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第1問(H26)
 市場の成熟期を迎えた製造業の企業は、これまでの経営戦略を見直し、成熟段階
にふさわしい戦略をとることが重要になる。成熟期の戦略に関する記述として、最
も適切なものはどれか。

 ア 買い慣れた顧客が増えて、市場シェアを巡る競争は緩和するので、ブランド戦
  略を追及する。
 イ 市場での競争が緩和するので、市場シェアの拡大のために生産や販売の分野に
  積極的な追加投資をすることが効果的になる。
 ウ 市場や技術はほぼ安定するので、競争の重点をコストとサービスに置くように
  する。
 エ 通常、成熟期に向かうにつれて流通業者のマージンが減少し、撤退する流通業
  者が増えるので、製造業企業は強くなった交渉力を活かして流通支配力の強化を
  図る戦略を狙う。
 オ 転用のきかない経営資源は、帳簿価格が清算価値を上回っていれば売却してキ
  ャッシュフローの増大を図る。
第2問(H26)
 産業内で他社との競争状態に影響を及ぼす要因に関する記述として、最も適切な
ものはどれか。

 ア 企業数とともに産業内で企業の規模がどのように分布しているかは、企業間の
  競争と利益に影響を与える。
 イ 企業の固定費や在庫費が高ければ、供給量の増加に伴う追加費用も相対的に大
  きく、競争は緩和しやすい。
 ウ 産業からの撤退にあたって何らかの障害があれば、産業の成長が鈍化しても競
  争は緩和しやすい。
 エ 漸進的な生産能力の拡張ができない場合には、生産設備の増強によって一時的
  に競争は緩和しやすい。
第3問(H26)
 業績が悪化している事業から撤退すべきであっても、なかなかそれができないの
は、撤退を阻む障壁が存在するからである。そのような撤退障壁が生じている状況
に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 自社の精神ともいうべき事業への創業者や従業員の思い入れが強く、現状で踏
  ん張らざるをえない。
 イ 生産過剰で収益率が悪化しているが、業界秩序を守る協定が存在しているので
  同業者数に変化はなく、市場競争は平穏である。
 ウ 撤退のための社内再配置等のコストがかさむので、撤退の判断が難しくなる。
 エ 特定の業種にしか利用できない資産のために清算価値が低く、それを移動した
  り流用しようとすると、そのためのコスト負担が新たに大きくのしかかる。
 オ 不採算に陥っている事業であっても、他の事業との関連性が強いために、撤退
  すると他の事業の不利益を招き、自社の戦略上の強みを失いかねない。
第4問(H26)
 A社は、現社長が高齢化したために、家族や親族以外の者への事業承継をMBI
(management buy-in)によって行うことを検討している。MBIに関する記述とし
て、最も適切なものはどれか。

 ア 現社長と役員は、投資ファンドから資金を調達し、現経営陣を支援してもら
  う。
 イ 現社長は、社外の第三者に自社株式を買取らせ、経営を引き継いでもらう。
 ウ 現社長は、投資ファンドに自社株式を買い取ってもらい、経営を外部から監視
  してもらう。
 エ 現社長は、長く勤めた営業部長に自社株式を買い取らせず、経営を引き継いで
  もらう。
 オ 現社長は、長く勤めた営業部長や経理課長に自社株式を買い取らせ、営業部長
  に経営を引き継いでもらう。
第5問(H26)
 シナジー効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 ア 動的なシナジーよりも静的なシナジーをつくり出せるような事業の組み合わせ
  の方が望ましい。
 イ 範囲の経済の効果とは別個に発生し、複数事業の組み合わせによる費用の低下
  を生じさせる。
 ウ 複数事業の組み合わせによる情報的資源の同時多重利用によって発生する効果
  を指す。
 エ 複数の製品分野での事業が互いに足りない部分を補い合うことで、企業全体と
  して売上の季節変動などを平準化できる。
第6問(H26)
 プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)の考え方に関する記述とし
て、最も適切なものはどれか。

