経済学・経済政策:マクロ経済学他の学習ノート表紙


             −目 次−  凡例:[page]

1.国民経済計算の基本的概念  ………………………………………………………………………………1
(1) 国民所得概念と国民経済計算[1]
(2) 貯蓄と投資[3]
(3) 総需要と総供給[4]
   
2.主要経済指標の読み方  ……………………………………………………………………………………6
(1) 国民所得統計[6]
(2) 雇用統計[7]
(3) 鉱工業生産指数 [7]
(4) 消費者物価指数 [7]
(5) 国内企業物価指数 [7]
(6) 工業統計 [7]
(7) 商業統計 [8]
(8) 産業連関表 [8]
(9) 景気動向指数 [8]
   
3.財政政策と金融政策  ……………………………………………………………………………………10
(1) IS-LM曲線[10]
(2) 雇用と物価水準[14]
(3) マネーサプライ(マネーストック)[17]
(4) 資本市場・金融市場[18]
(5) 政府支出と財政政策[19]
(6) 貨幣理論と金融政策[20]
(7) 景気変動と景気循環[22]
4.国際収支と為替相場  ……………………………………………………………………………………23
(1) 比較生産費と貿易理論[23]
(2) 国際収支と為替変動[25]
(3) 国際資本移動と国際資金フロー[28]
5.主要経済理論  ……………………………………………………………………………………………30
(1) ケインズ理論[30]
(2) サプライサイド・エコノミクス[31]
(3) マネタリズム[31]
(4) 古典派と新古典派理論[32]
(5) 新保守主義とシカゴ学派[33]
(6) 新制度主義経済学[33]
(7) 経済成長[34]

その他(マクロ経済)  …………………………………………………………………………………………35


参考図書

リンクの参考資料 p1〜p5
1.国民経済計算の基本的概念 付加価値とは  近所のMさんは夫婦でコロッケ屋さんをしている。じゃがいもとお肉、さらに秘密の具材を仕入れ、ハート型のコロッケにしてパックで販売している。 コロッケ1パックの販売価格は300円で、1パック当たりの材料費が120円、光熱費他経費が30円である。 1日におよそ100パックをつくり完売している。Mさんのお店の1日の経済計算は、外部購入費が15,000円、販売額が30,000円なので、付加価値はその差額の15,000円になる。 付加価値は夫婦二人のもの(所得)になる。※経費は購入費に含めた。 H27-1:国民経済計算の基本的概念(国の歳入の構成) H27-2:国民経済計算の基本的概念(資金循環統計)   (1) 国民所得概念と国民経済計算 国民所得を考えるとき、国内で生産したモノ・サービスはすべて消費されるかあるいは在庫されると考える。生産=消費+在庫(税金や輸出も消費に含む)である。生産の各過程では、個々の企業が外部から購入したものに価値を付加して生産している。それら国内のすべての生産の付加価値の合計が国民総生産であり、国民総所得である。そして、その価値は従業員や株主などに分配されて各家庭に所得として移り、消費や貯蓄あるいは税金の何れかに使われる。   一国の経済活動の水準を示すものとして国内総生産(GDP)がある。これは、日本国内で1年間に生産した財・サービスの最終生産物の価値の合計で、国民所得に相当するものである。他方、国民総生産(GNP)は日本人が1年間に生産した財・サービスの最終生産物の価値の合計であり、国内総生産に海外で日本人が得た要素所得を加え、日本で外国人が得た要素所得を除いたものになる。 ※国際間取引が増えGNPよりGDPが用いられる。※要素所得は、財・サービスの価値のこと。 (注) ここでは、国民所得≒国内所得 としている(国民総生産≒国内総生産)。海外との労働移動がなければ国民総生産は、国内総生産であるが、国際取引が増えて国民経済計算としての国民所得は国内総生産(GDP)を使うようになった。   三面等価の原則 国民所得を供給・収入・需要から捉えると総生産、総所得、そして総支出である。これは一国の経済活動を異なる面から見るもので、どれも同じ値とする。これを三面等価の原則という。具体的には、国内総生産は生産面(供給面)の付加価値の合計だが、事後的にみると分配面(収入面)の国内総所得であり、支出面(需要面)の国内総支出に等しい 生産面(生産)……国内総生産(GNP)=各企業等の付加価値の合計
 ※付加価値の合計は、生産額から中間購入額を控除したもの。
分配面(所得)……国内総所得=雇用者所得+営業余剰+固定資本減耗+間接税−補助金 支出面(需要)国内総支出=民間最終消費支出+政府最終支出+国内総固定資本形成+在庫品増加+輸出−輸入 *国内総固定資本形成=民間住宅投資+民間設備投資+公共投資 *政府最終支出は、〆能消費支出(公務員の給与)、∩躙把蟷駛楫狙(公共投資)、0榲昌拿弌雰鯤檗η金・失業保険)、な篏金、ネ子支払などがある。※GDPでは〜イ髻屬修梁勝Ω躡后廚亡泙燹   ※国民経済計算の内容を知るには、統計局から毎年発行されている「日本の統計」があります。 ※国内生産額は941兆円(2011年、中間投入を含む)、輸入を含めた総供給は1,024兆円。  
-1-
国民所得の表示 〕彖撚然覆良充─弊源才彖任悗諒鷭掘 国民所得=雇用者所得+営業余剰 ※営業余剰……土地・資本から得られる資産利得(土地転売はGDPに入らない、賃料は含む)。 ∋埔豌然覆良充 国民純生産(NNP)=国民総生産−固定資本減耗  ※固定資本減耗とは、固定資本の減価償却 国民所得(NI)=国民純生産(NNP)−純間接税   ※純間接税=間接税−補助金 ※経済学で使う表示 国民所得=消費+投資+政府支出+輸出−輸入 ※H26年1問では、「雇用者報酬+営業余剰・混合所得+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税と補助金の差額」としている。 国民所得H26-1 <その他国民所得関連> H26-1:国民所得(分配面の内容) H27-3:国民所得概念と国民経済計算(国内総生産) H28-4:[国民所得概念と国民経済計算]マクロ経済活動を表す経済指標は H29-3:国民所得概念と国民経済計算(GDP)   GDP統計の見直し今までの統計手法ではIT産業など複雑な経済の流れを捉え切れなく、今後米欧など先進国のやり方にそろえて行くようだ。「産業連関表」から「供給・使用表」に変わるのか? H29年第2問 図  
-2-
(2) 貯蓄と投資 家計が得た所得から税金・社会保障税を除いた所得を可処分所得という。可処分所得は消費として財・サービスを需要し、その残りは将来のために貯蓄する。他方企業は、生産水準の増加や販売額の増加のために投資を行う。これは、工場や機械設備への設備投資、需要増加などに備えた在庫投資などであり、資本の増加につながる。その投資は財・サービスを需要することになるが、投資の資金は主に借入によってまかなわれる。これは家計の貯蓄からの資金である。 消費それとも貯蓄 国民所得は、消費されるか貯蓄(投資)されるかどちらかである。 国民所得=消費+貯蓄(投資) 消費は民間最終消費と政府最終消費を含む。民間の貯蓄は投資にまわる。投資は、設備投資と在庫投資の「粗投資」と、粗投資から固定資本減耗を除いた「純投資」があり、粗投資を対象にする。  (投資=資本財の購入+消費財の在庫増加) 貯蓄=(国民所得−税金)−消費、であり(国民所得−税金)を可処分所得という。 ※消費財の在庫増加は「予期せざる投資」といわれるが、来期以降に用いられるので投資に含む ※ここで、国民所得は国民総所得から固定資本減耗を除いたもの(国内総所得と国民総所得はほぼ等しいもの)とする。 貯蓄を導く可処分所得 消費関数から貯蓄が見える(所得=消費+貯蓄)。 家計で、消費を決定するのは可処分所得の大きさであり、家計の所得が増えれば消費も増える。つまり、消費としての財・サービスの需要は所得の増加とともに増える。このとき、消費関数は C=C0+cY ……(1)である。c:限界消費性向(所得がもう1単位増加したときの消費の増加分)、ただし、0<c<1。C:民間消費、C0:独立消費(必要な食事など、所得の大きさに関係なく行われる消費)、Y:国民所得 である。 消費関数は右上がりの曲線で、C0は切片、傾きはcになる。※民間消費Cが増えれば国民所得Yも増加する。 次に、貯蓄については消費した残りが貯蓄なので、国民所得=民間消費+民間貯蓄 より、 民間貯蓄=国民所得−民間消費 となる。※「政府」に対する「民間」(政府消費も結構ある) Y=C+SよりS=Y−Cを導く。ただし、S:貯蓄。 ここに(1)式を代入して整理すると、民間貯蓄Sは、S=(1−c)Y−C0 ……(2) となる。 所得がもう1単位増加したときの貯蓄の増加分を限界貯蓄性向といい、(1−c)で表す。 投資は貯蓄から 民間の貯蓄は投資に回る。 企業の設備投資は長期に渡り生産に影響し、多額の資金を必要とする。その資金は民間貯蓄からである。 企業の投資判断は、投資に必要な資金とその投資から得られる収益を考慮する。よって、投資需要は各種要因に左右されやすい。投資の増加は国民所得の増加である。つまり、消費の増加と投資の増加が加わって国民所得が増加すると考えられる。これは、国民所得の増加分=投資の増加分÷(1−c)より、投資乗数は1÷(1−c)とされる 例えば限界消費性向が0.8のとき、投資が1兆円増加したら需要は1兆円増加したことになり、国民所得は1兆円増加する。すると、消費が0.8兆円増加するのでこれを繰り返せば投資乗数は5になる。※乗数効果……投資支出の増加がその増大以上にGDPを増加させること。GDPの増分=乗数×投資支出の増分 で、乗数=1÷(1−限界消費性向) となり、限界消費性向が0.8のとき乗数は5。これは1兆円の投資増はGDPが5兆円増加することになる。   H29-8:貯蓄と投資(投資の決定)  
-3-
