※直接労務費差異は賃率差異、(作業)時間差異が生じる。 ※製造間接費差異は予算差異、能率差異、操業度差異が生じる。   【過去問H17-7:★標準原価計算(直接材料費差異を求める)】  
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◆期末仕掛品の評価:仕掛品と完成品の原価の考え方(平均法) 加工費は仕掛品と完成品では異なるので、進捗度に応じた仕掛品換算量を適用する。 月末仕掛品原価=月末仕掛品直接材料費+月末仕掛品加工費 〃酲仕掛品直接材料費 =(月初仕掛品直接材料費+当期投入材料費)×月末仕掛品数量 ÷(完成品数量+月末仕掛品数量) 月末仕掛品加工費 =(月初仕掛品加工費+当期加工費)    ×月末仕掛品換算量÷(完成品数量+月末仕掛品換算量) ※月末仕掛品換算量=月末仕掛品数量×月末仕掛品仕掛程度(%) ※「加工費は換算量で」 <過去問から学ぶ 【過去問H16-8:★月末仕掛品加工費を求める】 【過去問H18-8:★完成品原価を求める[上の「過去問から学ぶ」で説明]】 【H20-8:★完成品原価(平均法)】   原価計算関係用語 加工費=直接労務費+製造間接費または直接材料費以外の製造原価 素価=直接材料費(主要材料費+買入部品費)+直接労務費 製造間接費=間接材料費+間接労務費+間接経費 総原価=製造原価+営業費(販売費+一般管理費) 活動基準原価計算(ABC)総合的に配賦している製造間接費について、より詳細に原価を把握しようとするもの。原価が発生する活動に注目し、測定尺度を設けて適切に配賦するとともに、付加価値を生まない活動を排除していく。   H25-10:★原価計算の種類と方法(標準原価計算) H25-11:★原価計算の種類と方法(期末仕掛品原価) H25-16:その他(原価の種類) H26-11:★原価計算(結合原価) H27-7:★製造原価 H28-7:★[原価計算の種類と方法]価格差異 H29-8:★原価計算の種類と方法(総合原価計算) H29-9:★原価計算の種類と方法(標準原価)  
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4.経営分析 財務分析の方法は二つ 時系列分析将来の比率を予測することを目的に、蓄積された時系列の財務情報から過年度の数値を比較して将来を予測する方法。そのときの経済情勢の影響を受けていることに注意すること。 クロスセクション分析他社や業界標準等との比較を目的に、同時点の他企業や業界標準値と比較する。他企業と比較する場合は、類似した規模や業種にすること。 分析における注意点 クロスセクション分析では会計処理方法の違いを考慮する。また、企業の特性を把握するには、財務情報の定量分析に加えて質的な特性を定性分析する必要がある。 (1)経営比率分析 (イ)収益性   収益性は資本利益率が重要 資本利益率は「利益÷資本」だが、資本を使用総資本、経営資本または自己資本に分けて考え、分子の利益は営業利益、事業利益または純利益に分けて考え、企業の事業特性に応じたものを使用する。これは、それぞれの構成によって導く利益が異なるためである。 使用総資本=自己資本+他人資本 =経営資本+経営外資本 ※自己資本は貸借対照表貸方の純資産の部合計(*1)、他人資本は貸借対照表貸方の負債の部合計。 ※経営外資本は「売買目的有価証券」「投資その他の資産」「繰延資産」など経営活動に使用されていない資本。 *1:貸方は「負債の部」「純資産の部」で構成される。会社法による純資産の部では、新株予約権は自己資本に入らないことに注意。 分子の利益は分母によって異なる。  ̄超藩益+受取利息・配当金 を分子とする使用総資本利益率(ROA) 営業利益を分子とする経営資本利益率 E期純利益を分子とする自己資本利益率(ROE) ※分母は期中の平均値を使う 指標の分解・解体 資本利益率の分解 −−経営資本利益率を例に−− 経営資本利益率=営業利益÷経営資本=(営業利益÷売上高)×(売上高÷経営資本)であり、(売上高営業利益率)×(経営資本回転率) である。 ※「デュポン・システムによる3分解」もあるが過去に出題されていないので割愛。 売上高営業利益率の解体 売上高の構成は、売上高=売上原価+販売費+一般管理費+営業利益 であり、売上高を100とすると売上原価、販売費及び一般管理費がどのようなウエイトを占めているかを認識すると売上に占める営業活動のバランスが見えてくる。   売上原価  60%   販売費   20%   一般管理費 10%   営業利益  10%   売  上  100%  
