第1問(R1)
多角化して複数の事業を営む企業の企業ドメインと事業ドメインの決定に関する
記述として、最も適切なものはどれか。
ア 企業ドメインの決定は、個々の事業の定義を足し合わせるのではなく、外部の
利害関係者との間のさまざまな相互作用の範囲を反映し、事業の定義を見直す契
機となる。
イ 企業ドメインの決定は、新規事業進出分野の中心となる顧客セグメント選択の
判断に影響し、競争戦略策定の出発点として差別化の基本方針を提供する。
ウ 事業ドメインの決定は、将来手がける事業をどう定義するかの決定であり、日
常のオペレーションに直接関連し、全社戦略策定の第一歩として競争戦略に結び
付ける役割を果たす。
エ 事業ドメインの決定は、多角化の広がりの程度を決め、部門横断的な活動や製
品・事業分野との関連性とともに、将来の企業のあるべき姿や経営理念を包含し
ている存続領域を示す。
オ 事業ドメインの決定は、特定市場での競争戦略に影響を受け、将来の事業領域
の範囲をどう定義するかについて、企業が自らの相互作用の対象として選択した
事業ポートフォリオの決定である。
第2問(R1)
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する記述として、最も
適切なものはどれか。
ア ブロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでは、自社の事業の成長率と相対
的な市場シェアとを基準として事業を分類し、戦略事業単位が他の戦略事業単位
と製品や市場について相互に関連した統合的な戦略を持つ。
イ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでは、成長市場で市場シェアを維
持するために必要な再投資を大きく上回るキャッシュフローをもたらし、資金の
投入によって競争優位を維持する「花形」よりも、資金の流出を削減して競争優位
を獲得できる「問題児」の選択が重要である。
ウ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでは、「花形」は分野の将来性に大
きな魅力があり、特定の事業に対する集中的な投資の主要な資金供給源としても
重要であり、「負け犬」からの撤退を支える役割を果たす。
エ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、事業間のマーケテイングや技
術に関するシナジーが考慮されていないが、外部技術の導入によって規模の経済
を達成することで優位性を構築する事業にも適用できる。
オ ブロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、全社的な資源配分の論理の
1つとして位置づけられ、成長率の鈍化した業界の「花形」事業の大きな余剰資金
と「負け犬」を売却して得た資金を「金のなる木」に集中的に投入して競争優位を維
持する。
第3問(R1)
次の文中の空欄A〜Dに入る用語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の
解答群から選べ。
アンゾフは、環境変化が激しく、企業が決定すべき選択肢の評価基準も与えられ
ていない高度に不確実な状況を、□ A □という概念で捉え、□ A □の状況
下において、企業が取り組むべき問題を確定させ、その問題解決の方向性を探求す
ることを経営戦略論の固有の課題と示した。
その上で、企業が行っている意思決定を、□ B □的意思決定、□ C □的
意思決定、そして□ D □的意思決定に分類した。□ B □的意思決定は、現
行の業務の収益性の最大化を目的とするもの、□ C □的意思決定は、最大の業
績が生み出せるように企業の資源を組織化するもの、□ D □的意思決定は、将
来どのような業種に進出すべきかなどに関するものである。
〔解答群〕
ア A:非対称情報 B:業務 C:組織 D:戦略
イ A:非対称情報 B:日常 C:管理 D:計画
ウ A:非対称情報 B:日常 C:組織 D:長期
エ A:部分的無知 B:業務 C:管理 D:戦略
オ A:部分的無知 B:業務 C:戦略 D:長期
第4問(R1)
G.ハメルとC.K.プラハラードによるコア・コンピタンスに関する記述とし
て、最も適切なものはどれか。
ア コア・コンピタンスは、企業内部で育成していくものであるため、コア・コン
ビタンスを構成するスキルや技術を使った製品やサービス間で競争が行われるも
のの、コア・コンピタンスの構成要素であるスキルや技術を獲得するプロセスで
企業間の競争が起きることはない。
イ コア・コンピタンスは、企業の未来を切り拓くものであり、所有するスキルや
技術が現在の製品やサービスの競争力を支えていることに加えて、そのスキルや
技術は将来の新製品や新サービスの開発につながるようなものであることが必要
である。
ウ コア・コンピタンスは、顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体で
あるから、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客も理解していることが
必要である。
エ コア・コンピタンスは、他の競争優位の源泉となり得る生産設備や特許権のよ
うな会計用語上の「資産」ではないので、貸借対照表上に表れることはなく、コ
ア・コンピタンスの価値が減少することもない。
オ コア・コンピタンスは、ユニークな競争能力であり、個々のスキルや技術を束
ねたものであるから、束ねられたスキルや技術を独占的に所有していることに加
えて、競合会社の模倣を避けるために個々のスキルや技術も独占的に所有してい
ることが必要である。
第5問(R1)
戦略的提携に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 戦略的提携では、大学や政府機関が参加することはないが、同一の業種で競争