 ア 事業単位は他の事業単位と製品や市場について相互に関連した統合的戦略をも
  ち、計画の範囲内で自由に対処する。
 イ 資金の流出は市場での競争上の地位で決まると考える。
 ウ 資金の流出量を削減して優位性を確保できる「問題児」の選択が重要である。
 エ 自社の相対的な市場シェアと自社事業の成長率を基準として事業を分類する。
 オ 全社的な資源配分のための論理のひとつとしての位置付けが重要であり、ドメ
  インの定義と併せることで現実的な資源配分の指針となる。
第7問(H26)
 規模の経済と経験曲線および経験効果に関する記述として、最も不適切なものは
どれか。

 ア 規模の経済と経験効果は連続的に生じ、コスト低下の効果が生じない停滞期間
  が存在することは少ないが、物理的な特性が効率性の向上の水準を制限する場合
  もある。
 イ 規模の経済の追求には相当額の投資が必要であり、多くの場合、特殊化した資
  産が投資対象となって長期間にわたって実現されるコストの減少を通じた投資回
  収を目指す。
 ウ 規模の経済は、ある一定程度の総生産量が増加することによるコストの低下を
  指し、大規模な工場施設の建設などで模倣することはできるが、経験効果の構築
  にはある程度の時間を必要とする。
 エ 規模の経済は、業界内において利益をあげられる企業数の上限を決定する一因
  となり、市場規模に対する生産の最小効率規模が大きいほど、当該業界に存在で
  きる企業数は少なくなる。
 オ 経験曲線は累積生産量の増加に伴ってコストが低下することを表し、累積生産
  量に対応する技術の進歩や改善等の要因からも生じるが、生産機能において生じ
  る経験効果に限定されない。
第8問(H26)
 自動車メーカーや電気・電子機器メーカーなどの大手企業と部品サプライヤーの
中小企業との取引関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 ア 自動車メーカーが承認図方式をとるのは、自社技術がカバーしにくい領域の部
  品であり、第一次系列のサプライヤーに限られるので、中小企業が承認図部品の
  受注を受けることはない。
 イ 自動車メーカーが複数発注をするのは重要な部品が中心であり、月間生産計画
  がほぼ固定された特定のサプライヤーに渡されて、貸与図による部品生産が行わ
  れる。
 ウ 中小企業が優良外注先としての評価を高めるためには、通常好業績で高い生産
  能力をもつことが求められるが、大手企業側からみれば、そのような中小企業と
  の取引を数多くもつことによって、生産全体に柔軟性を持たせることができる。
 エ 電気・電子機器メーカーからの注文の契約期間は概して短期間であるが、発注
  量が安定しており、納入価格も明示されるので、自社の生産計画に合わせやす
  い。
 オ 電気・電子機器メーカーからの発注品目は比較的標準的な部品ながら、持続的
  な系列取引が求められるので、自社の生産設備を更新する必要はほとんどない。
第9問(H26)
 研究開発に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 基礎研究から生み出された技術が成功するためには、その技術に基づく製品が
  市場で勝ち抜くことを阻む「死の谷」と呼ばれる断絶を克服しなければならない。
 イ 自社の技術だけで最終製品が生まれることはまれであり、関連する技術領域を
  幅広く動員する技術の統合能力が製品開発には必要である。
 ウ 市場ニーズをくみ上げて技術開発を進めるには、研究開発要員が日常的に市場
  との対話の機会を持ったり、営業部門や生産部門との連携を保つことが重要であ
  る。
 エ 新規な技術が生まれにくくなるにつれて、顧客の感性に訴えるデザインや利便
  性あるいは顧客の課題解決提案などの新たな視点による製品開発の例も生まれて
  いる。
 オ 模倣は、研究開発投資のコストや時間を節約できるばかりでなく、先発企業の
  市場開拓に追随すればよいので、マーケティング・コストの負担も軽減できる可
  能性が高い。
第10問(H26)
 創業間もないベンチャー企業は、新製品や新サービスを受け入れる市場が一様で
はなく、いくつかの異なったグループによって構成されていることに着目する必要
がある。新製品・サービスの販売に悪戦苦闘する場合にみられる「市場の断層(キャ
ズム)」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 ア 新しいモノ好きの層(イノベーター)や目利きの層(アーリー・アドプター)には
  受け入れられても、いかに流行に敏感な層(アーリー・マジョリティー)に受け入
  れられるかが課題である。
 イ 新しいモノ好きの層(イノベーター)や流行に敏感な層(アーリー・マジョリテ
  ィー)には受け入れられても、いかに無関心の層(ラガード)に受け入れられるか
  が課題である。
 ウ 流行に敏感な層(アーリー・マジョリティー)には一時的に受け入れられても、
  新しいモノ好きの層(イノベーター)には受け入れられないという問題である。
 エ 流行に敏感な層(アーリー・マジョリティー)の反応を見て。新しいモノ好きの
  層(イノベーター)や目利きの層(アーリー・アドプター)の反応を勘違いして判断
  してしまう問題である。
 オ 流行に敏感な層(アーリー・マジョリティー)や流行を後追いする層(レイト・
  マジョリティー)には受け入れられても、いかに無関心の層(ラガード)に受け入
  れられるかが課題である。
第11問(H26)
 スタートアップ段階のベンチャー企業A社は、将来の成長ステージについて段
階を追って計画を立て、達成目標と時期を明確にしたマイルストーンの明示を真剣
に考えている。同社は成果が出るまでに数年を要すると考えて、効果的なキャッシ
ュフローはJカーブ曲線を描くと予想し、それを経営の根幹に位置付けて計画を検
討している。累積的なキャッシュフローが描くJカーブ曲線に関する記述として、
最も適切なものはどれか。