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(ロ)流動性 流動性は、支払能力、資本構成、資本構造の3つ 〇拱能力 流動比率短期的な債務返済能力を表す指標。流動比率=流動資産÷流動負債×100 当座資産換金性が高い流動資産で、現金預金、受取手形、売掛金及び有価証券が該当する。
(※中小企業庁方式は有価証券を当座資産としない。)当座資産の指標は、当座比率=当座資産÷流動負債 がある。ここでは、棚卸資産が当座資産に含まれていないことが重要である。※「貸倒引当金」がある場合、売上債権から控除して当座資産とする
∋駛楾柔 自己資本比率総資本に占める自己資本の割合を表す指標で、資本構成の良否を示す。自己資本比率=自己資本÷総資本 (自己資本は多いほうがよいとしている) 負債比率総資本に占める負債の割合を表す指標で、負債の長期的な返済能力を示す。負債比率=他人資本(負債)÷自己資本
※中小企業庁方式は扱わない。
資本構造 固定比率長期資金の調達能力を示す指標で、固定資産の調達を返済の必要のない自己資本で賄われているか、つまり長期に拘束される資金を返済すべき他人資本に依存していないかを示す。固定比率=固定資産÷自己資本。 長期に拘束される資金は自己資本で賄うことが望ましく、仮に無理であったとしてもせめて自己資本と固定負債で調達しなければ、短期に返済すべき流動負債に及ぶことになり資金繰りが不安定になることを示す。 固定長期適合率固定資産の調達が自己資本または長期資金で賄われているか。固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+自己資本)
※中小企業庁方式は、固定負債でなく「長期借入金」のみになる。
回転率 経営資本の回転営業循環の回数を示すのが資本回転率である。資本回転率は売上高÷経営資本で示すが、資産別に売上債権、棚卸資産、有形固定資産及び手元流動性の資産回転率として分析していく。 債権・債務の回転「売上高÷売上債権」は売上債権回転率を表し、「売上高÷棚卸資産」または「売上原価÷棚卸資産」で棚卸資産回転率を表す。「売上高÷固定資産」も固定資産回転率を表すが、固定資産の内容に意味がある。また、「売上高÷仕入債務」または「売上原価÷仕入債務」として仕入債務回転率を表す。但し、これらの分母は期中平均値を使うこと。そのほかに受取勘定回転率、支払勘定回転率もある。 ※回転日数の求め方売上高1200、売上債権200とすると、売上債権回転率は1200÷200=6回転。回転日数は365÷6=61日(365÷売上債権回転率)。(単位省略)   ※「中小企業庁方式」とは、「中小企業の経営指標」で示されている指標を指している。   「インタレスト・カバレッジ・レシオ」……営業利益÷支払利息 (倍)  
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(ハ)生産性 生産性とは、生産要素の投入量1単位あたりの付加価値の生産量を示す。 生産性分析企業は外部から購入した原材料等にエネルギーを使い、労働力や設備を投入して生産を行うことで付加価値を加えて外部に販売している。この付加価値は、人件費として従業員に、配当として資本提供者に、税金として国に配分されている。生産性は付加価値を生み出す能力である。特に、収益性分析では対象にならない人件費は付加価値を構成する重要な要素であり、ここに生産性分析の必要性がある。 付加価値付加価値は、企業が購入した原材料等に付して新たに産出した価値である。このとき購入した原材料等は、他の企業が生産した価値で「前給付費用」という。つまり、企業の総生産高は、前給付費用+当該企業の付加価値になる。このことから、「付加価値=総生産高−前給付費用」で計算できる(控除法)。 付加価値の方式 々欺法付加価値=売上高−外部購入価値 (中小企業庁方式、控除法) ※前給付費用を「外部購入価値」(外部購入価値:材料費、購入部品費、外注加工費、外部用役費(運送、梱包、燃料、電力等)、商品仕入高、業務委託費等)としている。 加算法付加価値の構成要素を積み重ねていく加算法は、「付加価値=人件費+賃借料+他人資本利子+租税公課+税引後純利益」で計算する。  ※上記式の右辺に「減価償却費」を加えた場合は左辺は「粗付加価値」と呼ばれる。  ※日銀の「主要企業経営分析」では、上記式の右辺の「租税公課+税引後純利益」を「経常利益」としている。 ※当該試験問題では、中小企業庁方式が標準的に使用されているが、すべてではないので注意を要する。 労働生産性の分析 労働生産性とは、生産効率を示す指標で、労働投入量1単位あたりの付加価値の生産量を示す。 労働生産性=付加価値額÷平均従業員数 で表され、これは「一人当たり付加価値額」。      =(売上高÷平均従業員数)×(付加価値額÷売上高) ……上記式の分解      =一人当たり売上高 × 付加価値率 として労働生産性向上の指標になる。また、      =(有形固定資産÷平均従業員数)×(付加価値額÷有形固定資産) ……分解      =労働装備率×設備生産性 として機械化・省力化、操業度の必要性を反映。 ※「設備生産性」は有形固定資産を資本ストックとすると「資本生産性」ともいわれる。 労働生産性と人件費 付加価値の大勢を占める人件費の指標として一人当たり人件費があるが、これを分解すると 一人当たり人件費=人件費÷平均従業員数 なので、         =(付加価値額÷平均従業員数)×(人件費÷付加価値額) に分解され         =(労働生産性)×(労働分配率) となるので、 人材確保を考えて人件費を引き上げようとすると労働生産性を高めなければならない。 【過去問H18-9:経営分析(生産性分析)】  
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(ニ)成長性  成長性は売上高、付加価値額、営業利益額、自己資本額および総資本に対する利益率等の推移(伸張率等)を求めて評価するのが一般的である。他には売上高に対する試験研究費・研究開発費の比率推移を評価する、あるいは一株あたり純資産、株価などの株式による指標の推移で評価する分析も必要であろう。ただ、会社あるいは当該事業のライフサイクルによって成長性の評価は異なることがあることに注意が必要。 比率の改善方策 分析のための留意点 〇駛寨益率関係の改善は、経常利益の増加、売上高の増加、総資本の増加の優先順位で行うこと。(総資本が増加しただけではバランスが崩れるだけになる) ⇔動比率の改善について (a)固定資産の流動化(不要不急資産や遊休資産の売却等で現金化) (b)流動負債の固定化 (c)流動資産の増加 ※但し、利益が獲得できないと株主資本利益率(ROE)が低下する。 C卸資産については、欠品の防止(販売機会の損失)と過剰在庫の防止(資金の滞留)をコントロールして適性在庫を見いだす。 せ駛楾柔 (a)自己資本の充実(増資、内部留保) (b)負債の圧縮(増資等による資金を利用) 営業利益を高めて資金を効率化、不要な借入金は返済 ※インタレスト・カバレッジレシオが低下の企業は負債比率が高いことにも注意 ★会社法による指標名称の変更 株主資本利益率(ROE) → 自己資本利益率(ROE)に 負債・純資産の部   【過去問H16-6:★経営比率分析と目標増収額】  【過去問H17-4:★経営比率分析】 【過去問H19-9:★クロスセクション分析(2社比較)】 【H20-11:経営比率分析(指標の特徴)】 H25-5:★経営分析 H26-9:★経営分析(経営状態) H26-10:経営分析(資産の費用化) H27-11:★経営分析 H28-9:★[経営比率分析]設問1:キャッシュ・フロー、設問2:財政状態 H29-11:★経営分析(経営比率分析)  
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(2)損益分岐点分析 損益分岐点分析 利益が出るか、それとも損失になるかの分かれ目になる売上高を損益分岐点の売上高という。この損益分岐点の売上高を把握することで利益確保の安定性を評価することができる。 求めるには、企業の費用構造に注目して、費用を変動費と固定費に分解して損益分岐点の売上高を把握する。 変動費売上高に比例して総額が変化する費用。製品原価、仕入原価等の売上原価、あるいは光熱費等の操業度に応じて変動する費用が相当する。 固定費売上高の変化に関係なく総額が変化しない費用。人件費、地代・家賃、賃借料、減価償却費など。 売上高……売上高は、「変動費+固定費+利益」 で構成される。 変動費率……売上高に占める変動費の割合、「変動費÷売上高×100」。 限界利益……販売量が1単位増加したときに生じる利益の増加額。「売上高−変動費」で示す。 限界利益率……売上高に占める限界利益の割合。限界利益÷売上高を「1−変動費率」で示す。 