(3) 総需要と総供給 セーの法則と有効需要の原理 1900年代前半、「すべての市場で価格メカニズムが円滑に機能し、効率的な資源配分が実現される」と考えられていた。そんな考え方に対して、価格メカニズムはそれほどうまく機能しないのではないかとされた(ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』1936年)。それは、ケインズが「有効需要の原理」で示し、総供給が総需要を上回るとき、生産量が減少して数量調整が働くとした。つまり、総需要が総供給を規定するのであり、公共投資などで需要を増大させれば乗数効果で失業も減少するという。 【有効需要の原理】 財・サービス需要に等しくなるように国内総生産が決められるため、国民所得は有効需要と45度線(総供給)が等しくなる水準になり、国民所得が決まる。   45度線分析 45度線は総供給であり、所得を全部消費・投資に回したもの(貯蓄はゼロ)に等しい。 縦軸に総需要(D)と総供給(X)を、横軸に国民所得(Y)をとり、財・サービスの需要曲線を示す。総需要(有効需要)Dは、消費需要+投資需要で構成され、D=C+I である。ここで消費関数は、C=C0+cY なので、財・サービスの総需要Dを国民所得の増加関数で表すと、D=C0+cY+I となる。これは下図のように消費関数を投資Iだけ上方にシフトして導かれる。ただし、C0:独立消費。 国民所得の決定 消費が増えれば国民所得も増加し、投資を一定とすれば有効需要も国民所得とともに増加する。他方、供給は国民所得と等しいだけの財・サービスが生産されているので総供給Xは国民所得Yに等しい(X=Yとして45度線で示す)。この総需要曲線と総供給曲線(X=Y)は、国民所得のそれぞれの各水準での需要と供給を表している。ここで、2つの曲線の交点では財・サービスの需要に等しくなるように国内総生産が決められるため、国民所得は総需要と総供給が等しくなる水準になる。これは図の交点Eに相当し、点EはX=Yなので、Y=C0+cY+I となり、財・サービス市場が均衡する。ここに国民所得Yを決定することができる。 ※Iは所与 45°線分析図 H26-4:45度線分析  
-4-
消費に関する考え ケインズモデル……C=C0+c(Y−T) ただし、C0:独立消費(基礎消費)、c:限界消費性向、Y−T:可処分所得 可処分所得の増加で平均貯蓄性向は増加する(平均の消費性向が低下するため)。 消費の決定 々云鐔蠧晴樟定常的に入ると予想される所得を恒常所得、一時的に入る所得を変動所得とし、恒常的な消費は恒常所得の関数と考えられる。
家計の消費水準は一時的な所得変動によって影響されず、平均的な一定所得(恒常所得)によってのみ影響される。(つまり消費行動は平準化される)
定期給与のベースアップは恒常所得の増加にあたり、消費を増加させる[H26-6]。
消費者は、時間の経過によって恒常的に得られる所得の大きさによって決まる(長期の所得)[H19-7]。
1回限りの減税の実施は消費の拡大に影響を与えない[H21-9]。 可処分所得が一時的に増減しても消費の水準は影響を受けないとされる[H17-1]。
 ※恒常所得仮説はフリードマン
▲薀ぅ侫汽ぅル仮説高齢者の割合増加は、貯蓄率が低下する[H27-4]
生涯の所得を念頭において消費を決定すると考える。[H23-3]
一生にわたって得られる所得が増加するにつれて消費が増大すると考える[H17-1]
 ※モディリアーニ、ブルンバーグなど
A蠡仆蠧晴樟ほかの人の平均的な消費水準を意識しながら消費を決定する(空間的)。過去の消費にも依存する(時間的)。デューゼンベリー そ慣仮説景気後退局面でも消費の減少に歯止めがかかる。[H23-3] ※ラチェット効果(歯止め効果)   H25-2:総需要と総供給(GDPから需給ギャップを確認する変数は) H25-3:総需要と総供給(総需要Dから均衡GDPを求める) H25-4:総需要と総供給(所定のGDPから租税効果を計算させる) H26-6:恒常所得仮説 H27-4:総需要と総供給(ライフサイクルモデル) H28-8:[総需要と総供給]財市場の45度線分析 設問1:政府支出乗数、租税乗数 設問2:均衡所得を求める H29-4:総需要と総供給(GDP) H29-5:総需要と総供給(需給ギャップ)  
-5-
2.主要経済指標の読み方 (1) 国民所得統計 国民所得統計の読み方 GDPの構成 民間最終消費支出、民間住宅投資、民間企業設備投資、民間在庫品増加、政府最終消費支出、公的固定資本形成、公的在庫品増加、財・サービスの純輸出 国民可処分所得=国民所得+間接税−補助金  ※間接税は消費税 実質GDP=名目GDP÷GDPデフレータ      ※輸入品含まない 実質GDP成長率=名目GDP成長率−物価上昇率  ※物価上昇率(GDPデフレータ変化率) ※GDPデフレータ……基準年の価格を1としたときの物価指数 ※GDPギャップ……現実の産出量と潜在産出量との乖離:インフレ圧力の程度を示すもの。政府は「デフレ状態にある」と宣言(2009年11月)。 統計、指数 ラスパイレス指数(CPI、CGPI){(基準年の数量)×(対象年の価格)}÷{(基準年の数量)×(基準年の価格)}で、基準年の数量にウエイトをおく。 パーシェ指数(前のGDP){(対象年の数量)×(対象年の価格)}÷{(対象年の数量)×(基準年の価格)}で、対象年の数量にウエイトをおく。 家計調査約9000世帯を対象に家計の支出や収入の動向を標本調査した総務省(http://www.stat.go.jp/)の指標で、個人消費の現状把握に役立つ。
家計収支編、貯蓄・負債編に分かれ、それぞれ2人以上の世帯と単身世帯の2種類の世帯。家計収支編・2人以上の世帯は毎月公表。
※経済センサス・活動調査(2012年) (「企業活動の国勢調査」) 全産業売上高 1,336兆円、付加価値額 245兆円:2012年の確報値
日本には、企業数 412万8,216社、事業所数は576万8490ヵ所。従業員数は5583人。卸売業・小売業が全体の2割で最も多い(売上は400兆円で全体の3割)、次いで宿泊業・飲食サービス業(売上は26%)。 2009年調査と比較して、医療・福祉のみ事業所数・従業者数とも増加。他の16産業では両方減少しているとのこと。(一部修正しています。2013.12.18)
※国富国民資産から負債を除いた正味資産は、2906兆円(2001年度)。国民一人当たりは2287万円になる。内訳は、土地が1455兆円、建物・設備などが1164兆円、対外純資産が179兆円。GDPは507兆円、国民一人当たり国民所得は291万円。 H27-5:国民所得統計(指数の比較) H28-1:[国民所得統計]GDPから見る日本と米国の違い H28-2:[国民所得統計]租税収入に見る構成の変化 H28-3:[国民所得統計]円、人民元、ドルの実効為替レートの推移  
-6-
(2) 雇用統計 2つの調査で示す雇用統計 (a)総務省が毎月4万世帯を対象に行う労働力調査 労働力人口(15歳以上)=就業者(従業者+休業者)+完全失業者(職を求めている失業者) 完全失業率=完全失業者÷労働力人口 (b)厚生労働省の職業安定業務統計は、求人動向を示す。 求人倍率……1人の求職者に対してどれだけの求人があるかを示す指標。 有効求人倍率=有効求人数÷有効求職者数 充足率……求人のうちどれだけ充足されたかを示すもので、就職件数÷有効求人数で算出。 H25-1:雇用統計(完全失業率の推移表から15〜24歳のものを問う)   (3) 鉱工業生産指数 鉱工業生産指数製造業の活動状況を示す指標で、経済産業省が毎月末に前月のデータを「鉱工業生産動向」として公表。 生産、出荷、在庫を指数化(ラスパイレス指数)。GDPの動きに似る。数量ベースであり付加価値は表れない。景気に敏感とされる。 数量ベースの統計で、基準年(現在は2005年)の平均月間生産量を100として、どの程度かを示す。業種分類(業種別にウエイトされている)と特殊分類(生産財と最終需要財に分類)で二元的。生産指数の予測値も公表されているのが特徴。   (4) 消費者物価指数(CPI) 輸入を含む消費財の小売価格の変化(ラスパイレス指数)。生鮮食品を除き、ストックは含まない。景気に鈍い(すぐに反応しない)とされる。 対象とする財・サービスの価格にウェイト付けしたもので、基準年次を100としたとき当該年次の物価水準を物価指数で示す。総務省が公表。 基準を2010年に改定。音楽ダウンロードを加え、写真フイルムを外す。2011年 H28-5:[消費者物価指数]   (5) 企業物価指数(CGPI) 国内企業物価指数(CGPI)……ヘドニック法:機能上昇なら価格は下がったとみなす。 企業間の取引の商品価格の変化(ラスパイレス指数)、サービス財や輸出入(生産者が出荷する価格を中心に8264品目)を含む。 支出割合が固定されて安売りは反映していないので高めに出やすい。 対象とする財・サービスの価格にウェイト付けしたもので、基準年次を100としたとき当該年次の物価水準を物価指数で示す。日銀(http://www.boj.or.jp/stato/stato_f.htm)が公表。 他に、輸出物価指数、輸入物価指数がある。   (6) 工業統計 工業統計……生産活動の統計。工業センサス(全数調査)、生産動態統計など。毎年実施  
-7-