関係にある企業間よりも異業種の企業間での提携が多く、継続的な関係の構築が
図られる。
イ 戦略的提携は、共同開発や合弁事業設立のように、企業が独立性を維持して緩
やかな結びつきを構築するが、資本参加や当該企業同士の組織的な統合を通じて
経営資源の合体を図る。
ウ 戦略的提携は、提携による協力で得られる恩恵を最大限享受できる組織的な統
合を図り、業界内の新しいセグメントや新たな業界への低コストでの参入と経営
資源の補完を主な目的とする。
エ 戦略的提携は、当事者間での裏切りのリスクを内包するが、その回避のため
に、企業には互いの独立性を維持しつつも、階層関係を構築して関係の固定化を
図ることが求められる。
オ 戦略的提携は、範囲の経済を利用できる内部開発によるコストよりも、共同開
発のような提携によるコストが小さい場合、内部開発に代わって選択される。
第6問(R1)
「業界の構造分析」の枠組みに基づいて想定される、既存企業間での対抗度に関す
る予測として、最も適切なものはどれか。
ア 業界の成長率が高いと、製品市場での競合が激化して、業界全体の潜在的な収
益性は低くなる。
イ 顧客側で生じるスイッチングコストが高い業界では、製品市場での競合が嬢和
されて、業界全体の潜在的な収益性は高くなる。
ウ 固定費が高い業界では、製品市場での競合が緩和されて、業界全体の潜在的な
収益性は高くなる。
エ 事業戦略の方向性という点で、多様なバックグラウンドを有する企業が事業を
展開する業界では、製品市場での競合が緩和されて、業界全体の潜在的な収益性
は高くなる。
オ 退出障壁が高いと、製品市場での競合が嬢和されて、業界全体の潜在的な収益
性は高くなる。
第7問(R1)
経験効果や規模の経済に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 経験効果に基づくコスト優位を享受するためには、競合企業を上回る市場シェ
アを継続的に獲得することが、有効な手段となり得る。
イ 経験効果は、ある一時点での規模の大きさから生じるコスト優位として定義さ
れることから、経験効果が生じる基本的なメカニズムは、規模の経済と同じであ
る。
ウ 生産工程を保有しないサービス業では、経験効果は競争優位の源泉にならない。
エ 中小企業では、企業規模が小さいことから、規模の経済に基づく競争優位を求
めることはできない。
オ 同一企業が複数の事業を展開することから生じる「シナジー効果」は、規模の経
済を構成する中心的な要素の1つである。
第8問(R1)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
コンピュータのソフトウェアやコンテンツなどのデジタル化された情報財は、製
品開発費などの固定費が占める比率が□ A □く、製品1単位を追加的に生産す
るためにかかる費用が□ B □い傾向があるという特性を有している。
こうした情報財の特性は、製品市場での競争状況や、その状況に基づく競争戦略
に影響を与える。特に重要なのは、複数の企業が同様の情報財を供給して、コモ
ディティ化が生じる場合、たとえ当該市場が成長段階にあったとしても、企業間で
の競争が激化して、最終的には□ C □の水準まで価格が低下してしまう点にあ
る。
そのために、デジタル化された情報財では、その特性を勘案した競争戦略によっ
て、コストリーダーシップや製品差別化を実現することで、コモディティ化に伴う
熾烈な価格競争を回避すべきだとされる。例えば、パソコンのオペレーティング・
システム(OS)の場合、支配的な地位を確立した企業は、ユーザー数の多さが当該
製品の便益の増大につながる□ D □などを背景として、持続的な競争優位を獲
得してきた。
(設問1)
文中の空欄A〜Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
ア A:高 B:低 C:機会費用
イ A:高 B:低 C:限界費用
ウ A:高 B:低 C:固定費
エ A:低 B:高 C:機会費用
オ A:低 B:高 C:限界費用
(設問2)
文中の空欄Dに入る語句として、最も適切なものはどれか。
ア オープン・イノベーション
イ デジュール標準
ウ ネットワーク外部性
エ リバース・イノベーション
オ リバース・エンジニアリング
第9問(R1)
新製品や新サービスを受け入れる市場が一様ではなく、いくつかの異なったグ
ループによって構成されているとする考え方に、市場をマニア・マーケットと大衆
マーケットとに分けて市場の顧客層の質的な違いに着目するキャズム(Chasm:市
場の断層)の理論がある。
キャズムの理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア キャズムの理論では、大衆マーケットにおける新製品や新サービスの急成長
は、目利きの層(アーリー・アドブター)と流行を後追いする層(レイト・マジョ
リティー)に対し、並行的に受け入れられる必要がある。
イ キャズムの理論では、大衆マーケットを構成する流行に敏感な層(アーリー・
マジョリティー)にいかに受け入れられ、その需要を喚起するかが課題となる。
ウ キャズムの理論では、大衆マーケットを構成する流行を後追いする層(レイ
ト・マジョリティー)には受け入れられても、無関心の層(ラガード)に受け入れ
られるかどうかが問題となる。
エ キャズムの理論では、まずマニア・マーケットを構成する新しいモノ好きの層
(イノベーター)と無関心の層(ラガード)とに受け入れられることが必要である。
オ キャズムの理論では、マニア・マーケットを構成する新しいモノ好きの層(イ
ノベーター)に受け入れられ、いかに目利きの層(アーリー・アドブター)の反応
を推測するかが問題となる。
第10問(R1)
社内ベンチャーに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 社内ベンチャーは、新規事業に関する「学習装置」としての機能は果たせない
が、新規事業の推進と運営に必要な情報的資源を獲得して蓄積し、新規事業に挑