損益分岐点売上高を利用して経営分析する方法 損益分岐点比率=損益分岐点の売上高÷現在の売上高 損益分岐点売上高が現在の売上高に対する水準を示し、値が少ないほど利益が確保されていることになる。 安全余裕率(%)=(現在の売上高−損益分岐点売上高)÷現在の売上高×100 利益がゼロになる度合いを測り、値が正で大きいほど余裕があることになる。安全余裕率=1−損益分岐点比率 でもある。 損益分岐点売上高を活用する方法 目標利益を達成するための必要売上高を求める  目標利益達成売上高=(目標利益+固定費)÷限界利益率 目標利益は純利益で、変動比率及び固定費が明確な場合に活用できる。【過去問H16-6】 資本要素に置き換えた活用 資本回収点=固定的資本÷(1−変動的資本比率) 費用分解の方法……損益分岐点分析は費用分解が重要になる。<費用分解の詳細 まとめ 損益分岐点売上高は、売上高=変動費+固定費+利益 のとき「利益=0」の売上高で、
損益分岐点売上高=固定費÷{1−(変動費÷売上高)}で示され、
損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)、あるいは損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率 でもある。
<損益分岐点売上高算出の具体例> 【H17-5:★損益分岐点分析】 【H20-12:★損益分岐点分析(目標利益達成売上高)】 H25-8:★損益分岐点分析(安全余裕率) H27-10:★損益分岐点分析 H28-8:★[損益分岐点分析]設問1:営業利益、設問2:損益分岐点比率  
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(3)利益増減分析 損益計算書を元に、連続する2期の利益を比較し、その増減を明らかにするのが利益増減分析。 比較損益計算書から利益(費用も含む)の増減額を求め、 〕益の増加に役立った科目(売上総利益や売上原価) ⇒益の減少をもたらした科目(営業費や営業外収益)に分けて表示して、差引きが経常利益の増減結果を表すようにする。 経常利益は増減分析するが、売上総利益は製品ごとに価格要因・数量要因分析を行う。 H25-7:利益増減分析(利益の増加)  
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5.利益と資金の管理 (1)利益計画  利益計画は、目標利益率をいくらにするか、またどのように実現するかを計画したものである、といわれている。対象期間は短期(1年くらいまで)とされ、そのときの環境に対応した計画とする。当然ながら、経営方針に基づく長期利益計画があり、それに従って計画される利益計画でもある。 (イ)限界利益と貢献利益 費用を分解して利益を識別  費用を、売上高に応じて変動する変動費と、売上高の変化に関係なく固定的に必要な固定費に分解する。変動費はさらに、製品原価を主とする製品変動費と、販売経費を主とする変動販売費に分解する。他方、固定費も部門固有に生じる個別固定費と、全社の共通固定費に分解する。このように費用を分解してそれぞれ利益概念を設定したのが限界利益や貢献利益である。 利益の体系 純利益=売上高−費用    =売上高−(変動費+固定費)    =(売上高−変動費)−固定費    =限界利益−固定費 限界利益=売上高−変動費     =固定費+純利益 利益の定義 売上総利益=売上高  −売上原価  (売上原価≒製品変動費) 限界利益 =売上総利益−変動販売費 貢献利益 =限界利益 −個別固定費=売上高−売上原価−変動販売費−個別固定費 営業利益 =貢献利益 −共通固定費=売上高−売上原価−変動販売費−個別固定費−共通固定費 ※ 変動費=製品変動費+販売変動費、固定費=個別固定費+共通固定費 ※ 貢献利益は、限界利益と純利益の間に位置する利益分類 ※ 限界利益は単に「限界利益=売上高−変動費」とする場合がある(損益分岐点分析等)。 利益は「許容費用」とする考え方 次年度の売上高を予定し、これから目標利益を控除した許容費用を算出する(許容費用思考)。 実績収益から実績費用を除いたものが実績利益であり、予定売上高から目標利益を除いたものが許容費用である。したがって、所要売上高から必要利益を控除したものが許容費用に当たる。所要売上高−必要利益=許容費用:(ノイッペル C.E.Knoeppel)。許容費用は「残余」と考える。   (ロ)プロダクトミックス プロダクトミックスとは、製品混合計画のうち、製品別の限界利益の和が最大になる部分に注目した製品の組み合わせ。製品のみならず事業にも適用できる。 全社的利益を最大化するためにどの製品を多く生産・販売すればよいかを意思決定する情報を提供する。 【過去問H18-10:★利益と資金の管理(事業ミックス:限界利益と貢献利益)】 【過去問H19-10:★利益と資金の管理(プロダクトミックス)】 H26-7:★利益計画(総資本利益率) H26-12:★利益計画(遊休設備利用)  
