第1問(R1)
下図は、政府の債務残高(対GDP比)の国際比較である。
図中のa〜cに該当する国の組み合わせたとして、最も適切なものを下記の解答群
から選べ。
〔解答群〕
ア a:アメリカ b:イタリア c:日本
イ a:イタリア b:日本 c:アメリカ
ウ a:日本 b:アメリカ c:イタリア
エ a:日本 b:イタリア c:アメリカ
第2問(R1)
国際経済に大きな影響を与える国の1つとして、中国の経済動向は重要である。
下図は、中国の貿易相手国・地域のシェア(2017年)を示している。
図中のa〜cに該当する国・地域の組み合わせとして、最も適切なものを下記の
解答群から選べ。
〔解答群〕
ア a:EU b:アメリカ c:日本
イ a:EU b:日本 c:アメリカ
ウ a:アメリカ b:EU c:日本
エ a:アメリカ b:日本 c:EU
第3問(R1)
国民経済計算は、総需要をいくつかの項目に区分している。これらの項目を見る
ことによって、より詳細に総需要の状況を把握することができる。
国民経済計算における総需要に関わる恒等式として、最も適切なものはどれか。
ア 公的需要=公的固定資本形成+公的在庫変動
イ 国内需要=民間需要+公的需要+財貨・サービスの輪入
ウ 総固定資本形成=民間住宅+民間企業設備
エ 民間需要=民間最終消費支出+民間住宅+民間企業設備+民間在庫変動
第4問(R1)
消費がどのようにして決まるかを理解することは、経済政策の手段を検討する際
にも、また、景気動向を予測する上でも重要である。一般に、消費の決定に所得が
影響すると考えられているが、具体的な影響の仕方についてはいくつかの考え方が
ある。
消費の決定に関する記述として、最、も適切なものはどれか。
ア 恒常所得仮説では、一時金の支給によって所得が増加しても、消費は増加しな
い。
イ 絶対所得仮説によるケインズ型消費関数では、減税によって可処分所得が増加
しても、消費は増加しない。
ウ 絶対所得仮説によるケインズ型消費関数では、定期給与のベースアップによっ
て所得が増加しても、消費は増加しない。
エ ライフサイクル仮説では、定期昇給によって所得が増加しても、消費は増加し
ない。
第5問(R1)
下図は、開放経済における生産物市場の均衡を表す45度線図である。直線AD
は総需要線であり、総需要ADは以下によって表される。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。
(設問1)
総需要線がAD0からAD1にシフトするときの乗数効果は
によって表さ
れる。乗数効果を小さくするものとして、最も適切なものの組み合わせを下記の
解答群から選べ。
a 限界消費性向の上昇
b 限界消費性向の低下
c 限界輸入性向の上昇
d 限界輸入性向の低下
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
(設問2)
均衡GDPは45度線と総需要線の交点によって与えられる。均衡GDPの変化
に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 減税は、総需要線の傾きを急にすることを通じて、均衡GDPを増やす。
イ 政府支出の拡大は、総需要線の上方への平行移動を通じて、均衡GDPを増
やす。
ウ 輸出の減少は、総需要線の傾きを緩やかにすることを通じて、均衡GDPを
減らす。
エ 利子率の上昇は、総需要線の上方への平行移動を通じて、均衡GDPを増や
す。
第6問(R1)
日本経済は、日本銀行による金融政策から影響を受けている。貨幣に関する記述
として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 中央銀行が買いオペを実施すると、マネタリー・ベースが増加する。
b マネー・ストックMlは、現金通貨、預金通貨、準通貨、譲渡性預金の合計で
ある。
c マネー・ストックをマネタリー・ベースで除した値は「信用乗数」と呼ばれる。
d 準備預金が増えると、信用乗数は大きくなる。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
第7問(R1)
為替レートの決定に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解
答群から選べ。
a 金利平価説によると、日本の利子率の上昇は円高の要因になる。
b 金利平価説によると、日本の利子率の上昇は円安の要因になる。
c 購買力平価説によると、日本の物価の上昇は円高の要因になる。
d 購買力平価説によると、日本の物価の上昇は円安の要因になる。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
第8問(R1)
総需要−総供給分析の枠組みで、財政・金融政策の効果と有効性を考える。
下記の設問に答えよ。
(設問1)
「流動性のわな」の状況下にあるときのLM曲線は、下図のように水平にな
る。このときの総需要曲線に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群
から選べ。
〔解答群〕
ア 物価が下落しても、利子率が低下しないため、投資支出は不変である。した
って、総需要曲線は垂直になる。
イ 物価が下落すると、利子率が低下して、投資支出が増加する。したがって、
総需要曲線は右下がりになる。
ウ 物価が下落すると、利子率は低下しないが、投資支出が増加する。したがっ
て、総需要曲線は右下がりになる。
エ 物価が下落すると、利子率は低下するが、投資支出は不変である。したがっ
て、総需要曲線は垂直になる。
(設問2)
「流動性のわな」の状況下における財政政策と金融政策の効果と有効性に関する