 ア 新製品・サービスが意図した通りのプロセスで開発できるかどうかのリスクを
  示し、アイデアの創出から市場投入までの商業化段階での効果を指す。
 イ 新製品・サービスが意図した通りのプロセスで開発できるかどうかのリスクを
  示し、市場投入前の先行投資であるサポートコストの影響を受ける。
 ウ 新製品・サービスが顧客の望む数量や価格水準で受け入れられるかどうかのリ
  スクを示し、市場投入後の再投資を含むスタートアップコストの影響も受ける。
 エ 新製品・サービスの開発、生産、販売などを予想通り行えるかどうかのリスク
  を示し、商品の市場投入までの時間と量産までの時間の両方から影響を受ける。
第12問(H26)
 中小企業が海外でモノづくりに取り組む際に注意すべき点や考慮すべき事項に関
する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 海外でのトラブル対処には時間とコストがかかり、時には政治的な介入があり
  うる事を想定しておかなければならないので、国際弁護士や国際関係機関との連
  携を構築することも重要である。
 イ 自社製品の海外拠点での生産販売を目指す場合、日本国内で現地人を採用し、
  日本語によるビジネス能力を育成し、彼らを責任者にした輸出から着手する方が
  回り道であるが、現地拠点とのビジネス・コミュニケーションが円滑になり、進
  出リスクを軽減できる可能性が高まる例がみられる。
 ウ 単独出資での進出に制限がある場合、現地パートナーとの関係構築が重要にな
  るので、現地操業後の管理運営について密接な情報交換と深い人間関係を通じた
  信頼の構築が難しい場合は、進出を中止することも選択肢になる。
 エ 部品のサプライヤーとして進出する場合は、アセンブラーと連携を図るととも
  に、現地での販売先を確保できる見通しをつけておくことが必須になる。
第13問(H26)
 企業は自己の利益を追及するばかりではなく、その活動が社会に与える影響につ
いて適切に対応するとともに、社会が企業に求める期待に応えることが要請されて
いる。以下の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 ア 意欲的な企業ではNPOに金銭的な寄付のみならず、余剰の商品在庫を提供し
  たり、従業員のボランティア派遣を行ったり、管理職がNPOの役員に就任した
  りして、NPOとの連携で社会貢献を図ろうとする例がみられる。
 イ 偽装を取り締まる法律は通称JAS法しかなく、表示内容にあざむく意図がな
  い場合は誤表示として扱われて、JAS法の適用を免れるので、企業は偽装の疑
  いに対して誤表示と言い張る例が昨今多くなっている。
 ウ 国際標準化機構の社会的責任の国際規格ISO26000は、日本ではJIS Z 26000
  「社会的責任に関する手引」として普及が図られている。
 エ 社会的に批判を受けている一部の企業では、若年者の長時間労働とその使い捨
  て、各種のハラスメントの横行などがみられ、著しく離職率が高い特徴をもつ。
 オ 世界経済フォーラム発表の2013年のジェンダー・ギャップ指数で日本は136
  カ国中105位と低く、欧米諸国に比べてわが国の企業では女性の管理職への登用
  や女性が働く職場環境の整備が進んでいない。
第14問(H26)
 有効な組織デザインには、適切なコントロール・システムを組み込むことが不可
欠である。組織のコントロール・システムに関する記述として、最も適切なものは
どれか。