戦する心理的エネルギーを生み出す。
イ 社内ベンチャーは、新規事業の推進と運営について、本業や既存事業からの適
切な支援を得て、本業や既存事業の思考様式の枠組みの中で事業を推進するため
の組織である。
ウ 社内ベンチャーは、小さな独立企業のような運営を目的とするが、社内の他部
門の支援を得るために自律性よりも社内の意思決定プロセスとの整合性を重視す
る。
エ 社内ベンチャーは、プロジェクトチームやタスクフォースとして編成されるこ
とは少ないが、その運営ではハンズオフ型のベンチャーキャピタルに比べ、親企
業の関与の程度は低い。
オ 社内ベンチャーは、本業や既存事業の思考様式にとらわれない発想を生み出
し、本業や既存事業と異なった事業への進出や根本的に異質な製品開発を目的と
して設置されることが多い。
第11問(R1)
製品アーキテクチャは、製品を構成する個々の部品や要素の間のつなぎ方や製品
としてのまとめ方であり、部品(要素)間の相互依存性の程度によって、インテグラ
ル型とモジュラー型の2つに分類される。
「a 乗用車」、「b 大型旅客機」、「c デスクトップパソコン」、「d 業務用複合
機(コピー機)」の4つの領域において、現在の市場で主に取引されている製品を想
定した場合、それぞれインテグラル型、モジュラー型のいずれに該当するか。下記
の解答群から、最も適切なものの組み合わせを選べ。
〔解答群〕
ア a:インテグラル型 b‥インテグラル型 c:インテグラル型
d:モジュラー型
イ a:インテグラル型 b:インテグラル型 c:モジュラー型
d:インテグラル型
ウ a:モジュラー型 b:インテグラル型 c:モジュラー型
d:モジュラー型
エ a:モジュラー型 b:モジュラー型 c:インテグラル型
d:インテグラル型
オ a:モジュラー型 b:モジュラー型 c:モジュラー型
d:インテグラル型
第12問(R1)
S.G.ブランクが構築した「顧客開発」モデルは、顧客ニーズの把握が不十分、か
つ顧客の特定化が困難な場合に、仮説の検証を素早く繰り返すことによって、学習
を通して、新しいビジネスの成功率を高めようとするモデルであり、それを発展さ
せたものが、E.リースによって提唱された「リーン・スタートアップ」モデルであ
る。
「リーン・スタートアップ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア リーン・スタートアップでは、戦略を検証する実験によって、その実験段階の
製品やサービスが失敗に終わった場合、ビジョンを実現するためには、それまで
の開発コストが無駄になっても、戦略の方向転換(ピボット)が必要であるとして
いる。
イ リーン・スタートアップでは、不確実な状態で新しい製品やサービスを創り出
すスタートアップのプロセスを、戦略を検証する実験の連続と捉えており、その
実験回数をあらかじめ制限しておくことが、成功の鍵と捉えている。
ウ クリーン・スタートアップは、@顧客ニーズにかかる「仮説」を立てること、A顧
客ニーズを満たすアイデアを「製品化」すること、B製品化したものを消費者に
「提供」すること、C新たな顧客を次々に「開拓」することの4つのプロセスを直線
的に進めていくものである。
エ リーン・スタートアップは、新規事業の製品やサービス、対象となる顧客、販
売方法などが詳細に記述されたビジネス・プランを構築し、そのビジネス・プラ
ンに従って新規事業を進めていくプロセスである。
第13問(R1)
情報処理モデルに従って組織構造をデザインする際には、情報処理の必要性が不
確実性(uncertainty)の除去に関わるものなのか、多義性(equivocality)の除去に関
わるものなのかによって、必要となるコミュニケーションメディアのリッチネスや
調整メカニズムが異なる。
情報処理の必要性とコミュニケーションメディアのリッチネス、調整メカニズム
に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 新たなアイデアを生み出すために部門間調整を行う際、多義性の除去が必要に
なるときには、コミュニケーションの冗長性を排除し、効率的な調整メカニズム
を確保する必要がある。
イ 環境の新しい意味や価値の変化を知るには、多義性よりも不確実性の除去が需
要なので、アンケート調査のような手法が有効である。
ウ 環境の質的な変化は、組織部門間での多義性の除去の必要性を増加させるの
で、部門間でのフェイス・ツー・フェイスコミュニケーションなどのリッチなコ
ミュニケーションメディアを利用した調整メカニズムが必要になる。
エ コミュニケーションメディアをリッチなものにするためには、迅速なフィード
バック、明確に定義された言語による報告書、複数のチャネルの確保が必要であ
る。
オ 不確実性は情報量の不足を意味するので、リッチなコミュニケーションメディ
アを活用する必要性があり、より多くの情報を収集・処理するために職能別専門
化を追求した組織構造を設計することが望ましい。
第14問(R1)
組織学習は、一般に低次学習と高次学習に分けて考えることができる。組織学習
に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア D.マグレガーのいうY理論に基づく管理手法を採用すると、低次学習が促進
されるため、組織の業績は悪化する可能性が高まる。
イ 新たに組織に参加した組織メンバーは、組織の周縁にいるために、社会化のプ
ロセスを通じて積極的に高次学習をさせる必要がある。
ウ 高次学習とは組織の上位階層で行われている学習であり、低次学習とは組織の
下位階層で行われている学習である。
エ 組織の行動とそれが環境に与える効果の因果関係が分かりにくい場合、迷信的
学習といわれる低次学習が起こりやすい。
オ 低次学習とは組織の成果にとって悪い影響を与える学習であり、高次学習とは
より高い成果をあげるために不可欠であるため、組織メンバーに高次学習を意識
させることが重要である。
第15問(R1)