記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 政府支出を増加させても、クラウデイング・アウトによって総需要は不変で
ある。したがって、物価水準も実質GDPも当初の水準から変化しない。
b 政府支出の増加は、総需要を拡大させる。その結果、物価水準が上昇し、実
質GDPも増加する。
c 名目貨幣供給の増加は、総需要を変化させない。したがって、物価水準も実
質GDPも当初の水準から変化しない。
d 名目貨幣供給の増加は、総需要を拡大させる。その結果、物価水準が上昇
し、実質GDPも増加する。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
第9問(R1)
自然失業率仮説に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答
群から選べ。
a インフレと失業の間には、短期的にも長期的にも、トレード・オフの関係が成
立する。
b 自然失業率とは、非自発的失業率と自発的失業率の合計である。
c 循環的失業の拡大は、実際のインフレ率を抑制する。
d 政府による総需要拡大策は、長期的にはインフレを加速させる。
〔解答群〕
ア aとb
イ aとd
ウ bとc
エ cとd
第10問(R1)
市場取引から発生する利益は、「経済余剰」といわれる。この経済余剰は、売り手
にも買い手にも生じ、売り手の経済余剰は「生産者余剰」、買い手の経済余剰は「消
費者余剰」と呼ばれる。
下図に基づき、需要曲線または供給曲線のシフトに伴う余剰の変化に関する記述
として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。なお、点Eが初
期の均衡を示している。
a 所得の増加によって需要曲線が右方シフトすると、生産者余剰は減少する。
b 技術進歩によって供給曲線が右方シフトすると、消費者余剰は増加する。
c 好みの変化によって需要曲線が左方シフトすると、生産者余剰は減少する。
d 原材料費の上昇によって供給曲線が左方シフトすると、消費者余剰は増加する。
〔解答群〕
ア aとb
イ aとd
ウ bとc
エ cとd
第11問(R1)
下図は、供給曲線の形状が特殊なケースを描いたものである。座席数に上限があ
るチケットなどは、ある一定数を超えて販売することができないため、上限の水準
において垂直になる。なお、需要曲線は右下がりであるとする。
この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 供給曲線が垂直になってからは、生産者余剰は増加しない。
イ このイベントの主催者側がチケットの価格をP1に設定すると、超過需要が
生じる。
ウ チケットがP3で販売されると、社会的余剰は均衡価格の場合よりも□GEFH
の分だけ少ない。
エ チケットがQ1だけ供給されている場合、消費者は最大P2まで支払っても
よいと考えている。
第12問(R1)
Aさんは、夕食時にビールと焼酎を飲むことにしている。Aさんの効用水準を一
定とした場合、ビールを1杯余分に飲むことと引き換えに減らしてもよいと考える
焼酎の数量が、徐々に減ることを描いた無差別曲線として、最も適切なものはどれ
か。
第13問(R1)
ここでは、ある財の消費者が、学生とそれ以外の一般消費者に分けられるものと
する。このとき企業は、学生とそれ以外の一般消費者に対して異なる価格をつける
ことができる。また、学生は価格に対して弾力的である。
市場のパターンと、企業の価格設定に関する記述として、最も適切なものはどれ
か。
ア この財の市場は競争的であり、学生に対する価格を引き上げると、企業収入が
増加する。
イ この財の市場は競争的であり、学生に対する価格を引き下げると、企業収入が
増加する。
ウ この財の市場は不完全競争であり、学生に対する価格を引き上げると、企業収
入が増加する。
エ この財の市場は不完全競争であり、学生に対する価格を引き下げると、企業収
入が増加する。
第14問(R1)
労働と生産水準の関係について考える。労働は、生産水準に応じてすぐに投入量
を調整できる可変的インプットである。資本投入量が固定されているとき、生産物
の産出量は労働投入畳のみに依存し、下図のような総生産物曲線を描くことができ
る。
この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 労働投入量を増加させるほど、総生産物は増加する。
イ 労働の限界生産物は、原点Oから点Aの間で最小を迎え、それ以降は増加
する。
ウ 労働の平均生産物と限界生産物は、点Aで一致する。
エ 労働の平均生産物は、点Aにおいて最小となり、点Bにおいて最大となる。
第15問(R1)
下図は、産出と費用の関係を描いたものである。労働と資本の両方を可変的イン
プットとして、生産要素の投入と生産物の産出との関係を描いたものが等産出量曲
線である。また、等費用線は、一定の費用のもとで労働と資本をどのくらい投入す
ることが可能かを表している。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。
(設問1)
等費用線のシフトに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 資本のレンタル価格が上昇した場合、横軸の切片は不変のままで、縦軸の切
片が下方に移動する。
イ 賃金率が下落した場合、縦軸の切片は不変のままで、横軸の切片が左方に移
動する。
ウ 賃金率の上昇と同じ割合で資本のレンタル価格が下落すれば、等費用線の傾
きは変わらない。
エ 費用が増加すると、等費用線が左方に平行移動する。
(設問2)
等費用線が右方に平行移動した場合の記述として、最も適切なものはどれか。
ア 新しい等費用線における費用最小化は、点Eと費用は同じであるが、賃金