(7) 商業統計 商業統計……国内商品の取引及び商業経営。5年ごとに実施 商業動態統計調査 商業の販売活動の動向を示す指標で、経済産業省が調査月の翌月末ごろに速報。 商業の販売活動を、卸売業販売額と小売業販売額に分けている。百貨店、スーパー、コンビニの販売状況を合わせた小売業販売額は、個人消費の動向を供給側から知ることが可能だが、法人向けも含まれる。 第3次産業活動指数 個別業種の基礎資料を基にして加工・算出されている第3次産業の活動指数の指標で、経済産業省が公表。   (8) 産業連関表 GDP統計の制度を高めるため「供給・使用表」が(代って)新たに採用される。事業所に付加価値を聞き取り調査して計算に。 産業連関表はInput-Output table で、レオンチェフ表ともいわれる表である。構造は縦に投入、横に産出の構成で、各産業別に示されている。 縦に順に、中間投入、粗付加価値、国内生産額、(参考)国内総生産 で構成され、投入を示す。 各産業毎に、粗付加価値合計−家計外消費支出=国内総生産(計算上の参考)になる。 ※(参考)は、産業毎では、総支出=総生産にはならない。 横へ順に、中間需要、最終需要、需要合計、輸入計、国内生産額、(参考)国内総支出 で構成され、産出を示す。 各産業毎に、最終需要の合計−輸入−家計外消費支出=国内総支出(計算上の参考)になる。 表から、各産業毎に、付加価値部門合計額÷国内生産額により付加価値率を求めることができる。 平成27年第22問で産業連関表が出題された。学習ノートは「中小企業と産業政策」の範囲としている。 http://www.stat.go.jp/data/nenkan/index.htm   (9) 景気動向指数 用途による指標種別 ディフュージョン・インデックス(DI)……変化率を合成して指数化し、景気の局面を判断する指標。 コンポジット・インデックス(CI)……景気の量感を測る指標 景気動向指数(景気の広がりを示す) 先行指数:3ヶ月前より改善した指標の数が全体に占める割合で示す。 一致指数:現状の改善割合、50%超で景気拡大。3ヶ月連続で改善すれば回復局面とされる。 遅行指数:景気の波及度で、事後的に確認する。 <詳細:指数の内容> H29-6:景気動向指数(先行・一致・遅行)  
-8-
在庫循環図 在庫循環図(日本経済新聞より) 横軸に生産前年同期比、縦軸に在庫前年同期比をとり、在庫をプロットして結んだもの。およそ3年余りで反時計回りで1周する。「積み増し→積み上がり→調整→意図せざる在庫」のように表現する。   設備投資関連は、法人企業動向調査(内閣府)、全国企業短期経済観測および主要企業短期経済観測(日銀)などがある。 景気ウォッチャー調査 全国約2000人から景気の現状を「良い」から「悪い」までを五段階で評価してもらい、指数化したもの。いわゆる「街角景気」で、速報性が高い(調査から発表が約15日間内)。 その他重要なもの:日銀短観 日本銀行が行う「企業短期経済観測調査」で、全国の金融機関と資本金2,000万円以上の企業を対象に、3ヶ月おきに企業マインドを調査し、翌月初めに発表。「業況判断DI」、特に大企業製造業のその変化が注目される。 その他重要なもの:貿易統計 財務省が行う「貿易統計」は、税関通過の申請書を利用して商品別の輸出入状況を調査しているといわれている。特に輸出数量指数は海外と国内の景気を反映するといわれる。貿易統計は財務省関税局(http://www.customs.go.jp/toukei/info/)が公表。   H26-2:判断DI H26-3:世界経済  
-9-
3.財政政策と金融政策 GDPと利子率の同時決定 財市場の需要と供給の均衡を満たす国民所得と利子率の組み合わせ軌跡をIS曲線で描き、 貨幣の需要と供給の均衡を満たす国民所得と利子率の組み合わせの軌跡をLM曲線で描く。
IS曲線とLM曲線の交点でGDPと利子率の均衡水準が同時決定することを示す。
  (1) IS-LM曲線 市場を財市場(財・サービス市場)と貨幣市場の2つに分けて考える。また、資産は貨幣と債券の2つで、利子率の変化で資産価格が決まると考える。 貨幣はリスクのない安全な資産で、流動性が高く決済手段で使われる。だから、すべての取引で必要なものだが、収益性(利子率)はゼロである。他方、債券はリスクのある資産だが、収益性が高い。 IS曲線縦軸に利子率、横軸に国民所得をとり、財市場の国民所得と利子率の組み合わせ軌跡を描く。 IS曲線(IS曲線を導く) 国民所得は消費、投資、政府支出で構成されY=C+I+Gである。投資Iは独立投資から利子率感応投資を除いたもの、さらに消費はC=C0+c(1−t)Yである。これで、Y=C0+c(1−t)Y+I0−ir+G0となり、利子率rで整理するとr={(C0+I0+G0)÷i}−{(1−c(1−t))÷i}×Y になる。ここに利子率が決定する。ただし、r:利子率、C0:独立消費、I0:独立投資、G0:独立政府支出、i:投資の利子率感応度、c:限界消費性向、t:所得税率、Y:国民所得 財市場の均衡は、投資=貯蓄 IS曲線\右下がり:r={(C0+I0+G0)÷i}−{(1−c(1−t))÷i}×Y
※(傾き:(1−c(1−t))÷iはマイナスなので右下がり)。
  IS曲線のシフト IS曲線図 図「IS曲線」の点E0で財市場の均衡が成立しているとする。 利子率がi0からi1に低下したら国民所得Y0のもとでは超過需要が生じる。そのため国民所得の増加を伴い点E1で均衡する。また、点E0の均衡のとき、財政支出の増加で超過需要が生じたら、点E2の国民所得Y2とi0の組み合わせで新しく均衡する。これはIS曲線のIS’へのシフト。このように、財市場では貯蓄=投資の均衡状態になる利子率に決まり、利子率に依存して国民所得が決定される。※財市場の均衡は、貯蓄(供給)=投資。 <投資=貯蓄> 利子率が上昇(低下)すると、IS曲線は左へ(右へ)シフトする。IS曲線の上側(上昇)は超過供給、下側(低下)は超過需要。 ※超過供給とは、財市場の超過供給で、貯蓄>投資 である。 ※限界消費性向が大きいほど、IS曲線は緩やかになる。  
-10-
財市場:貨幣需要でわかる家計の資産選択 資産は、利子が付く債券と流動性が高い貨幣の2つしかなく、保有する動機によって資産を選択する。資産全部を債券で持つと利子が付くが、交換手段に使えないので保有バランスを考える。 そこで、貨幣保有の動機は、ー莪動機……取引の交換手段を目的とする動機 ⇒夙的動機……予備のための保有とする動機 資産動機……安全資産として保有したい動機  の3つが考えられ、3種の動機による貨幣需要があるとする。つまり、資産を選択する場合、資産は貨幣と債券の2つなので、貨幣の保有割合を決めれば必然的に債券の割合も決まる。 ※家計の資産選択は貨幣需要に絞れる。   3種の動機による貨幣需要を考えると、国民所得が増加すれば取引動機と予備的動機は増加する。他方、資産動機は債券の利子率が上昇すると減少する。つまり、貨幣需要L=独立貨幣需要L0+国民所得の変化によって変わる変数k×国民所得Y−貨幣需要が利子率によって変化する変数h×利子率r である。(L=L0+kY−hr) 貨幣需要……実質貨幣需要は利子率の減少関数、実質所得の増加関数 貨幣供給……名目供給量は中央銀行の政策、実質貨幣量は物価水準に依存 LM曲線を導く 先に、資産の選択は(債券需要の比率も分かるので)貨幣需要に絞れるとした。 これは、資産市場の均衡は、貨幣市場の需要と供給を検討すればよいことで、この均衡は、貨幣需要−貨幣供給=債券需要−債券供給 である。 つまり、(貨幣需要−実質マネーサプライ)+(債券需要−実質債券供給)=0 より、貨幣市場の均衡は貨幣需要=実質マネーサプライであり、 債券市場の均衡は債券需要=実質債券供給になる。貨幣需要関数L=L0+kY−hr、実質マネーサプライをM÷Pとすると、M÷P=L0+kY−hrが導かれる。 ※Pは物価水準で所与
これを利子率rについて解くと、LM曲線が導かれる。LM曲線は、縦軸に利子率、横軸に国民所得をとり、貨幣市場の国民所得と利子率の組み合わせ軌跡を描く。 ここで、r:利子率、M:マネー・サプライ、P:物価水準、L:独立貨幣需要、h:貨幣需要の利子率感応度、k:貨幣需要の国民所得感応度 である。
  LM曲線のシフト LM曲線図 図「LM曲線」の点E0で貨幣市場の均衡が成立しているとする 利子率がi0からi1に低下したら貨幣需要が増加し、国民所得Y0のもとでは超過需要が生じる。そのため国民所得の減少を伴い点E1で均衡する。 また、点E0の均衡のとき、マネー・サプライの増加で超過供給が生じたら、点E2の国民所得Y2とi0の組み合わせで新しく均衡する。これはLM曲線のLM’へのシフト。 このように、貨幣市場では貨幣の需要と供給(マネー・サプライ)が等しくなる(貨幣市場の均衡を示す)利子率が導かれ国民所得が決まる。
※Liquidity Preference:貨幣に対する流動性選好、 Money Supply:マネー・サプライ
LM曲線/右上がり:r=−{((M/P)−L)÷h}+(k÷h)×Y (切片:−((M/P)−L)÷h、傾き:k÷h) 曲線の感応 LM曲線と利子率感応度……貨幣の利子率感応度(分母)が小さいほど傾きは急になる。 所得が増えれば利子率は上がる。マネー・サプライが増加すると、右へシフトする。 LM曲線の上側(左側)は、貨幣市場で超過供給。下側(右側)は貨幣市場で超過需要 ※ LM曲線は(貨幣量によって)物価水準が変化するとシフトする(水準上昇でLM左上にシフト)。  
-11-
「利子率が均衡点より低い」と、貯蓄より投資が選択され、投資の実行で需要は供給を上回る。 IS-LM分析は、物価水準を所与として利子率を決定する。 国民所得と利子率が財市場と貨幣市場で同時均衡するように決まる。 均衡国民所得と均衡利子率はIS曲線とLM曲線の交点で決まる。   財政・金融政策の効果:曲線がシフトして決定 シフト要因……財政支出や貨幣供給量などの外生的変数 傾き要件……国民所得水準や利子率を決定する投資関数、消費関数及び貨幣需要関数など LM曲線の右側は超過需要、IS曲線の右側は超過供給。 財市場の超過需要は、投資>貯蓄であり、「LM曲線上の均衡点の利子率より低い状況」[H20-10]。 ※IS曲線とLM曲線の交点で、E0の下部分は超過需要の状態、右部分は財市場は超過供給、貨幣市場は超過需要。このとき、貨幣市場の均衡点より低い利子率の超過需要[H17-3]。 図「IS-LM分析」の説明:それぞれの場合 IS-LM曲線図 図「IS−LM分析」の点E0で財市場と貨幣市場の同時均衡が成立しているとする。 財政支出によりIS曲線がIS’へシフトして新しい均衡点E1に移動する。その結果、国民所得はY*、利子率はi1まで上昇し、完全雇用が実現する。 マネー・サプライの増加によってLM曲線がLM’へシフトして新しい均衡点E2に移る。その結果、国民所得はY*まで増加、利子率はi2まで低下し、完全雇用が実現する。※完全雇用実現の物価水準として   クラウディングアウト 財政政策による国民所得の上昇に伴い、貨幣の取引需要が増大する。しかし、(債券から)貨幣へのシフトによって利子率を上昇させ、投資は下落する。結果的に国民所得は下落し、当初の増加分は打ち消される。これをクラウディングアウト(政府支出が民間投資を追い出すの意)と呼ぶ。 マンデル・フレミングモデル(開放経済のIS−LM分析で、経常収支の均衡を組み込んだもの) 完全な資本移動を仮定した場合の財政・金融政策の効果を分析。設定は、ー国の債券と外国の債券の完全代替性、つまり、自国の利子率と外国の利子率は等しくなる。⊂国なので、自国の経済活動は世界の利子率に影響を及ぼさない。0拌悒譟璽箸聾什澆離譟璽箸将来も続く。 変動相場制下では金融政策は有効だが財政政策は無効。固定相場制下では金融政策は無効だが財政政策は有効とされる。  <詳細> 「貨幣供給の増加」になると(小国、完全資本移動、変動為替レート制下)、「経常収支が改善し」所得拡大する。「外国利子率の低下」は資本流入による円高で所得減少(IS曲線左へシフト)。(H22-8)  