 ア 官僚主義的なコントロールとは、規則や基準、階層構造や合法的権威にもとづ
  き、業務遂行のプロセス中での組織メンバーの行動を統制することをいう。
 イ クラン・コントロール(clan control)は、組織文化や帰属意識、伝統などの社
  会的特性を利用して行動をコントロールすることで、不確実性が高く変化が速い
  環境で重要になる。
 ウ 市場コントロールは、組織内部の部門のコントロールには利用できないが、市
  場における価格競争が組織の生産量や生産性を評価する時に有効である。
 エ 予算管理システムや事業部門の目標管理に基づく管理者の報酬システムは、市
  場コントロールの有効なサブシステムである。
 オ リーダーが従業員の知識や裁量を行使する範囲を明確に設定できない場合に
  は、従業員自身に自己目標を設定させ、自らの成果を監視させる自律的コントロ
  ールが有効である。
第15問(H26)
 経営者による戦略の選択は組織構造とプロセスを形作るとともに、組織構造とプ
ロセスは経営戦略を制約する。代表的な研究者であるレイモンド・マイルズとチャ
ールズ・スノーは、組織の戦略の型によって解決すべき企業者的問題、技術的問
題、管理的問題が異なり、そのコストと利点も異なると主張した。これについて最
も適切なものはどれか。

 ア 受動型(reactor)戦略をとる企業は、経営者がトップダウンで明確な戦略を示
  すことができないため、社内ベンチャーのようなボトムアップからイノベーショ
  ンが生まれるような制度をもっている傾向が高い。
 イ 探索型(prospector)戦略をとる企業の企業者的問題は、新製品市場の開発と新
  市場の創造にある。そのために柔軟に試作的な技術を追求し、中央集権的な統制
  システムを採用する。
 ウ 分析型(analyzer)戦略をとる組織が直面する企業者的問題は、既存の製品−市
  場分野の維持と新しい製品−市場分野の開発のバランスをとることにある。その
  ために、応用研究分野で複数のコア技術を持ち、安定性と柔軟性のバランスをと
  る組織構造が必要とされる。
 エ 防衛型(defender)戦略をとる組織が直面する企業者的問題は、既存の事業領域
  を積極的に維持することである。そのためにコアとなる技術以外にもイノベーシ
  ョンを追求し、有機的管理システム採用する必要がある。
第16問(H26)
 モチベーション理論の多くは、満足や不満足を知覚する内容やそのプロセスを個
人の特性としてとらえようとしてきた。これに対して、モチベーションに影響する
要因には、職務として与えられた仕事それ自体の特性があることが知られている。
仕事を構成する中核的職務特性に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 ア 与えられた仕事ではなく、自ら仕事を選ぶことに関する「自律性」。
 イ 仕事の結果について、品質をチェックする専門部局から与えられる正確な情報
  に基づいた「フィードバック特性」。
 ウ 既に有するスキルや才能を利用して、どれほど多様な業務がこなせるかに関す
  る「技能多様性」。
 エ 他者に対してではなく、自分自身にとってその仕事が重要であることを示す
  「タスク重要性」。
 オ 自らがかかわる仕事が自己完結していて、全体像がつかめる「タスク完結性」。
第17問(H26)
 目標による管理であるMBO(management by objectives)プログラムの原理に関
する記述として、最も適切なものはどれか。