コンフリクトは、意思決定の標準メカニズムの機能不全を意味する。組織におけ
る部門間コンフリクトの原因、それへの対応に関する記述として、最も適切なもの
はどれか。
ア 組織内のスラックが豊富に存在すると、部門間の目標の独立性が減少し、部門
間コンフリクトが発生しやすくなる。
イ 組織内の部門間コンフリクトは、共同意思決定の必要性が高ければ高いほど、
また予算など限られた資源への依存度が大きければ大きいほど、発生する可能性
が高まる。
ウ 命令の一元性が確保されていると、部門間の目標や知覚の分化が進むため、部
門間コンフリクトが起きる可能性は低下する。
エ 目標が共有されている部門間でコンフリクトが生じた場合、その基準を満たす
解決策を探索するために、政治的工作やバーゲニングが使用される可能性が高く
なる。
第16問(R1)
E.ロックやG.レイサムらにより体系化された目標設定理論において指摘されて
いる、組織メンバーの努力や成果を引き出す目標の特徴として、最も適切なものは
どれか。
ア 目標と報酬(昇給や昇進など)の間の関係が明示されていること。
イ 目標の達成困難度が顕著に高いこと。
ウ 目標の達成度合いについてのフィードバックが得られること。
エ 目標の内容が組織運営上合理的であること。
オ 目標の内容が抽象的であること。
第17問(R1)
状況に即したりーダーシップに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア F.フィードラーの研究によると、組織が未成熟で管理体制が厳しい場合と、
組織が成熟しており管理体制が緩やかな場合においては、人間関係志向型のリー
ダーシップ行動が集団の業績を高める。
イ SL(Situational Leadership)理論によると、フォロワーの成熟度が高く、自律
的な行動が可能な状態では、リーダーの参加型リーダーシップにより、フォロ
ワーの行動が自然と集団目標に沿うようになる。
ウ パス・ゴール理論によると、「困難な目標を設定し、部下に全力を尽くすよう
求める」という達成志向型のリーダーシップは、タスクが構造化されていないと
きに、努力すれば高業績につながるというフォロワーの期待を高める。
エ リーダー・メンバー交換理論によると、リーダーとフォロワーの関係は、@他
人的関係、A知人的関係、B成熟した関係、という順序で深まっていく。関係の
深まりに応じて、敬意や信頼に根ざしたものになり、取引的・公式的な相互作用
が失われていく。
第18問(R1)
パーソナリティについてのモデルの1つに「ビッグファイブ」がある。ビッグファ
イブによると、個人のパーソナリティの多様性は、次の5つの特性の強度によって
説明される。
(1)外向性(extroversion:社交的、話好きなど)
(2)神経症傾向(neuroticism:心配性、傷つきやすいなど)
(3)開放性(openness:想像力が豊か、好奇心が強いなど)
(4)調和性(agreeableness:協力的、温和など)
(5)誠実性(conscientiousness:計画的、責任感が強いなど)
ビッグファイブに関する以下の文章の空欄A〜Cに入る用語の組み合わせとし
て、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
ビッグファイブを構成する5つのパーソナリティ特性は、職務満足や職務の成果
に影響する。□ A □以外の4つの特性は、職務満足と有意な関係がある。例え
ば、「神経症傾向」が強い人ほど、職務満足が低くなる傾向にある。一方、全ての職
務の成果と正の相関を持つのは、□ B □である。管理職や営業職のように、良
好な対人関係の構築や維持が重要な職務においては、□ C □が高い人ほど職務
の成果が高くなる。
〔解答群〕
ア A:外向性 B:開放性 C:外向性
イ A:外向性 B:開放性 C:調和性
ウ A:外向性 B:誠実性 C:調和性
エ A:開放性 B:開放性 C:調和性
オ A:開放性 B:誠実性 C:外向性
第19問(R1)
現代の企業は、規模の大小にかかわりなく、さまざまなステイクホルダーの社会
的ネットワークの中に埋め込まれている。企業は利害の異なるこうしたステイクホ
ルダーから正当性を獲得するために、ステイクホルダーと協調戦略を採る場合があ
る。
以下のa〜dの行動について、こうした協調戦略に関する記述の正誤の組み合わ
せとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a 企業とステイクホルダーとの間の資源交換をめぐって協定を締結すること。
b ステイクホルダーの代表を、企業の一員として政策決定機関に参加させること。
c 組織間の共通目標を達成するために、複数の組織が資源やリスクを共有しなが
ら、共同事業を行うこと。
d 特定の目標を達成するために、複数の組織間で、公式の調整機関を設置するこ
と。
〔解答群〕
ア a:正 b:正 c:正 d:正
イ a:正 b:正 c:正 d:誤
ウ a:誤 b:正 c:誤 d:誤
エ a:誤 b:誤 c:正 d:正
オ a:誤 b:誤 c:誤 d:正
第20問(R1)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
メーカーA社では、経営陣が「次世代の主力製品」と鳴り物入りで導入した製品X
について、累積損失が膨らんだため、市場から撤退する決定がなされた。実は5年
ほど前から、製品Xには深刻な問題があると気づいていた現場管理者が数人いた。
生産上のトラブルが続き、そのコストを価格に転嫁すれば競争力を失うことに気づ
いていたのである。しかしこの情報が、経営陣に伝わるには時間がかかりすぎた。
その原因を探求すると、以下のような状況であったことが分かった。
生産現場の管理者たちは、改善運動で成功してきた実績と有能感を持っていた。
当初は、改善運動で問題が処理できると考えていたが、マーケテイング面の問題が
より深刻であることが分かった。そこで彼らは、製品Xのプロジェクトマネジャー