-12-
GDP変化の伝達 ※「利子率感応度が高い」とは「敏感なとき」で勾配はゆるい(水平に近い)、低いとは鈍感なときで勾配は急(垂直に近い)。 _瀛抄ゝ襪伐瀛昭要の均衡で利子率が決まるので、金融緩和政策は利子率を低下させる。 低下の程度は貨幣需要の利子率感応度しだい(利子率感応度が高いと、利子率が少しの低下でも貨幣需要は大幅に増える)。 ⇒子率と資本の限界効率の比較で投資需要が決まる。投資は利子率で決まるが、その程度は投資の利子率感応度しだい(投資の利子率感応度が低いと、利子率が低下しても投資が少ししか増えない)。 E蟷饉要の増分の乗数倍の有効需要(GDP)が生まれる。GDPの増分=乗数×投資の増分 ね効需要(GDP)が決まれば雇用量が決まる。 ※,詫子率が動く幅(程度)で、△賄蟷颪動く幅(程度)と考えられる。 ※資本の限界効率……投資した新しい機械の予想収益率
 予想収益率=予想利益÷新品機械の価格
※利子率感応度と利子率弾力性は同じものといえる。   傾きと変数:IS曲線の例 IS曲線:r={(C0+I0+G0)÷i}−{(1−c(1−t))÷i}×Y 傾きはY=AX+BのA部分(a÷b)であり、分子aが大きいほど傾きは急になり、分母bが大きいほど傾きは緩やか(水平に近く)になる。また、-Aなら右下がりになる。 IS曲線の傾きは「i:投資の利子率感応度」、LM曲線の傾きは「k÷hで、貨幣需要の国民所得感応度÷貨幣需要の利子率感応度」がキーになる。 「投資の利子弾力性が小さいほどIS曲線はより急になる」[H19-5] 切片はY=AX+BのB部分。独立消費、独立投資および政府支出はIS曲線の切片の分子で、分子が大きくなると曲線は上へ(右へ)シフトする。 政府支出の増加は、(国民所得の増加と利子率の低下になり、)IS曲線を右へシフトする。[H19-5]   LM曲線では、  貨幣需要の所得率感応度が大きいほど、LM曲線の傾きは急になる。 分子:k  貨幣需要の利子率感応度が大きいほど、LM曲線の傾きは緩やかになる。 分母:h r=−{((M/P)−L)÷h}+(k÷h)×Y ※k/h:貨幣需要の国民所得感応度÷貨幣需要の利子率感応度   H26-5:IS-LM曲線(変動しない利子率) H27-6:IS-LM曲線(拡張的財政政策) H28-11:IS-LM曲線 設問1:傾き、設問2:IS曲線のシフト H29-9:IS-LM曲線(2市場の超過需給)  
-13-
(2) 雇用と物価水準 総需要曲線と総供給曲線の交点で物価水準と雇用量を同時に決める。   物価水準とは 物価水準……財・サービス全体の価格の変化量を表すときに用いる集計量 国民経済計算をするとき、個々の財・サービスの価格の集計量に物価水準を使う。 国民経済計算と物価水準:実質値と名目値は、経済変数の実質値=名目値÷物価水準。 GDPデフレーターGDP構成品目の個々の物価指数から間接的に導き出し、国内総生産を実質値で表すために用いられる。 実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター、実質成長率=名目成長率−インフレ率
※GDPの変化率は経済成長率、GDPデフレーターの変化率はインフレ率。
※金融資産の実質値は、名目額を物価水準で割ったもの。仮に、物価水準が2倍なら実質値は1/2になる。   総需要曲線と総供給曲線 物価水準の変化は、家計の消費や企業の投資に影響を及ぼす。例えば、総需要を構成する消費は国民所得のみならず、資産効果(またはピグー効果)によって実質資産額にも依存する。 総需要曲線は、物価水準と総需要との関係を示したもの。物価水準の上昇は総需要曲線を下方へ押し下げる。 総供給曲線は、物価水準と総供給との関係を示したもの。与えられた物価水準に対し、どれだけ労働者が雇用され、生産が行われるかの曲線。 ※AD-AS分析縦軸に物価水準、横軸に実質GDPをとり、右上がりの総供給曲線(AS曲線)、右下がりの総需要曲線(AD曲線)を描き、その交点で物価水準、実質GDPの均衡水準が決まるとする。   労働市場縦軸に労働実質賃金、横軸に労働量をとり、労働の需要と供給を示す。 労働の需要曲線は右下がり、他方、供給曲線は実質賃金が高いほどより多く労働を供給しようとするので、右上がりの曲線。ここで、労働の需要と供給が一致するように賃金が調整されるなら、雇用量は曲線の交点で示される。しかし、名目賃金は下方硬直性をもつ(低下しにくい)ため、非自発的失業が存在する。 ※名目賃金……物価水準を考慮しない賃金  
-14-
図「完全雇用均衡・不完全雇用均衡」の説明 完全雇用・不完全雇用図 物価水準は総需要曲線と総供給曲線の交点で与えられる。(供給曲線は完全雇用所得水準(の物価水準)で上に垂直に伸びている。)しかし、完全雇用の状態なのかは総需要曲線の位置に依存する。 物価水準がP0以下では供給量は完全雇用の水準(Y1)より低く、総供給曲線は右上がりになるが、P0より高くなると総供給曲線は垂直になる。 有効需要が完全雇用下のとき、総需要曲線Dのシフトは物価水準のみを変化させ、国民所得は変わらない。 有効需要が少なく完全雇用所得水準の物価水準P0より低いとき、総需要曲線のシフトD’によって物価水準は変化し、国民所得も同じ方向に変化する。※完全雇用下の国民所得をY1と仮定   失業 摩擦的失業転職に伴い生じる失業。異なる産業間の転職には時間がかかる。 構造的失業経済構造の変化に伴う失業。衰退的産業から発展的産業への転職は、技能を持ち合わせていないから容易ではない。 循環的失業景気循環に応じて生じる失業で、需要不足失業。好況期に良い仕事を求めて離職する失業も含む。 自発的失業現行の賃金では労働者が働かない、を選択することによって生じる失業。 非自発的失業現行の賃金で労働者が働くことを希望するが、就業できない労働者がいることで生じる失業 (*前掲)。 ※自然失業率完全雇用状態での失業。物価上昇率がない状態の失業率(フィリップス曲線)。   失業率と賃金 ※フィリップス曲線縦軸に賃金上昇率、横軸に失業率をとり、物価水準の上昇率と失業率の関係を示す右下がりの曲線。失業率が低いときは名目賃金の上昇率が高く、失業率が高いときは名目賃金の上昇率が低い。失業率と名目賃金の変化率はトレードオフの関係で、失業率を下落させようとするとインフレ率が高くなり、逆にインフレ率を抑えようとすると失業率が増える。 ※物価版フィリップス曲線は、失業率と物価水準上昇率の間にもトレードオフ関係がある(物価上昇率と名目賃金上昇率は正の相関だから)。 ※オークンの法則 「失業率が1%増えれば、GDPギャップは3.2%増加する。」 潜在的産出量と現実産出量とのギャップと失業率の関係を示したもの。  
-15-
物価水準変動のシグナル インフレーション物価水準が連続的に上昇すること。収益率は、「実質収益率=名目収益率−インフレ率」で求められる。
※上昇程度:クリーピング(1〜5%)、ギャロッピング(5%超)、ハイパーインフレ(倍以上)
デフレーション物価水準が連続的に下落すること。収益率は、「実質収益率=名目収益率+デフレ率」で求められる。 デフレーションが発生する背景には需要の減少がある。デフレーションは貨幣の実質的価値を高める効果がある。 例:「債務者には実質的返済額が増加するとともに、債務者から債権者への所得再配分の効果をもつ。」[H19-6] デフレスパイラル「デフレーションの中で、人々が物価の持続的下降を予測すれば、支出を手控えることになりデフレスパイラルに落ちることがある。」 デマンド・プル 好況期における消費の増加や民間投資の増大などで、需要が高まり総需要曲線が右上方へシフトしたとき、物価水準が上昇する。このとき均衡国民所得も上昇する。このときの物価上昇を、デマンド・プル・インフレーションという。つまり、AD曲線が右側にシフトすることで生じる物価水準の上昇をいう。(右上がり部分) コスト・プッシュ 原油の大幅な値上がりや電力の使用抑制などで総供給曲線が左上方にシフトしたとき、物価水準が上昇する。このとき均衡国民所得は下落する。このときの物価上昇をコスト・プッシュ・インフレーションといい、AS曲線が左側にシフトすることで生じる物価水準の上昇をいう(右上がり部分)。特に、景気後退下の物価上昇をスタッグ・フレーションという。   H25-5:雇用と物価水準(労働供給量と実質賃金率と生産量) H25-9:雇用と物価水準(インフレーションの説明) H27-7:雇用と物価水準(総需要と総供給) H28-6:[その他]効率賃金理論 H28-7:[雇用と物価水準]デフレーション  
-16-