 ア 経営理念に直接結び付くことによって、自らが働く社会的意義を感じられるよ
  うになる。
 イ 個別の目標と組織全体の目標が統合されないという欠陥がある。
 ウ 職務内容の管理だけではなく、動機づけのための手段として利用される。
 エ 特定の期限を設けず、フィードバックを繰り返して行動の結果を振り返りなが
  ら、絶えず行動を修正できるようにする。
 オ 目標を与える管理者による、トップダウンの管理方法である。
第18問(H26)
 企業組織はオープンシステムであり、その存続は環境からの資源獲得ができるか
否かにかかっている。この資源制約は、企業組織が環境からコントロールされる可
能性を意味するとともに、企業自身も自由裁量を確保するために環境を操作しよう
とすることを意味している。企業組織の環境操作戦略に関する記述として、最も適
切なものはどれか。

 ア 技術革新を通じて代替的な原材料などを開発することにより、既存の資源依存
  関係を変えることなく交渉を有利に進めることができる。
 イ 経営者と労働者が将来の行動について双方が満足できるように折衝するのは、
  取引される財やサービスについての合意を意図する交渉戦略である。
 ウ 財務的資源を必要とする企業が金融機関の代表を自社の取締役会に招くなどの
  結託戦略は、資源依存関係を変えることなく、環境からの脅威を小さくすること
  ができる。
 エ 市場浸透戦略を進めて、新たな顧客層を獲得することで、顧客に対する資源依
  存関係を変えることが可能になる。
 オ 新製品に複数の製品規格が存在すると、消費者が買い控えをする可能性がある
  ので、企業間であらかじめ業界標準を決めてしまう包摂戦略は、新規市場の成長
  率を高めることができる。
第19問(H26)
 特定の国や地域において産業の地理的集中がおき、他の地域に対する比較優位性
が生じることがある。近年、ポーターらの提唱する産業クラスター論では、従来の
産業集積論とは異なる意義が求められている。産業クラスター論に関する記述とし
て、最も適切なものはどれか。

 ア 科学技術インフラや先進的な顧客ニーズなど、特定のロケーションに埋め込ま
  れた知識が、比較優位性の基盤になる。
 イ 産業が地域的に集中する要因として、土地や天然資源などの生産要素を重視す
  る。
 ウ 産業の集積を通じて流通費用の最少化を目指す。
 エ 仲間内での競争を避け、協調的なネットワークの必要性を明示する。
第20問(H26)
 企業経営における意思決定の不正を防止したり、企業価値の向上を目指すために
企業統治(コーポレート・ガバナンス)の重要性が高まっている。企業統治を強化す
るために有効な方法として、最も不適切なものはどれか。

 ア 業務に関係して違法行為や背任行為を起こさないよう内部統制制度を導入す
  る。
 イ 取締役会に社外取締役を、監査役会に社外監査役を導入する。
 ウ 取締役会の中に指名委員会、監査委員会、報酬委員会を設置する。
 エ 取締役のほかに執行役員をおき、取締役会に参加させる。
 オ 倫理憲章や行動規範などを作成周知し、社員の意思決定における判断基準とし
  て制度化する。
第21問(H26)
 変化する環境に効果的に適応していくためには、組織を戦略的に変革することが
必要となることがある。一般に戦略的に組織変革を進めていくプロセスを、@組織変
革の必要性を認識すること、組織変革案の創造、A組織変革の実施・定着という3段
階に分けて考えることができる。戦略的な組織変革のプロセスについて、以下の設
問に答えよ。