(以下、「ミドル」という)に問題の深刻さを伝える報告書を作成した。A社では、こ
うした報告書には改善提案を付けることが当然視されていたため、時間をかけて詳
細なデータを付けた。
しかしこの精緻な報告書は、製品Xの導入決定の際に、トップ主導で行った生産
やマーケテイングの調査を根底から覆すような内容を含んでいた。そこでミドル
は、まず現場管理者たちに、その報告書に記載されたデータが正しいのか詳しく調
べるよう指示した。報告書が正しそうだと分かると今度は、経営陣に悲観的な情報
を小出しに流し始めた。経営陣からはいつも「説明資料が長すぎる」と叱られていた
ので、資料のデータを大幅に割愛し、問題の深刻さをオブラートに包み、現場では
事態を十分掌握しているように表現していた。そのため経営陣は製品Xについて、
引き続き「次世代の主力製品」と熱い期待を語り続け、必要な財務的資源も保証して
いったのである。
現場の管理者たちは問題点を指摘したにもかかわらず、経営陣は製品Xへの期待
を語り、ミドルからは再検討の要請がなされたため混乱した。そのうち彼らは、製
品]に悲観的な資料を作ることを控え、責任はミドルにあると考えるようになっ
た。やがて、納得したわけではなかったが、あまり気に留めることもなくなった。
(設問1)
あなたがコンサルタントとしてA社の問題を分析するとしたら、A社の組織メ
ンバーが持つ行動モデルに当てはまるものはどれか。最も適切なものを選べ。
ア 自分たちの考え方を頻繁に検証する。
イ 情報の妥当性を重視する。
ウ 積極的にリスクを取ろうとする。
エ 全社的な観点から自己の責任を果たそうとする。
オ 問題の論理的な部分を重視し、感情的な部分は排除しようとする。
(設問2)
あなたがコンサルタントとしてA社の組織を変革する際に、その方針や手段と
して、最も適切なものはどれか。
ア Off-JTのワークショップやセミナーを活用し、真実を明らかにしたからと
いって不利な立場に立たされることはない、という態度を経営者が率先して組
織メンバーに身に付けさせる。
イ 与えられた目標について利得の可能性を最大化し、損失の可能性を最小化す
るよう、組織のメンバーを動機づける。
ウ 管理職には自らの役割を明確にさせ、それを強化するために、他者に指示を
出したり、他者を傷つけることのないよう、伝える情報の範囲を自身でコント
ロールするよう訓練する。
エ 組織のメンバーは個人の責任と業績に応じて適切に報酬を得ることができ
る、という理念を定着させる。
オ 組織の和を重視し、組織メンバーや既存の制度を脅かすような言動は慎むよ
う訓練する。
第21問(R1)
多くの日本企業で利用されてきた職能資格制度に関する記述として、最も適切な
ものはどれか。
ア 社内等級ごとに求められる職務遂行能力の定義や、その定義に基づいた実際の
能力評価は、社外で普及しているさまざまな職業資格の体系に準拠して行われる。
イ 従業員の職務遂行能力の上昇が認められれば、たとえそれに見合う上位階層の
ポストや職務が社内で用意できなくても、社内等級は上げることができる。
ウ 職種ごとに職務遂行能力の定義が行われているため、従業員の職種をまたぐ異
動、ひいてはゼネラリスト育成には適さない。
エ 職務遂行能力は職務の経験年数に応じて上昇するため、職能資格制度は年功主
義的な人事管理の基盤となる。
第22問(R1)
「働き方改革」の一環として改正された労働基準法の第39条に定められた年次有
給休暇に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 使用者は、年次有給休暇を10労働日以上付与される労働者に、付与した基準
日から1年以内に5日について、時季指定して年次有給休暇を取得させなければ
ならないが、既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対して
は、時季指定をする必要はない。
イ 使用者は、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上
出勤した週所定労働日数が5日である労働者に10労働日の年次有給休暇を付与
しなければならないが、8割未満である者に対してはその出勤日数に比例した日
数の年次有給休暇を付与しなければならない。
ウ 使用者は、要件を満たした労働者に年次有給休暇を付与しなければならない
が、労働基準法第41条に定められた監督若しくは管理の地位にある者又は機密
の事務を取り扱う者は、この対象から除かれる。
エ 使用者は、労働者本人が時季を指定して年次有給休暇の取得を請求した場合、
事業の正常な運営を妨げる場合であっでも、これを変更することができない。
第23問(R1)
労働安全衛生法に定められた長時間労働に対する医師による面接指導(問診その
他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこ
と)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
なお、本問中、事業者は中小事業主とし、労働基準法第41条に規定された管理
監督者等の「適用除外者」及び同法第41条の2に規定されたいわゆる高度プロ
フェッショナル制度の「対象労働者」については考慮に入れないものとする。
ア 医師による面接指導に係る事業者の義務は、産業医を選定する義務のない、常
時50入未満の労働者を使用する事業場においても適用される。
イ 事業者は、医師による面接指導の結果に基づき、当該労働者の疲労の蓄積の状
況等の厚生労働省令に定められた事項及び医師の意見を記載した当該面接指導の
結果の記録を作成して、これを所定期間保存しなければならない。
ウ 事業者は、医師による面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、
パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その
他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把擁しなければならない。