(3) マネー・サプライ 中央銀行が直接供給するマネーは銀行部門の準備金(日銀当座預金)と民間非銀行部門の現金で保有され、ベース・マネー(またはマネタリー・ベース)といわれる。他方、マネー・サプライは貨幣供給量であるが、一般に民間保有の残高といわれる。ここでは、物価水準を考慮した実質マネー・サプライが用いられる。実質マネー・サプライ(M/P)=L0+kY−hr  但し、L0:独立貨幣需要、k:貨幣需要の国民所得感応度、h:貨幣需要の利子率感応度、r:利子率、Y:国民所得。※利子率に感応する   マネー・ストック(マネー・サプライから変更) 市中に出回る通貨量を示す統計で通貨供給量をいう。2008年にゆうちょ、農協などの預金も含めることになり、マネー・サプライからマネー・ストックとなる。 日銀や国内の銀行が保有する現金通貨や当座・普通預金通貨、外貨預金・定期性預金などの準通貨、民間非銀行部門が保有する現金・現預金・準通貨を統計して把握する。民間非銀行部門には地方公共団体も含まれる。但し今回、証券会社や短資会社が保有する現預金等は含まない。 ※日銀や国内の銀行が保有する現金通貨や当座・普通預金通貨をM1、外貨預金・定期性預金などの準通貨をM1に加えたM2、さらにM2にゆうちょ・農協などが保有する現金・現預金・準通貨を加えたM3と段階的に把握できる。 M3の平均残高は約1160兆円(H25.7月)。「広義流動性」としてM3に投資信託・国債を加えて増減を評価することもある。   2009年頃の有高(日本経済新聞より) M3現金、要求払い預金、定期預金、譲渡性預金などで、1057兆9千億円(2009年7月、前年同月比1.9%の伸び)。現金通貨は0.9%増加、預金通貨は0.5%増加、譲渡性預金(CD)は4.0%の増加、準通貨(定期預金など)は3.0%の増加。(※マネーストックをM3としている。) 広義流動性M3+国債や投資信託の残高は、1432兆9千億円(0.1%減、国債は10.6%減)。   信用創造 銀行部門は民間非銀行部門からの資金を預金(本源的預金)として預り、それを民間非銀行部門へ貸し付ける(派生的預金)。これを繰り返すことで本源的預金の数倍の派生的預金が生まれる。これを信用創造または預金創造という。 中央銀行はベース・マネーをコントロールでき、これによってベース・マネーは信用創造を経て数倍のマネー・サプライになる(ハイパワード・マネーという)。※銀行の貸し出しも「信用創造」という。   貨幣乗数 マネー・サプライの変化分とハイパワード・マネーの変化分の比率を貨幣乗数という(大きさは銀行部門が持つ準備金と預金の比率に依存する)。 貨幣乗数(m)=(流通通貨・預金比率+1)÷(流通通貨・預金比率+準備率)
(貨幣乗数=マネー・サプライ÷マネタリベース) ※H18-1、H21-6
ハイパワード・マネー(H)中央銀行が直接供給する貨幣量。現金通貨+準備預金で構成。 マネー・サプライ(M)=mH  m:貨幣乗数    
-17-
(4) 資本市場・金融市場 資金の供給と調達が行われる仕組みにおいて、短期資金の取引が行われる金融市場と、長期資金の取引が行われる資本市場がある。金融市場はマネーマーケットとも呼ばれ、インターバンク市場とオープン市場がある。資本市場は長期の資金調達・運用を行う売買型の市場で、株式を扱う株式市場と、利付債券や割引債券を扱う公社債市場がある。なお、金融市場及び資本市場はどちらも、発行者やセーラーなどで構成する発行市場と、投資家やディーラーなどで構成する流通市場がある。 資金調達 直接金融資金が最終的貸し手から最終的借り手に、仲介を経ずに直接貸し付けられる方式。※「株式証券による資金調達」など。 間接金融最終的借り手が銀行などの金融仲介機関を通じて資金を調達する方式。※いわゆる「銀行借り入れによる資金調達」。 このとき、仲介機関の発行する証券を間接証券というが、仲介を通じて本源的証券と異なる性質の証券が発行できる。 債券社債や国債として、投資家に、毎年利子を支払うこと、または定められた期間後に社債を一定の価格で買い戻すことを約束する証券。 債券の利子率は、確定利子÷債券価格で求める。 ※価格が上昇すれば債券の利子率は低下する。例えば、貨幣需要が増加すると、債券価格が低下し債券利子率は上昇する。つまり、「貨幣需要の高まりは債券利子率をつり上げる。」   H26-7:投資理論  
-18-
(5) 政府支出と財政政策 国・地方自治体など公的部門の経済活動を財政といい、財政を通じて公共目的への資源配分、所得再分配、及び経済の安定と成長を図る。 政府は経済の安定と適度な成長を実現するために、政府支出や課税による財政政策を実施する。その手段は政府の収入と支出である。 収入は租税、社会保険料、借り入れ(国債発行)で、支出は政府最終消費支出、固定資本形成、社会保障給付などである。   財政政策 緊縮的財政政策政府支出の減少や増税をいう。 拡張的財政政策政府支出の増加をいう。結果として国民所得を増加させるが、民間投資に悪影響を及ぼす場合がある。
拡張的な財政政策は、IS曲線を右側にシフトして国民所得は増加するが、均衡利子率は上昇する。[H27-6]
IS-LM分析政府支出の増加で、IS曲線右へシフト(国民所得の増加)、LM曲線左へシフト(均衡利子率上昇)する。 クラウディングアウト財政政策によって利子率の上昇を招き、投資を抑制してしまうこと。 財政政策と効果 財政支出による国民所得増加に最も効果的な状況(財政政策の効果的条件) LM曲線が緩やかな(つまり、貨幣需要の利子率感応度が高い)ときで、 IS曲線が右へシフトすること。   ※プライマリーバランス(財政収支) 税収と、公債費を除いた政府支出の差で見た財政収支。ゼロでプライマリー・バランスを実現しているとする。 国の借金 1,053兆3,572億円(国債、借入金、政府短期証券。H27年度末時点、前年度から約28兆円増加) ※減税による所得水準の上昇 Y=(−c÷(1−c)×T)+(1÷(1−c))×(C0+I+G)
 C0:独立消費、c:限界消費性向
上記式はY=租税乗数×税金+政府支出乗数(または投資乗数)×(独立消費+投資+政府支出) ※Y=C+I+G, C=C0+c(Y-T) 経済財政白書(2014年版) 名目賃金は上昇しにくい。
日本の働く環境について、時間あたりの企業収益が伸びているのに、名目賃金は減っているのでは? また、長期金利がなぜ低く推移しているのか、人口減に備えて労働生産性を高めること、社会保障費の歳出を抑えるにはどうすればよいのか、など日本の課題を分析・評価する。
経済財政白書(2015年版) 平成26年4月の消費税増税時の駆け込み需要は3兆円程度と推計する。   H25-7:政府支出と財政政策(有効需要創出効果が出ないケース) H25-8:政府支出と財政政策(減税と公債発行) H28-10:[政府支出と財政政策]ビルトイン・スタビライザー  
-19-
(6) 貨幣理論と金融政策 貨幣の機能:価値貯蔵機能 交換の手段……異なる物との交換を効率的に行う。 貯蔵の手段……リスクの少ない(確実な一時的)貯蔵を実現する。貨幣と債券:利子率の変化で資産価格が決まると考える。 貨幣……リスクのない安全な資産で、収益を生まない資産。(収益を生んでも極めて低い)。 債券……リスクのある資産だが収益を生み出す。この収益率を利子率という。 貨幣需要……取引需要、資産需要(投機的動機:流動性選好説)、予備的需要 ※取引需要は国民所得の増加関数(国民所得が増加すれば、取引の量も増える) ※投機的動機に基づく貨幣の需要は、利子率の減少関数となる(利子率が高いと貨幣の投機的動機に基づく需要は少ない。右下がり)。 金融政策と中央銀行の役割 金融政策は、国民全体の厚生を向上させるためにマネー・サプライと金利などを通じて経済活動に影響を与え、中央銀行がこの目標を達成しようとすること。※厚生の向上とは物価の安定、完全雇用の実現、国際収支の均衡・為替レートの安定である。 中央銀行の手段(マネー・サプライM2+M3+CD のコントロール) マネタリ・ベース(ベース・マネー、資金供給量)を操作してハイパワードマネーに及ぼす。 仝定歩合操作、公開市場操作:買いオペ(日銀が債券を購入)、売りオペ、K…蟒猗率操作:準備金(日銀当座預金)。 詳細 公定歩合操作近年はゼロ金利ゆえに実施していない。 公開市場操作買いオペ(日銀が民間から手形・債券を買い取り、貨幣を市場へ供給する:金融緩和)と売りオペ(日銀が民間に手形・債券を売り、貨幣を市場から吸収する:金融引き締め)で、マネー・サプライや金利をコントロールする。 法定準備率操作民間の銀行部門が日銀へ預けるお金(法定準備金)の量をコントロールして市中の貨幣量を調整する。 日銀の量的緩和策:H17年銀行の「日銀当座預金口座の残高」を多く維持する(H17.1.16)。H13年3月に5兆円から始まり2005年で30兆円(「日銀当座預金残高30兆円」はバブル後の金融政策)。
「金融システム不安の解消に役立った」(福井)ものの、資金がだぶついている。「政府短期証券3カ月ものは応札が多い。」
日銀の量的緩和策:「黒田節」H25年4月に黒田新総裁の下、物価目標を2年で2%上昇させるために金融緩和指標をマネタリー・ベースにおき、H27年末には倍の270兆円とする。長期国債(購入)も2年で190兆円に増やす。 ※日銀当座預金と金利 銀行などから国債を買い上げた資金を日銀当座預金に置いている。平成26年9月末日時点で残高161兆円とのこと。一昨年同時期に残高99兆円だった。
こうすることで長期金利の上昇を防いでいる。
日銀のマイナス金利政策 H28年2月16日から、金融機関が新たに日銀の当座預金に預けると金融機関から金利を課すことになった。 通常は預金に対して利息が支払われるが手数料を取ることになり「マイナス金利」といわれる。既に欧州では行われている。
この政策では金融機関が融資や投資にお金を振り向けることを期待するものの、まだ成果は出ていない。
マネタリーベースは、H26年9月末時点で、当座預金残が161兆円、現金が91兆円で、合計のマネタリーベースは252兆円。 ※日銀が大幅黒字 大量に買い入れた国債の利息収入がふえて大幅黒字。H26年前半期で5066億円。日銀のこの黒字は政府の収入になるからおもしろい。  
-20-
貨幣に関すること 貨幣の需要量貨幣需要量=(1÷貨幣の流通速度)×名目GDP
 ※貨幣の流通速度は近年およそ0.7くらい