(設問1)
 文中の下線部@の組織変革の必要性を認識することに関する記述として、最も
適切なものはどれか。

 ア 組織の現状を客観的に診断するために、組織内の情報に頼らず、外部環境の
  調査機関やコンサルタントなどから情報を収集する。
 イ 組織変革を進めている間にも現在の業務を遂行しなければならないため、中
  間管理職や現場管理者を巻き込まないよう配慮し、大局観をもったトップマネ
  ジメントが現状を診断する必要がある。
 ウ 組織メンバー間やコンサルタントとの間で、フェイス・ツー・フェイスのコ
  ミュニケーションを通じて、できるだけ問題が生じている現場の生のデータを
  収集し、予期されなかった事態についての情報にも耳を傾ける必要がある。
 エ 変革の認識を共有する場面では、様々なコンフリクトが顕在化した場合、円
  滑な変革プロセスを妨害する可能性があるため、速やかに政治的な処理をして
  いく必要がある。
(設問2)
 いかに優れた変革案が作成されても、実際にその変革を実施し、定着させる過
程で様々な混乱や抵抗が生じることがある。文中の下線部Aの組織変革の実施・
定着段階に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 ア 既存の組織内で権力を持っていた集団が新しい組織案ではその権力を失って
  しまうことに抵抗を示す可能性があるので、そのような権力集団を排除する必
  要がある。
 イ 望ましい組織変革案を支持するメンバーに対して、ボーナス、給与、昇進な
  どの報酬を与え動機づける必要がある。
 ウ 変革の実施段階では、非公式のコミュニケーションルートを様々なうわさや
  妨害情報が流れるので、非公式な情報ルートを遮断し、公式なコミュニケーシ
  ョンを徹底することが重要となる。
 エ 変革を自己に有利な形で利用して権力を握ろうとする集団が登場することが
  あるため、混乱が収まるまで新しい組織案を提示しないようにしなければなら
  ない。
第22問(H26)
 近年、米国を中心に、人的資源を企業の競争優位の源泉としてとらえるSHRM
(戦略的人的資源管理)が注目されている。人材の調達先(外部からの登用−内部
の育成)、管理の対象(仕事の結果−仕事のプロセス)という二軸から分類した場合、
それぞれに適合的な人的資源戦略が考えられる(下図参照)。人的資源戦略に関する
記述として、最も適切なものはどれか。
22問 図
 ア 家父長型人的資源戦略では、企業内部の従業員がきちんと結果が出せるように
  能力開発を行う。
 イ 協力型人的資源戦略は、コンサルタントや契約社員などの外部の人材に対し
  て、仕事の結果を通じた統制を行う。
 ウ コミットメント型人的資源戦略では、企業内部の従業員に仕事のプロセスに対
  して責任を負うことを求めていく。
 エ 伝統型人的資源戦略では、企業内部の人材を登用し、仕事のプロセスに対する
  統制がなされる。
第23問(H26)
 就業規則の記載事項に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 育児休業は、労働基準法に定められたものではないが、就業規則の絶対的必要
  記載事項のひとつである「休暇」に該当するので、対象となる労働者の範囲等の付
  与要件及び休業取得に必要な手続き並びに休業期間について、就業規則に記載す
  る必要がある。
 イ 退職金制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職金の決定、計算
  及び支払の方法並びに退職金の支払の時期について、就業規則に記載しなければ
  ならない。
 ウ パートタイマー等、勤務態様、職種、本人の希望等によって始業及び終業の時
  刻が異なる労働者については、就業規則に基本となる始業及び終業の時刻を記載
  するとともに、具体的な各人ごとの始業及び終業の時刻については、個別の労働
  契約等で定める旨の委任規定を設けることでも差し支えない。
 エ 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部、又は
  同条第3号の2以下の相対的必要記載事項中、当該事業場が適用を受けるべき事
  項を記載していない就業規則は、他の条件を具備していてもその全部が無効であ
  る。
第24問(H26)
 労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)に関する記述として、最も適切な
ものはどれか。

 ア 国内の事業場に所属する労働者が、当該事業場の使用者の指揮に従って海外の
  業務に従事する場合に、海外で遭遇した保険事故について労災保険の給付を受け
  るためには、海外派遣者の特別加入手続きをしなければならない。
 イ 事業主が労災保険の保険関係成立の手続きをしていない場合に、その期間中に
  生じた保険事故に対しては、国(政府)からは保険給付が行われないので、事業主
  が災害補償義務を負う。
 ウ 労災保険の保険給付には、労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡に関す
  る保険給付及び労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡に関する保険給付
  並びに二次健康診断等給付の3つがある。
 エ 労災保険は、労働者が業務上の災害等に遭遇したときに、事業主に代って国
  (政府)が保険給付を行うものであるが、一定の数以下の労働者を使用する事業
  (いわゆる中小企業)の事業主は、中小事業主等の労災保険に係る労働保険関係成
  立届を所轄の労働基準監督署に届け出ることによって、当該事業主は労災保険に
  特別加入することができる。
第25問(H26)
 合同労働組合(以下「合同労組」という。)に関する記述として、最も適切なものは
どれか。