エ 事業者は、その使用する労働者について、週40時間を超えて労働させた時間
が1月当たり45時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者であって、当該労
働者が申し出た場合、医師による面接指導を行わなければならない。
第24問(R1)
労働者の妊娠、出産、育児休業に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア あらかじめ就業規則に女性労働者が妊娠したことを退職理由として定め、かつ
採用の際にその旨の労働契約を締結している場合は、当該事実の到来をもって自
然退職となる。
イ 事業主が雇用する女性労働者に講じなければならない「職場における妊娠、出
産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置」について、派遣先
事業主は、派遣労働者に対して、そのような雇用管理上及び指揮命令上の措置を
溝じなければならない。
ウ 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止措置のうち、育児休業制
度の利用を阻害するものについては、当該育児休業制度を利用しようとする、又
は利用している女性労働者にのみ適用される。
エ 妊娠中及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効
とされる。ただし、当該解雇が妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供が
できないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したことを理由とす
る解雇であることを事業主が証明したときは、この限りでない。
第25問(R1)
事業主が公の目的のために賦課徴収される公租公課のうち、法律で「国税徴収の
例により徴収する」と規定されている労働保険(労災保険・雇用保険)、社会保険(健
康保険、厚生年金保険、介護保険とする)の保険料の納付に関する記述として、最
も適切なものはどれか。
なお、本問における社会保険料については健康保険の日雇特例被保険者に関する
ものを除くものとする。
ア 事業主は、労働保険の継続事業における一般保険料については、その概算保険
料(増加概算保険料、追加徴収、延納を除く)を、保険年度ごとに概算保険料申告
書に添えて、その保険年度の4月1日(保険年度の中途に保険関係が成立したも
のについては、当該保険関係が成立した日)から40日以内に納付しなければなら
ない。
イ 社会保険の被保険者(健康保険の任意継続被保険者を除く)及び被保険者を使用
する事業主は、それぞれ保険料額の2分の1を負担しなければならないが、事業
主は使用する被保険者負担分を報酬から控除することができなかったとしても、
使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。
ウ 社会保険の被保険者の毎月の保険料は、当月末目までに納付しなければならな
い。ただし、健康保険の任意継続被保険者に関する保険料については、その月の
10日(初めて納付すべき保険料については、保険者の指定日)までに納付しなけ
ればならない。
エ 労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託している中小事業主(当該保険
年度において10月1日以降に保険関係が成立したものを除く)は、当該事業主が
申請することにより、その継続事業の概算保険料を、4月1日からの四半期ごと
に4回に分けて納付することができる。
第26問(R1)
マーケティングにおける顧客との関係構築に関する記述として、最も適切なもの
はどれか。
ア 顧客が企業に対して持つロイヤルティには、再購買率で測定される行動的ロイ
ヤルティと態度に関わる心理的ロイヤルティがある。これらのうち前者が高けれ
ば後者も高いが、前者が低くても後者は高いこともある。
イ 顧客との関係構築を重要視するマーケテイングの考え方はBtoCのサービス・
マーケテイングにルーツがあるが、近年はBtoBマーケテイングにも応用される
ようになってきた。
ウ 顧客を満足させるには、顧客の事前の期待値を上回るパフォーマンスを提供す
る必要があるが、次回購買時には前回のパフォーマンスのレベルが期待値になる
ため、さらに高いパフォーマンスを提供することが望ましい。
エ 優良顧客を識別するための指標の1つである顧客生涯価値とは、顧客が今回ま
たは今期に購入した金額だけでなく、これまでに購入した全ての金額に等しい。
第27問(R1)
市場細分化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア BtoBマーケテイングで企業規模に基づき市場細分化を行った場合、各セグメ
ント内の企業は企業規模以外の基準においても均一となる。
イ BtoBマーケテイングではさまざまな変数に基づいた市場細分化が行われる
が、突発的な注文が多い企業や小口の注文が多い企業などは対象セグメントとし
て望ましくない。
ウ BtoBマーケテイングにおいては組織的な購買が行われることが多いが、購買
担当者の個人的特性に基づく市場細分化が有効な場合がある。
エ 市場細分化によって製品・サービスの種類が増えるため、企業のコストも増加
せざるを得ない。
第28問(R1)
製品ライフサイクルの各段階に対応したマーケテイングに関する記述として、最
も適切なものはどれか。
ア 成熟期に入ると市場はより多くの消費者に支えられるようになるため、技術的
に、より複雑で高度な製品の人気が高まる。
イ 導入期に他社に先駆けていち早く市場の主導権をとることが重要なので、投資
を抑えつつ競合他社から明確に差別化された製品やサービスを導入期に投入する
ことが望ましい。
ウ 導入期の主要顧客は市場動向や他者の行動を見ながら製品・サービスの購入を