マーシャルのk 人々が通貨で保有する割合で、通貨の需給に影響されない一定の値とされる。事後的に、貨幣流通速度の逆数と一致する。 ピグー効果 貨幣価値が上昇すると多くの消費が可能になる。人々が保有する実質貨幣残高が大きくなる(物価水準が下がる)と需要も増える。別名「実質残高効果」で、マネーサプライを物価で除したもの。貨幣の保有が増加すると貨幣乗数は低下する。 ティラールール望ましい成長率(GDP)とインフレ率のための中央銀行の行動をルール化(時間的非整合性:経済学賞)しようとする。「望ましい水準を上回るとそれに応じて金利を引き上げたり引き下げたりする金融政策(H16財政白書)」   H25-6:貨幣理論と金融政策(貨幣供給量に伴う債券市場と利子率の変化) H25-10:貨幣理論と金融政策(実質貨幣鋳造収入と期待インフレ率) H26-9:マネタリー・ベース H29-7:マネーサプライ(マネタリーベース)  
-21-
(7) 景気変動と景気循環 景気指標 鉱工業生産指数にみる景気 過去の山 103.4(1991年5月)を更新できていない。103.0(1997年5月)、102.7(2000年12月)。 景気循環サイクル キチンサイクル(在庫循環、平均40カ月)、ジュグラ−サイクル(設備投資循環、9〜10年程度)またはクズネッツ(建設循環、20年程度)、コンドラチェフ(技術革新・産業革命、50〜60年程度) 経済全般 ★現在の経済社会 ‐子化、高齢化 ⊃邑減少:女性と高齢者の就業促進、外国人の受け入れ C蓄率の低下:GDPの6割が個人消費で、可処分所得の約7%が貯蓄に回るが投資への影響と金利上昇の懸念。結果的に消費性向の上昇 (ご袷桓唆販┐旅盪澆泙蝓Ц柩僖潺好泪奪繊法掴働力率の低下, UV:失業者数・未充足欠員数 ゥ妊侫譴ら脱却できていない 国民からの借金 (Ъ困錣譴20年) ★マクロ経済とは、国内総生産がどのように決まるかを研究・分析し、雇用量の決定を測ろうとする。マクロ経済による経済政策が進む。 需要面に影響する要因……消費、所得、減税 投資に影響する要因……利子率、マネー・サプライ 貿易に影響する要因……為替レート 政府支出に影響する要因……国債発行 ◆経済成長 経済成長要因(中谷)……労働供給の変化、貯蓄率、設備投資、技術進歩 TFP(全要素生産性):ソロー残差は「技術進歩」   下表に「TFP寄与率」が加わる。 経済成長の変化[H26年12問] 生産誘発効果最終需要項目1単位の増加がどれだけ生産を誘発するか。輸出>民間固定資本形成>民間消費支出>公的固定資本形成 [H21-3] 経済の見方「実物的側面から」(消費、生産、投資)
「貨幣・金融的側面から」(資金の動き、貨幣の動き、利子率)
   
-22-
4.国際収支と為替相場 (1) 比較生産費と貿易理論 貿易の形態 垂直貿易……国に無いものを貿易し合う。天然資源や農水産物などの第一次産品他。 水平貿易……先進国間の貿易形態で、車と車などがあり、貿易摩擦にもなっている。   貿易が生じるモデル リカード・モデル:比較生産費説ラシャとぶどう酒の生産に投下する労働量を比較することによって2財の生産に有利・不利が生じ、これによって貿易が発生する。
\源才彖任蕨働だけ、∈發錬欧帖技術(投入係数)の違いで生産可能曲線が異なる。
ヘクシャー=オリーンモデル:別名「要素賦存比率の理論」……財が2種類ある2部門モデル 生産要素の存在量によって生産要素価格に差が生じ、それが生産費差となってあらわれ、さらに価格に差が発生し、それが要因で貿易が発生する。これは、その国に豊富に存在する生産要素を用いて生産すればより有利に財の産出が増大し、それを相互に取引すれば相互の生活水準は上昇する。これで、国際分業体制ができる。 \源才彖任六駛椶範働の2種類を投入する。■温颪脇韻言源叉蚕(生産関数)をもつ。 第1財は資本集約的、第2財は労働集約的で、自国の豊富なほうの生産要素を投入して財を生産することで比較優位をもつ。 貿易論:要素価格均等化理論労働(資本)集約的な財を輸入する国は、財を通じて労働力(資本)を輸入することと同じで、貿易が進むと2国の実質賃金や資本収益率が均等化していく。[H21-2] ストルバー=サミュエルソンの定理 自由貿易は、相対的に豊富に存在する要素を集約的に使用する財の生産者を豊かにし、相対的に希少な要素を使用する生産者を貧しくする。   比較生産費:イギリスとポルトガル 比較生産費図 イギリスはポルトガルに対して、ラシャの生産で比較優位にある。ポルトガルはイギリスに対して、ブドウ酒の生産で比較優位にある。 ラシャのブドウ酒に対する比較生産費は、イギリスで5/6、ポルトガルで9/8。 ※イギリスはポルトガルに対して、ラシャの方が低価格、ポルトガルはブドウ酒の方が低価格。(財一つから両国を比較するのでなく、2財のうちどちらが比較して優位かと考えた方がよさそう) ※比較優位は、各国は他国に比べて相対的に低価格で供給できる財・サービスに特化し、それぞれの生産物を交換することによって利益を得る。   比較優位2国2財で、その国で生産要素の投入が少なくすむ財を比較優位という、さらに2国を比較して相手国より少ない投入なら絶対優位という。  
-23-
貿易理論の進化:分業へ 物の交換である等価交換から、国際分業へ切り替えて考えた。 例えば、農業国と工業国による国際分業などで、リカードによる比較生産費説が貢献したともいわれる。 ぶどう酒と服地(ラシャ)の交換 両国が各々の相対的に優れた部門に特化すること、 相対的に劣った部門を相手国に委ねることによって、両国間に貿易が開かれると、両国ともにより多くの使用価値を入手できる利益を得ることができる。   分業…各人が得意な分野に特化して生産活動を行うこと。 貿易創造(創出)効果……より低い価格で多くの輸入が実現すること(経済厚生にプラス)。 貿易転換効果……貿易相手国が替わることにより関税収入を失うこと(資源配分にマイナス)。   <比較優位と過去問> ある財を生産するとき、他の財の生産を少量しか犠牲にしない国は、ある財に対して(機会費用が小さいので)比較優位をもつ。 H13問11図 A国全体は、3単位の労働に対して、チーズはその1/3で生産可能。A国はチーズが比較優位。他方B国全体では、9単位の労働に対してチーズは6/9→2/3で生産可能。B国はワインが比較優位。 チーズに対してA国は絶対優位、ワインもA国が絶対優位。     H13問11図 A国は、農業製品に比較優位を持っているが、どちらの製品に関しても絶対優位は持っていない。 A国は、両国間で貿易が行われるとすれば、農業製品を輸出する。   H28-19:[その他]2人2財の比較生産 H29-20:比較生産費と貿易理論(比較優位)  
-24-
(2) 国際収支と為替変動 1国の通貨は原則外国では通用しないので、国際取引では2国の通貨を交換しなければならない。この交換比率が為替レートである。したがって、取引相手国の通貨または基軸通貨に交換して取引をする。   交易条件……自国の財・サービス1単位で取得できる外国の財・サービスの量 両国の相対価格の表示:邦貨建ての為替レートを1ドル=π円とすると 自国の財・サービスの価格に対する外国の財・サービスの相対価格
 =(π×外国の物価水準)÷自国の物価水準
自国の財・サービス1単位で獲得できる外国の財・サービスの量
 =自国の物価水準÷(π×外国の物価水準)……交易条件
  貿易収支と為替 貿易収支が黒字……円の超過需要(ドルの超過供給)→円高(ドル安) 貿易収支が赤字……円の超過供給(ドルの超過需要)→円安(ドル高)   為替レートの決定 為替レートは、2国間の通貨関係(相対的価値)を示し、通貨の強弱を示す。 利子裁定有利な債券を求めて資産選択行動が行われ、自国債券の有利性と外国債券の有利性が等しくなる。 カバー付金利裁定先物でカバーされない利子裁定式といい、1+円金利=((1+ドル金利)×円ドル先物レート)÷円ドル直物 で示す。  購買力平価仮説長期的には為替レートは購買力平価に近づく。
ニューヨークで1ドルで購入できるものが日本でいくらかかるか(生活面のドルの価値)を示したもので、同じ財の価格を2国の通貨単位で測った比率(財は貿易財のこと)。
為替レートが両国のインフレ格差に影響される(国際的に一物一価が成立する水準で為替が決まる)。「(円÷ドル)レート=日本の物価水準÷米国の物価水準」で、日本の物価率上昇で円安・ドル高に。
購買力平価の求め方.縫紂璽茵璽で生活関連の410品目の1単位当たりの価格を調査をし、仮に総和が1000ドルとする。東京で同じもの調査すると、12万円とする。ここで、購買力平価は12万円。内外価格差=購買力平価÷為替レート   為替レートの変動 為替レートと需要・供給(H16-10)為替レートが均衡点より上のとき、ドルは供給超過、均衡のため円高・ドル安へ 為替レートの変化率短期的には利子率格差、長期的にはインフレ格差
ドルの超過供給 = 円の超過需要
実行為替レート 通貨が複数の通貨に対して総合的に見て強いか弱いかを示す指数。基準年のレートを100として値が高いほど通貨高となり、相手国との貿易や経済の関係をウエート付けする。 輸出競争力を示すために使うから日本の場合は輸出割合、米国(31%)、ユーロ(26%)、韓国(11%)で70%が決まる。「実効レート−物価変動=実質実効為替レート」 国際収支統計 ※国際収支統計は経常収支、資本収支(資金の動き)、外貨準備増減で構成するが、ここでは経常収支のみを対象にした国際収支とする。次のページに収支統計構造を説明している。  
-25-