 ア 解雇した労働者が解雇後に加入した個人加盟の合同労組から解雇撤回の団体交
  渉を求められた場合、この合同労組は当該使用者が雇用する労働者が参加する労
  働組合ではないので、この団体交渉に応じる義務はない。
 イ 合同労組が加入する産業別あるいは地域別協議会などの上部団体の役員は、そ
  の合同労組の委任があれば、団体交渉に参加することができる。
 ウ 合同労組とは、主として中小企業の労働者を対象にした個人加盟労組で、産業
  別、職業別又は産業や職種を問わない一般労組として組織されたものをいい、女
  性や青年、管理職など性別、年齢別、職階別に組織されたユニオンは、個人加盟
  であっても合同労組には当たらない。
 エ 労働組合は、労働者によって構成され、当該労働組合に加入する労働者の労働
  条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主な目的とした組織である
  から、学生アルバイトや主婦パートが参加する合同労組は労働組合とはいえな
  い。
第26問(H26)
 企業が従業員の能力開発を目的として行うOJT、Off-JT、自己啓発に関する記
述として、最も適切なものはどれか。

 ア Off-JTとOJTは、それぞれの目的と役割がある。Off-JTは、主として社外
  の技術や知識、ノウハウを社内に取り入れることを目的としたものであり、OJT
  は、社内の技術やノウハウ、仕事の進め方などを社内に定着させることを目的と
  したものである。
 イ Off-JTは、階層別教育と職能別教育が柱であるといわれているが、Off-JTが
  実際に効果があるのは、外部から企業に新たに参加してきた新入社員やマンネリ
  ズムに陥った管理職(者)など同質の集団を対象として行う階層別教育であって、
  営業や製造などのラインの業務に関して行う職能別教育においては、Off-JTは
  あまり効果がない。
 ウ OJTは、管理職等が日常の活動の中で指揮命令を通して行うものであるから、
  OJTを計画的に実施したり、マニュアルに基づいてOJTを行うなどということ
  は、実際には困難であり、あまり現実的ではない。
 エ 自己啓発は本来自主的に行うものであるから、テーマや内容について他から強
  制されるべきものではないが、企業が設ける自己啓発支援制度においては、一般
  的には、業務に役立つ知識を習得したり、業務スキルを磨くものなど、自己啓発
  のテーマや内容を業務に関連のあるものが対象とされる。
第27問(H26)
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 家業の果物農家を継いだS氏は、父親の代から取り組んできた大手小売チェー
ンへの完全直販体制をさらに強化するために、地域の若手農家とともに、この小売
チェーンとの間で自らが生産する果物の@ブランド化を図る準備を進めている。各種
の調査結果からは、消費者の年齢と果物の消費量との間には強い正の相関があるこ
とが明らかにされている。そこで、S氏はこの取り組みのメンバーとAマーケティン
グ・リサーチ検討会を立ち上げ、今後とるべき方策の判断材料を集めることにし
た。

(設問1)
 文中の下線部@に示す「ブランド化」に関する記述として、最も適切なものはど
れか。

 ア 一般的に果物の成分効用は明確に識別することが可能である。おのおのの果
  物の成分効用という情緒的属性をベースとしたブランド・アイデンティティを
  デザインすれば、大きな効果を得ることができる。
 イ 果物のブランド化においては、取引先小売チェーンも顧客データや販売デー
  タを分析し、より廃棄ロスの少ない形でのブランド育成の方法を探索すること
  が望まれる。
 ウ この果物のブランド化の取り組みは、少なからず作柄の影響を受ける。作柄
  に応じて、生産者側が出荷制限を行ったり、小売チェーン側が卸売市場を通し
  た機動的な仕入れを行ったりすることが商品の安定的供給の上で不可欠であ
  る。
 エ 取引相手となる小売チェーンの店頭で展開する果物商品を通じて消費者の欲
  求理想点に近いポジションを獲得することができれば、このブランド化の構想
  は、強力なプッシュ効果による指名買い行動を生み出すことが可能となる。
(設問2)
 文中の下線部Aに示す「マーケティング・リサーチ」に関する記述として、最も
適切なものはどれか。