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(2)予算・実績差異分析 予算による統制は、予算とその実績との間に差が生じたとき、その差異を詳しく分析して原因を追究し、今後その差異が生じないようにする。  総合予算の差異分析では見積り損益計算書、見積り貸借対照表の各項目で予算と実績を比較していく。差異が生じる原因を、”堙切な予算見積り、企業内部の要因、4覿罰杏瑤陵廾に分けて検討し、以後の差異の発生を少なくする。  差異を発生場所別、責任区分別に分析して業績評価に役立てる。特に、売上に対する予算と実績の差異は、数量の差異と価格の差異に分けて分析を行なう。 売上高の差異分析 価格差異=(実績価格−予算価格)×実績数量  ※「今期−前期」でも 数量差異=(実績数量−予算数量)×予算価格  ※「今期−前期」でも 売上総利益の差異分析【過去問H15年8問】 H27-8:★予算・実績差異分析   (3)資金繰りと資金計画  正味運転資金≒正味運転資本 資金管理  資金管理は、利益管理とともに企業の血液を表すようなものであり、利益管理を動脈とするなら資金管理は静脈であろうか。  資金管理では、支払い能力を高め、支払日には「総収入>総支出」であること、一度たりとも管理ミスは許されない重要な管理活動である。さらに、資金管理は利益管理と異なり、目標を現実レベルより低く設定して安全を見込む必要がある。対象期間は、長期(年または半年)と短期(月単位など)に分かれる。 資金繰表現金資金収支を示す表で、月初現金資金残高に現金資金の営業収支と財務収支を加味して収支残高を求める。これより資金の過不足額を明らかにして、具体的調整活動を行う。 予定資金繰表損益予算や収支予想から月末残高を見積り、さらに営業収支と財務収支を見積り、過不足の把握と調整を図る。 実績資金繰表当月の合計残高試算表より主要勘定の月末残高、月初・月末現金有高等を記入し、営業収支と財務収支を記入する。 ※正味運転資本は比較貸借対照表から求めるので「正味運転資本」と呼ばれるが、非資金取引を控除したものは資金の調達と運用であり、正味運転資金として扱われている。 ※正味運転資金は、一般に流動資産と流動負債の差を示し、調達源泉と運用形態からみたもの。正味運転資金=運転資金(流動資産)−短期資金(流動負債)となる。また、正味運転資金=月商増加額×売上債権回転期間(月)×棚卸資産回転期間(月)×仕入債務回転期間(月) とされる場合もある。 ※資金の調達……資産の減少、負債の増加、資本の増加 ※資金の運用……資産の増加、負債の減少、資本の減少 運転資金と固定資金 運用からみて、1年以内に現金などで支出できる資金を運転資金、それ以外を固定資金に分ける。現金資金は運転資金に含む。  
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資金計画 資金計画は、運転資金計画と固定資金計画で構成し、一定期間を対象に作成する。資金繰り計画が加えられることもある。 年間資金計画表年間の資金計画で、資金の源泉・資金の運用・正味運転資金の増加原因を表す。予算による資金運用表といえる。 月次損益予算表月次の損益予算計算書であり、これを元に年間資金計画表を作成する。 月次現金収支表月次の現金の収支及び有高を表す。  
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参考図書 財務会計 斎藤静樹編著 有斐閣 2002 会計学一般教書 武田隆二著 中央経済社 2001 経営管理会計の基礎知識 山田庫平編著 東京経済情報出版社 2002 企業結合会計の知識 関根愛子著 日経文庫 2006 会計学大辞典 安藤英義他編集 中央経済社 2007 会計全書26年 会社法規編 中央経済社 2013 商業簿記テキスト 伊藤秀俊編 中央経済社 2008 新会計基準2009・2011 武田雄治著 中央経済社 2009 中小企業診断士試験問題 平成13年〜29年 中小企業診断協会  他 学習ノート