【詳細:国際収支統計】 国際収支統計(海外との経済取引を複式簿記の原理で記録したもの) ○経常収支:財・サービスの取引 貿易収支財の輸出と輸入の差 サービス収支サービスの輸出と輸入の差  ※サービス:海外旅行、旅客・貨物の輸送運賃、保険料、特許料、通信・金融・情報サービスへの対価、興行料や報酬など 所得収支雇用者報酬(海外での労働に対する外国人・外国企業が支払う報酬)、投資収益(対外資産が生み出す利子・配当など)  ※投資収益:直接投資・証券投資などの収益[配当・利子]取引 経常移転収支政府の消費財の無償資金援助、国際機関拠出金、海外勤務者から本国への送金など  ※「経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支」と考えれば貿易上の収支がつかめる(経常移転収支は全体から見ると小額のため省略)。   ○資本収支……貨幣金融に対する取引(カネの流れ) 投資収支 直接投資……外国企業の買収・合併、海外への工場建設、不動産購入など 証券投資……株式や債券、金融派生商品への投資 その他投資……海外への貸付・借入、海外の現預金ほか その他の資本勘定 ○外貨準備増減 過去最高の外貨準備高……2012年1月末に1兆3066億6800万ドルとなる  ※保有債券を時価評価するため金利に影響されるも、2011年初冬の円売り・ドル買いが大きい。 経常収支と国債の消化 貿易赤字が拡大して経常収支の黒字縮小が伴うと、国内資産は減少し、国債購入力が弱まる。追加の国債を消化するためには海外に依存するようになる。
現在、燃料の輸入増などで赤字になっているが、貿易赤字基調が継続すると円安要因になり、更に赤字が膨らむことになる。
  H26-8:経常収支 H29-2:国際収支と為替変動(経常収支)  
-26-
Jカーブ効果……為替レートの増価(減価)は、すぐには経常収支の減少(増加)につながらない。 円安(円高)が純輸出を減少(増加)させる現象。数量調整がすぐに反応しないから。 発生要件マーシャル・ラーナー条件が成立せず、輸出供給の弾力性+輸入需要の弾力性 が1より小さいとき[H18-8]。 マーシャル=ラーナー条件輸出増加・輸入減少で、輸出量と輸入量の相対価格への弾力性の和が1より大きいこと(Jカーブ効果出現前提)。   フィッシャー方程式:名目利子率=実質利子率+期待インフレ率 <利子率計算>   FTA:自由貿易協定域内での貿易の自由化、域外は各国の政策しだい 貿易創造効果前掲、FTA等により関税が撤廃され経済厚生にプラスとなる。 貿易逆転効果貿易転換効果(前掲)ともいう。FTA域内の生産に代替され、資源の効果配分が阻害されるマイナス効果。 EPA経済連携協定特定の地域や国間で経済の幅広い分野の連携を目指す協定で、自由貿易協定(FTA)要素の関税引き下げに加え、投資、サービス、人の移動の円滑化など貿易のみならず協定していく。WTOによる多国間協定より短期的成果出やすい。 セーフガード緊急輸入制限。特定品目の輸入が激増して、国内の当該業界に重大な損害を与える恐れがある場合発動できる世界貿易機関(WTO)の特例。
2001年の日本のネギがある。
関税同盟(Customs Union)域内での関税を撤廃し、域外へは共通関税をかける。 共同市場(Common Market)貿易のみならず、労働や資本の移動も自由化する。共同経済政策はかけない。 経済同盟(Economic Union)共同市場であり、域外へは財政、金融、社会経済政策について統合する。 関税の影響ステップ(H16-9) ヽ姐颪らの供給曲線がT円上方にシフト、国内価格上昇→消費者余剰減少、9馥盒ゝ詢盟加→生産者余剰増加、す馥眈暖駑霧詐→消費者余剰減少、ネ入減少。 ◆銑い麓困Δ曚Δ多い。 輸入制限輸入制限には、ヾ慇如↓⇒入割当 がある。
どちらも、国内の高い費用で生産する非効率と、国際価格より高い価格で消費する非効率が伴う。生産者への補助金なら、その両非効率は抑制できる。[H21-10]
TPPの課題 アジア太平洋地域で(貿易取引上)取り残される懸念がある。背景には韓国のFTA(対EU)や中国のFTA(対ASEAN)などの締結。また、食の安全、自給率低下の側面や農業の崩壊、産業・医療・皆保険制度の崩壊が心配されており、交渉が続いている。   H27-9:国際収支と為替変動(為替変動と輸出入財価格)  
-27-
(3) 国際資本移動と国際資金フロー 国際的な資本移動財・サービスの取引による輸出と輸入の差である経常収支の不均衡が生じた場合で、当事国間は貸借関係にある。 資本移動 財・サービスの輸出−輸入、つまり経常収支が均衡していなければ国間で国際的な貸借関係が生じる。これを国際的な資本移動という。 経常収支の決定 ※経常収支がどのように決定するかを考えたもので、ここでは経常収支と貿易収支は同じものとする。国民所得を需要と所得処分で見ると、総需要は、消費+投資+政府支出 で表される。家計で、国民所得は消費+貯蓄+税金となって処分される。 ※D=C+I+G、Y=C+S+T このとき、総需要=総供給が成立する均衡国民所得は、(投資+政府支出)と(貯蓄+税金)との交点になる。(※D=Yとして整理の結果) つまり、(投資+政府支出)=(貯蓄+税金)であり、国全体では「投資=貯蓄」が成り立つことになる。変形すると、(貯蓄−投資)+(税金−政府支出)=0 ※(S-I)+(T-G)=0   開放経済下では、(貯蓄+税金)−(投資+政府支出)=(輸出−輸入)で表される。
※(S+T)−(I+G)=(X-M)
これを変形すれば、(貯蓄−投資)+(税金−政府支出)=(輸出−輸入)となり、
(民間収支)+(財政収支)=(経常収支)でもある。
  経常収支の考え方 ISバランス式資金過不足式とも言い、民間の収支と財政の収支が経常収支を決める。 (S−I)+(T−G)+経常収支赤字(X−M)=0 S:貯蓄、I:投資、T:税金、G:政府支出、X:輸出、M:輸入
※ISバランス式(資金過不足式)(H18-4、H19-4)
経常収支+資本収支=0、輸出−輸入=資本流出−資本流入
(借方)外国居住者への支払取引  (貸方)外国居住者からの受取取引 
つまり対外取引の実物面の受取超過は、貨幣金融面の支払超過で運用することになる:貸借バランス アブソープション経常収支は国民所得から国内での総支出を除いたものとして決まるとする考え方。 経常赤字 「消費>貯蓄」は、  岼い赤字」:過剰消費(貯蓄がなくなる)、◆嵶匹だ峪」:需要が増えたため(米国の1990年代、IT革命で) 資本の流れは、「経常赤字+資本流入=0」 アジア  →  アメリカ  ……物の輸出 アジア  →  アメリカ  ……資本投入:直接投資や株式投資=「ドル買い」 アジア  ←  アメリカ  ……ドル
  ※アジアは買い過ぎ(外貨準備高が高すぎる)→為替差損で「ドル安」
成熟債権国貿易で得た資金を海外投資に振り向け、対外資産から収益を稼ぐ。  
-28-
最適通貨圏:ユーロ 1つの通貨を共同で使う範囲は最適な基準があると考え、ドイツ、フランスを中心に欧州連合が1999年から導入した。 その考えは、…眠澆了つ公共性や規模の経済性……使用範囲が広いほど為替リスクも排除できる。 金融政策の効率性……使用範囲が広いほど金融政策の効果が偏る。 対策:産業構造が似通った地域では共通通貨圏を組み、他の地域には共同で変動レート制を採用すべき。 今回の問題:国によって財政状況が異なる。 ※ユーロ経済と日本経済に思う 試行錯誤の結果、ユーロ圏で金融緩和策が実行されるようだ。「ユーロよ、お前もか」と叫んでしまいたい。
先進国的経済政策に思う。まるで、先進国がなだれのように低金利へ進んでいる。今年はアメリカに期待するものの、先進国的低金利はその反動をより大きくしてしまうと危惧する。ただ、ユーロ圏でもドイツ経済は、他の先進国特に日本とは大きく違うようで、期待したい。戦後70年の今、両国の経済の基礎を考えるとかなり異なるようだ。それは……?。
 
-29-
5.主要経済理論   (1) ケインズ理論 需要に等しくなるように供給(国内総生産)が決定される(完全雇用の国民所得水準を下回るかもしれない)。これはケインズが1936年に「雇用・利子および貨幣に関する一般理論」で、失業問題から労働雇用の決定をテーマにした。 ケインズの理論 有効需要の原理需要が供給を決定する。市場メカニズムは不完全で政府の総需要管理政策が必要。 流動性選好説貨幣需要は所得と利子率による。利子率は貨幣の需要と供給とを等しくするように決定される。 貯蓄=投資(S+T=I+G)生産物の結果である所得は、消費、貯蓄又は税金の形で処分される。 その他「政府の役割」,「労働市場では賃金は下方硬直的」,「デフレは金融政策では解消しない」 「合成の誤謬」個々の事象は正しくても全体から見ると正しくなくなる可能性がある。(技術進歩や産業の発展が環境破壊をもたらす)。   主要な概要 有効需要 所得は総需要を満たすように決定される。乖離があれば生産側で数量調整する。所得=総生産=総供給、総需要=有効需要 Y=C0+cY+I0 左辺は45度線の総供給(AS)、右辺は総需要(AD)。C0は独立消費、cは限界消費性向、I0は独立投資、傾きは限界消費性向、切片は独立消費と独立投資の和(C0+I0)で示される曲線。 流動性選好説 利子率は貨幣の需要と供給とを等しくするように決定される。 貨幣市場では、貨幣が多い(超過供給)と、その一部を債券に換えたいとする者が多くなり、債券価格は上昇し利子率が低下する。価格があまり低くなると、換えたいと思う人が減って落ち着く(利子率が低下して安定する)。貨幣需要=貨幣供給量(M/P) になる。 貨幣需要=流動性選好いつでも商品や他の資産に替えることができる。 貨幣需要関数投機的動機に基づく貨幣需要が債券利子率に依存している。つまり、利子率が低下すれば投機的動機(利子率は将来上昇すると考えられ資産を貨幣で保有する)にもとづく貨幣需要は増大する。 財市場の均衡はIS曲線、貨幣市場の均衡を表すのがLM曲線 右下がりのIS曲線の右側(左側)では財市場で超過供給(超過需要)が起こっている。 右上がりのLM曲線の右側(左側)では貨幣市場で貨幣の超過需要(超過供給)が発生。 有効需要に影響を与える利子率と所得は財市場と貨幣市場の均衡で決まる(IS−LM分析)。   ※新ケインズ派は、「市場の価格調整が短期的には円滑でない場合がある。」とする。 ※現代のマクロ経済学(利子率と貨幣需要) 所得(GDP)が増大すれば取引動機・予備的動機にもとづく貨幣需要は増大し、利子率が低下すれば投機的動機にもとづく貨幣需要は増大する。 ※L1=L1(Y)、 L2=L2(r)  
-30-