率と資本のレンタル価格がともに高い水準で達成される。
イ 新しい等費用線における費用最小化は、点Eよりも産出量が高い水準で達
成される。
ウ 新しい等費用線における費用最小化は、点Eよりも産出量が低い水準で達
成される。
エ 新しい等費用線における費用最小化は、点Eよりも労働と資本がともに少
ない水準で達成される。
第16問(R1)
短期の完全競争市場における、価格と最適生産の関係を考える。下図には、限界
費用曲線MC、平均費用曲線AC、平均可変費用曲線AVCが描かれている。
この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 価格がP1とP2の間に与えられると、固定費用はすべて損失になる。
イ 価格がPlより低い場合、操業を停止することで損失を固定費用のみに抑え
ことができる。
ウ 価格がP2より高い場合、総費用が総収入を上回る。
エ 平均固定費用は、生産量の増加に応じて上昇する。
第17問(R1)
海洋資源などの共有資源に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下
記の解答群から選べ。
a 共有資源の消費に対する無償の許可は、共有資源の消費の効率化につながる。
b 共有資源の消費に対する有償の許可は、共有資源の消費の効率化につながる。
c 共有資源は、消費に競合性があるが、排他性のない財として定義できる。
d 共有資源は、消費に排他性があるが、競合性のない財として定義できる。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
第18問(R1)
下図は、産業保護という観点から、輸入関税と生産補助金の効果を描いたもので
ある。輸入関税をかける場合、この財の国内価格はPfからPdへと上昇する。ま
た、生産補助金を交付する場合、この財の供給曲線はS0からS1へとシフトする。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。
(設問1)
輸入関税をかけた場合、また、生産補助金を交付した場合の需要量と供給量に
関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 輸入関税をかけた場合の需要量はQ1である。
イ 輸入関税をかけた場合の供給量はQ2である。
ウ 生産補助金を交付した場合の需要量はQ3である。
エ 生産補助金を交付した場合の供給量はQ4である。
(設問2)
輸入関税と生産補助金による社会的余剰の比較に関する記述として、最も適切
なものはどれか。
ア □BCJKの分だけ、生産補助金の方が輸入関税よりも損失が少なく、産業保
護の政策としてより効果的である。
イ □FGKHの分だけ、輸入関税の方が生産補助金よりも損失が少なく、産業
保護の政策としてより効果的である。
ウ △FIHと△GJKの分だけ、輸入関税の方が生産補助金よりも損失が少な
く、産業保護の政策としてより効果的である。
エ △FIHの分だけ、生産補助金の方が輸入関税よりも損失が少なく、産業保
護の政策としてより効果的である。
第19問(R1)
情報の非対称性がもたらすモラルハザードに関する記述として、最も適切なもの
の組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 雇用主が従業員の働き具合を監視できないために従業員がまじめに働かないと
き、この職場にはモラルハザードが生じている。
b 失業給付を増加させることは、失業による従業員の所得低下のリスクを減らす
ことを通じて、モラルハザードを減らす効果を期待できる。
c 食堂で調理の過程を客に見せることには、料理人が手を抜くリスクを減らすこ
とを通じて、モラルハザードを減らす効果を期待できる。
d 退職金の上乗せによる早期退職の促進が優秀な従業員を先に退職させるとき、
この職場にはモラルハザードが生じている。
〔解答群〕
ア aとb
イ aとc
ウ bとd
エ cとd
第20問(R1)
規模に関する収穫一定を想定するとき、経済学では、この性質を満たすものとし
て以下のようなコブ=ダグラス型生産関数をしばしば利用する。この生産関数に関
する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 1−αは、労働分配率を意味する。
イ 資本投入量と労働投入量がいずれも2倍になると、生産量も2倍になる。
ウ 労働投入量が増加すると、労働と資本の代替の弾力性は逓減する。
エ 労働の成長率と資本の成長率の和は、「全要素生産性」と呼ばれる。
第21問(R1)
費用便益分析による公共事業の評価基準は、純便益の大きさである。
ある町では、市街地にある老朽化した公共施設のマネジメントとして、市街地か
ら郊外へ移転した上で新築する方法と、その場所のままでリフォームする方法を検
討している。なお、現在の公共施設は、市街地に所在することが理由で、近隣に道
路渋滞を発生させている。この道路渋滞は、公共施設が市街地から郊外へ新築移転
することにより解消される。
新築の場合とリフォームの場合の、それぞれの費用や便益などは、下表のとおり
とする。ただし、利子率はゼロとする。このとき、費用便益分析によって2つの方
法を検討した結果として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
新築 | リフォーム |
便益 | 1億円 | 便益 | 1億円 |
費用 | 8,000万円 | 費用 | 5,000万円 |
渋滞緩和のメリット | 8,000万円 | 渋滞緩和のメリット | 4,000万円 |
〔解答群〕
ア 現状のままでよい。
イ 新築を選ぶのが望ましい。
ウ どちらを選んでも同じである。
エ リフォームを選ぶのが望ましい。