決める追随型採用者なので、このような消費者が抱える問題を解決できる製品・
サービスを投入することが望ましい。
エ 導入期や成長期において市場の業界標準が成立する場合、これに準拠する、ま
たは対抗するなど、成立した業界標準に対応したマーケテイングを実行すること
が望ましい。
第29問(R1)
BtoBマーケテイングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア BtoBマーケテイングでは、BtoCマーケテイングに比べて特定少数の顧客を対
象とすることが多いため、ブランディングは不要である。
イ BtoBマーケテイングでは、顧客第一主義に立脚し、専ら既存顧客の要望に応
えることに集中するべきである。
ウ BtoBマーケテイングでは、常に、購買に関する意思決定は当該購買に関する
意思決定者の技術的専門知識に基づいて行われるため、このような購買者を想定
したマーケテイングが求められる。
エ BtoCマーケテイングでは、極めて高い市場シェアを獲得し長期的に維持する
ことは困難な場合が多いが、BtoBマーケテイングでは複数の寡占企業と取引で
きる場合などに極めて高い市場シェアを獲得し維持することも可能である。
第30問(R1)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
マスメディアとさまざまなプロモーショナル・メディアを組み合わせたコミュニ
ケーションを前提としてきた伝統的なマーケテイングから、近年急速に@デジタル・
マーケテイングへのシフトが進んでいる。このシフトは、A消費者同士の情報交換が
ソーシャルメディアなどを介して盛んに行われるようになっていることに対応した
動きでもある。
(設問1)
文中の下線部@に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 企業やマーケターが顧客と接したり会話したりする「タッチポイント」は、店
舗などの物理的空間だけに限定せず、オンライン上にもさまざまな形で設定さ
れる。
イ 需給バランスや時期などに応じて価格を変動させるダイナミック・プライシ
ングのような方法は、デジタル・マーケテイングの時代になって初めて登場し
た価格設定方法である。
ウ デジタル・マーケテイングにおいては、製品開発のための資金をオンライン
上の多数の消費者から調達するクラウド・ソーシングの手法がしばしば用いら
れる。
エ デジタル財の特徴として、複製が容易である(複製可能性)、他者が使用する
と直ちに価値が低下する(価値の毀損性)、オンラインで瞬時に転送できる(非
空間性)の3つをあげることができる。
(設問2)
文中の下線部Aに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア クチコミには、経験しないと判断できない「経験属性」に関する情報が豊富に
含まれている。
イ クチコミの利便性を向上するために、クチコミを集約したランキングや星評
価などが導入されたことにより、かえってクチコミの利便性が低下している。
ウ 消費者同士がオンライン上で交換したクチコミ情報が蓄積される場所は、蓄
積される情報や場の運営に関して消費者が主導権を持っているという意味で
「オウンドメディア」と呼ばれる。
エ マーケターが、企業と無関係な消費者であるかのように振る舞って情報を受
発信することは、当該企業にとっての長期的利益につながる。
第31問(R1)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
原油や原材料価格の低下、あるいは革新的技術の普及は、製造ならびに製品提供
にかかる変動費を減少させるため、販売価格の引き下げが検討されるが、価格を下
げることが需要の拡大につながらないケースもある。企業は、@需要の価格弾力性や
交差弾力性を確認したり、A競合他社の動向や顧客の需要を分析、考慮したりして、
価格を決定する。
(設問1)
文中の下線部@に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 企業は、製品Aの価格変化が製品Bの販売量にもたらす影響について、交差
弾力性の値を算出し確認する。具体的には、製品Aの価格の変化率を、製品B
の需要量の変化率で割った値を用いて判断する。
イ 牛肉の価格の変化が豚肉や鶏肉の需要量に、またコーヒー豆の価格の変化が
お茶や紅茶の需要量に影響することが予想される。これらのケースにおける交
差弾力性は負の値になる。
ウ 消費者が品質を判断しやすい製品の場合には、威光価格が有効に働くため、
価格を下げることが需要の拡大につながるとは限らない。
エ 利用者層や使用日的が異なるため、軽自動車の価格の変化は、高級スポーツ
カーの需要量には影響しないことが予想される。こうしたケースの交差弾力性
の値は、ゼロに近い。
(設問2)
文中の下線部Aに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ウィスキー、ネクタイ、スーツなどの製品では、低価格の普及品から高価格
の高級品までのバリエーションを提供することがある。このように、複数の価
格帯で製品展開することを「プライス・ライニング戦略」と呼ぶ。
イ 短期間で製品開発コストを回収することを目指して設定された高い価格を
「スキミング価格」と呼ぶ。このような価格設定は、模倣されやすい新製品に最
適である。
ウ 発売当日にCDやDVDを入手することに強いこだわりを持ち、価格に敏感
ではない熱狂的なフアンがいる。新製品導入にあたり、こうした層に対して一
時的に設定される高価格を「サブスクリプション価格」と呼ぶ。
エ 若者にスノーレジャーを普及させるために、多くのスキー場は、往復交通費
にウェアやスノーボードのレンタル料やリフト券を組み合わせた「キャプティ
ブ価格」を設定し、アピールしている。
第32問(R1)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