(2) サプライサイド・エコノミクス 考えかた社会保障制度の充実は勤労意欲を弱め、政府規制は労働者の意欲や企業の投資意欲を弱めている。規制緩和などによって経済成長率を高めるべきだ。 米:フェルドスタイン他 労働者の労働意欲の減退、貯蓄率の低下、設備投資の抑制を解消するには、高福祉政策を見直し、減税を軸とする大幅な税制改革が必要。 サプライサイドの政策 価格の引き下げや魅力ある商品の提供などサプライサイドに重点を置いた政策が必要。 レーガノミックス……総需要政策だけでは限界があり、インフレ体質になってしまった。 レーガン経済政策.ぅ鵐侫貭誓轍修龍睛三き締め政策、∈仆从鏝困鯣爾Ω裟如↓小さな政府と規制緩和   ※ケインズ経済政策を成長鈍化やインフレーション激化の原因としている。   (3) マネタリズム マネタリズムは新古典派の立場。ミルトン・フリードマンらによって主張(1950から1960年代) 〆眄支出の拡大は実質GDPに大きな影響を与えない。 金融緩和政策は長期的には物価上昇をもたらす(長期的には価格は伸縮的)。
このような考えのもと、安定的な経済成長を導く手段として貨幣政策が最も重要だとし、通貨供給量を最適に保つことが政策当局に求められる。アナウンスした率で金融政策するのが望ましいとした。1970年代に裁量的な経済政策は経済の不安定要因になると考え、貨幣供給量を一定の伸び率で増加させるk%ルールの金融政策を提唱する。
  マネタリズムによるケインズ評価 「自然失業」を提唱。収入が多いところへの求職活動は投資であり、この求職活動で生じる失業を自然失業とする。 「ケインズ理論は長期的に成立しない」「財政政策は無効である」   マネタリズムのフィリップ曲線……フリードマンを中心に古典派の流れをくむ 短期では、有効需要管理政策によって、名目賃金の上昇は実質賃金の上昇と理解し、失業率は低下する。長期的には、物価水準の上昇のみとわかり、自然失業率以下には低下できない。(正しく認識すれば物価水準のみの上昇とわかりもとの水準に戻る。) ※自然失業率で垂直になる=自然失業率仮説 H27-8:主用経済理論(金融緩和政策)  
-31-
(4) 古典派と新古典派理論 古典派 価格をシグナルとして市場メカニズムによって価格・数量で調整される。 物価水準が変動しても名目賃金が伸縮的に変化するから完全雇用が実現する。 貨幣数量説金融政策による貨幣量の増加は物価の上昇をもたらすだけ(「貨幣の中立性」)。 貨幣需要は取引需要のみ(H23-3) 限界概念限界(marginal)概念(限界効用、限界費用)が資源の最適配分に重要だとする。   新古典派 市場メカニズムによって需要と供給が等しくなる。 数量を調整して供給をコントロール。長期的には価格調整され市場メカニズムで物価水準が調整される。 貨幣数量説マネー・サプライの変化は名目物価を比例的に変化させるだけで、実質変数(雇用量、実質GDP、実質利子率、消費量、投資量など)に影響を与えない。(貨幣の中立性) 市場経済が効率的な資源配分を行う仕組みを明らかにした。   ※新古典派の評価 1980年頃より世界銀行やIMFが採用する 成長理論すべての生産要素が完全雇用されることを前提に、外生的に与えられる技術進歩率のもとでの経済は成長する。 経済の成長要因は、(貯蓄率で決まってしまうが)貯蓄に等しい投資の実現と、人口成長率はどちらも外生的に決まる。 新古典派的開発戦略 「外向きの開発戦略」市場メカニズムを重視し、政府の介入を最低限にとどめ、輸出産業に対して中立的価格体系をとる。 H25-11:古典派と新古典派(新古典派経済成長モデル) H26-10:古典派経済学  
-32-
(5)新保守主義とシカゴ学派 シカゴ学派 集中度の高い産業において産業利益率が高くなるとの批判があるが、それは一時的で、長期には均等化傾向がある。 むしろ効率性の高い企業が高利益率と高成長を実現した結果である(効率性仮説)。 企業の合併や垂直的な関係を広く認めて企業活動の効率性を高めるべきである。その一方で、企業によるカルテルは市場における競争を排除するので、取締りや罰則を強化すべし。 参入障壁となっている政府規制を緩和し、廃止して、新たな参入を誘発して効率性を実現すべし。    シカゴ学派と価格機構 シカゴ学派は新自由主義学派ともいい、シカゴ大学の名誉教授フリードマンを中心に拡大した経済学派。合理的な経済運営を図り、物価上昇を抑えるためには自由な価格機能の復活を図らなければならないと考える。また、政府の裁量的な政策を否定する。   (6)新制度主義経済学 新制度派経済学 市場経済は、様々な経済諸制度が存在するにもかかわらず機能していると見えるのでなく、むしろ、それなしに機能し得ない。機能を阻害するのではなく補完している。それは、経済政策とその実績の差異は政治経済の組織の違いによる、と主張する。労働の組織だけでなく、国家や資本の組織も扱う。つまり、産業への資金供給の構造を形作る諸制度によって、企業活動や公共政策の担当者の選択肢の幅が影響を受ける。これによって、中央銀行の相対的な独立性が金融政策の在り方や財政政策と金融政策の間の調整方法や賃金交渉の性格に影響を与える。  
-33-
(7) 経済成長 技術進歩の3つの考え 新古典派の経済成長理論 経済成長率は人口の成長率+技術進歩による。技術進歩は経済の外で決まる。規模に対する収穫一定の生産関数。(資本蓄積の進展だけでは経済成長率が減退する) 一人当たりGDPが増加するにつれ、経済成長率が低下する。資本が蓄積されるほど追加の投資から得られるリターンが小さくなるから。 新古典派成長理論:ソローが提唱 Y=F(K、L) Y:GDP、F:生産関数、K:資本、L:労働 産出量は資本と労働と生産関数の積であり、大きな資本と少しの労働とか小さな資本と多くの労働のように代替性を認める。 生産関数が規模に関して収穫一定のとき、y=f(k)に置き換えられる。 f:資本装備率と一人当たりGDPの生産関数、y:GDP÷労働数、k:資本装備率(労働÷労働比率) 技術進歩:ソロー残差 Y=TF(K、L) Y:GDP、T:技術進歩、F:生産関数、K:資本、L:労働 Y−現実の産出量の変化−資本Kや労働Lの投入量=残差   内生的成長論 技術進歩は内生的にもたらされる(技術進歩は意識的な研究開発の結果だから)。 人口成長率は内生的に決まる(投資や技術進歩は労働の質を高めるから)。 (人的資本を高めれば経済の成長率に影響を与える) 研究開発部門や教育部門に資源が投入され、技術水準や労働の質が向上し、一人当たりの産出量である成長率が上昇すると考える。そのため、教育・訓練およびR&Dの重要性を主張する。 AKモデル生産関数Y=AK A:資本生産性の定数、K:資本ストック(工場設備、人的資本、金融資本、国全体の研究開発体制、社会全体の知識など)
これにより、生産量は直線で示される。つまり、生産効率、資本ストックの量、及び貯蓄率を高めれば生産量は増加するという収穫一定のモデル。
※成長の限界? 「豊かになった国では女性の社会進出が進み出生率が下がる。」 「2040年に世界の人口は80億人に達するもののその後減少に転じる。」 「生産性の高い産業は従事する人の割合が少なくなり、サービス産業や介護などの生産性の低い産業へのシフトが進む。」 「資本主義あるいは民主主義では短期的な利益を優先するため、環境を改善する活動に対する政府の判断が遅い。」ノルウェービジネススクールのヨルゲン・ランダース教授談 「ルイスの転換点」 労働力の無限供給が終わる転換点を通過したときをいう。※例えば、経済成長によって農村部から大都市へ労働力が移動するが、経済成長が低下または労動力供給が減少するようなところといえるようだ。   成長と格差:「21世紀の資本論」 H26年発刊され、世界でベストセラーになっているとのこと。著者はフランスの経済学者トマ・ピケティ氏で、「資本全体の収益率が経済成長率を上回っているので、資本を持つ人と持たない人との格差が広がっている。」としている。株式、不動産などからのあがりを資本収益率として、「低い経済成長率なのに資本収益率はあまり変わっていない。」とも。   H26-12:経済成長 H28-9:[経済成長]加速度原理:投資理論  
-34-
リアル・ビジネス・サイクル理論(新古典派)技術進歩は直接生産関数に影響してサプライショックを生じる 実物的景気循環論(リアル・ビジネス・サイクル理論)(H22-9) 実質GDPの変動は、企業の技術水準や政府支出などの持続的な変化によると考える。 リアル・ビジネス・サイクル理論(景気循環論のひとつ、1980年代アメリカで) 新古典派均衡理論の要因に技術進歩を加え、景気循環を均衡の変動としている。よって「不況でもパレート最適となる。」 実体的な要因(技術進歩)が景気循環の主因である。   H26-11:景気循環論   その他 ハロッド(自由放任下では適正成長率は存在しにくいとされるので導入的理論) 投資は生産能力を高める(サプライ・サイドに注目)。 適正成長率は需要と供給が「手に手をとって」調和的に成長することを保証する成長率。 適正成長率Gw=s÷v  s:貯蓄性向、v:資本係数   シュンペーター……イノベーションによる好況と不況 イノベーション新しい商品・生産方法の開発、新しいマーケットの開拓、原材料の新たな供給源の獲得、新たな組織の実現などの企業活動。 好況……超過利潤を目指した企業が群生的に現われる。 不況……好況期になされたイノベーションの模倣・普及で、静態化したもの。   ※現実の経済成長要因は、資本蓄積と技術進歩である。 人的資本と物的資本を投入した研究開発投資の成果である。   マクロ経済その他 H25-22:マクロその他(経済用語) H27-10:開放経済下で、貨幣量の拡大が及ぼす影響 H29-1:その他マクロ経済(日・米・EUの失業率グラフ)  
-35-
  参考図書 マクロ経済学 岩田規久男 新世社 1998 入門経済学 猪木武徳、鴇田忠彦、藪下史郎編著 有斐閣 2000 マクロ経済学 第2版 吉川洋著 岩波書店 2001 おもしろ経済学史 山崎好裕著 三嶺書房 1998 経済学 基礎と方法 時政勗著 牧野書店 1999 基礎からの経済学 大矢野栄次、益村眞知子編著 中央経済社 2000 マクロ経済学入門 中谷巌著 日経文庫 2003 中小企業診断士試験問題 平成13年〜29年 中小企業診断協会  他 日本経済新聞 学習ノート