製品開発を効果的に行うために、多くの場合、企業担当者は@製品開発プロセスを
段階的に管理・実行している。それぞれの段階において、A調査や実験を行い、Bそれ
ぞれの分析結果に基づき意思決定を繰り返すことで、新製品の成功確率を高めるよ
う努めている。
(設問1)
文中の下線部@に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア「アイデア・スクリーニング」において、新製品アイデアが多い場合でも取捨
選択は十分に時間をかけて慎重に行うべきである。
イ 「市場テスト」では、実験用仮設店舗を用いて消費者の反応を確認するより
も、実際の市場環境で十分な時間や予算を投入して製品やマーケティング施策
をテストするべきである。
ウ 開発中の製品および当該製品と競合する既存製品を対象に、消費者の「知覚
マップ」を作成した場合、開発中の製品が空白領域に位置づけられたとして
も、その製品に消費者ニーズや市場性があるとは限らない。
エ 新製品アイデアのスクリーニングの次に、アイデアを具現化させるための試
作品開発段階である「プロトタイピング」に移る。製品アイデアを具体的な製品
属性に落とし込む作業であるため、通常、技術担当者に全権が委ねられる。
オ 新製品開発に際して、市場規模を推定することは、製品開発の実現に投じる
費用を誤って算定することにつながるため、不要である。
(設問2)
文中の下線部Aの調査や実験におけるデータ収集方法に関する記述として、最
も適切なものはどれか。
ア 観察法には、実験的条件下の調査対象者の行動を観察する方法や、調査者自
らが体験しその体験自体を自己観察する方法が含まれる。
イ グループインタビューの司会者は、複数の参加者と均一な距離を保つことが
求められる。共感を示したり、友好的関係を築こうとしたりしないほうがよい。
ウ デプスインタビューでは、考え方や価値観、行動スタイル、嗜好などを聞く
ことが可能である。また、グループインタビューと比較すると、他の参加者の
影響を受けにくく、一人当たりの調査コスト(金銭および時間)は低い。
エ リード・ユーザー法は、例えば、市場の規模や競合に対する兢争カを確認す
るために、主として検証的調査で用いられる。
(設問3)
文中の下線部Bの分析方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 2つの要素間の因果関係は、相関係数を算出することによって確認できる。
イ 異なる性質を持つ対象が混在しているとき、クラスター分析を用いて、似て
いる対象から構成される相互に排他的なグループに分類することがある。
ウ 順序尺度で測定された回答の集計では、一般的に、中央値と平均値が算出さ
れる。
エ 例えば、特定店舗での消費金額に男女で差があるのかを確認したいときに
は、男女それぞれが消費する金額の平均値を求め、それらの平均値の間に統計
的有意差があるといえるのかを、カイ二乗検定を用いて調べるとよい。
第33問(R1)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
サービス財には、@無形性、品質の変動性、不可分性、消滅性、需要の変動性と
いった特徴がある。Aサービス組織やサービス提供者は、これらの特徴を踏まえた対
応が求められる。
(設問1)
文中の下線部@に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア「品質の変動性」の対応として、企業には慎重な従業員採用や教育の徹底が求
められる。しかしながら、それに代わる機械の導入はサービスの均一化につな
がり、必然的に顧客の知覚品質は低下する。
イ「不可分性」といった特性により、サービス財の流通において、中間業者を活
用することができない。そのため、サービス業のチャネルは、有形財と比較し
て、短く単純なものになる。
ウ 情報管理システムやAI技術を用いることで、需要に応じてフレキシブルに
価格を変動させることが容易になった。「消滅性」「需要の変動性」の対応策とし
て、サービス業者は、これらの仕組みを用いて思い切った値引きを行うべきで
ある。
エ 美容室のように人が顧客に提供するサービスは、「無形性」「不可分性」を有す
るため、在庫を持つことや生産場所から他の場所に移動させることが困難であ
る。
(設問2)
文中の下線部Aに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 「サービス・トライアングル」は、顧客・サービス提供者・企業の3者の関係
性を図示している。中でも顧客とサービス提供者の関係をより密接なものにす
ることの重要性を説いている。
イ 「サービス・プロフィット・チェーン」は、、顧客満足が顧客ロイヤルティにつ
ながることで事業の収益性が高まることに注目し、企業が顧客に目を向けるこ
との重要性を強調している。
ウ 「逆さまのピラミッド」の図では、マネジャーは現場スタッフを支援する立場
にあり、両者の権限関係が製造発と逆転していることが示されている。
エ 「真実の瞬間」とは、適切なサービスを、顧客が望むタイミングで提供するこ
との重要性を示す概念である。
オ サービス品質の計測尺度である「サーブクォル(SERVQUAL)」では、サービ
ス利用前と利用後の2時点で評価を計測し、それらの差を確認することが推奨
されている。
第34問(R1)
消費者の情報処理や購買意思決定に影響をもたらす関与に関する記述として、最
も適切なものはどれか。
ア 関与とは製品カテゴリーに限定した消費者の関心度、重要度の程度のことであ
る。
イ 関与の水準は、消費者によって異なるが、当該消費者においては変動せず、安
定的である。
ウ 高関与な消費者に対して、商品の金銭的・社会的リスクや専門性を知覚させる
ことで、企業は自社が行うマーケテイング・コミュニケーション活動への反応を
高めることができる。
エ 低関与である場合、消費者は購買したり、利用したりする前に、製品に対する
慎重な評価を行う。