 ア S氏らは、果物を購買し消費する人々の行動原理がどうなっているのか、そ
  してそれらの行動の背景にはどのような気持ちがあるのかを知りたいと思って
  いる。そうした「消費者の潜在意識的な部分」のことをコンシューマー・マイン
  ドマップと呼ぶ。
 イ S氏らは、取引先小売チェーンの協力のもと、果物の消費量の異なる複数の
  セグメントに属する消費者を集めてデプス・インタビューを継続的に実施して
  いる。グループダイナミクスの効果によって、思いもかけない果物の消費体験
  例を知ることができる。
 ウ S氏らは、取引先の小売チェーンにPOSデータの分析を依頼している。そ
  の中でもとくに陳列情報、販促情報やその他果物の販売量に影響を与えるコー
  ザルデータの分析を重視している。この種のデータはPOSデータから直接、
  簡単に取得できるものであり、迅速な意思決定を支援する。
 エ S氏らは、年齢と果物消費量の関係をさらに深堀りして把握するために、調
  査設計において被験者の「年齢」、「時代」、「世代」からなる3つの要因を分解し
  て分析可能なアプローチを設計した。これは、有効な方法である。
第28問(H26)
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 Y氏は、国内外の生産者への特別発注で仕入れたカジュアル衣料品と雑貨を品
揃えする小売店15店舗を、地方都市の商店街やショッピングセンター(SC)の中
で、チェーンストア・オペレーションによって経営している。近年、自店舗で取り
扱う商品カテゴリーにおけるe-コマース比率が上昇していることを受け、Y氏は
オンライン・ショッピングモールへの出店を行っている。実店舗の商圏ではなかな
か売り切ることのできなかった商品も遠隔地の消費者が購買してくれるケースが目
立ち、今やインターネット店舗事業の販売額が実店舗の販売額を上回るようになっ
ており、顧客の購買履歴を活用した商品提案も好評である。
 今後の課題は、各シーズンの在庫を適切な時期に望ましい価格で販売し、常に新
鮮な品揃えを提供することである。そのための手段としてY氏は各種の@価格・プ
ロモーション施策を試み、その効果測定を通じた今後の展開の検討を行っている。
 もうひとつの課題は、A買い物の目的・状況によって特定の実店舗で購買したり、
インターネット店舗で購買したりする顧客の増加が顕著になってきていることであ
る。この点についても今後、有効な対策を講じたいとY氏は考えている
(設問1)
 文中の下線部@に示す「価格・プロモーション施策」に関する記述として、最も
適切なものはどれか。

 ア Y氏の小売チェーンでは毎年夏、ヨーロッパのメーカーとの製販連携の取
  り組みを通して仕入れた高品質のポロシャツの販売強化を行っている。例年、
  3,500円から4,500円の範囲で価格設定をしていたが、需要数量に大きな差は
  なかった。今年、これを5,200円に設定すると需要数量は激減した。このよう
  な効果を、端数価格効果という。
 イ Y氏の店舗の品揃えの多くは「こだわりの特注品」であるため、Y氏は過度
  の値引き販売は極力避けるようにしているが、過去3シーズンにおいては、商
  品ごとに大幅な値引き価格を表示したセールをしている。これらのセールによ
  る消費者の内的参照価格の低下は起こりにくい。
 ウ Y氏は以前、消費者吸引を意図して世界各国から仕入れた雑貨を100円均
  一で販売するキャンペーンを継続的に実施していた。日本ではほとんどみられ
  ない商品ばかりだったため、買い物客の多くは価格を品質判断の手段として用
  い、「これらは安かろう、悪かろうだろう」という結論に至る場合が目立った。
  これは、価格の品質バロメーター機能である。
 エ Y氏は顧客ひとりあたりの購買単価を上げるための施策として、キャンペ
  ーン期間中に一定数量(点数)以上の買い物を行った顧客に対して、次回以降に
  使用可能なバンドル販売型買い物クーポンを配布した。この種のバンドル販売
  の欠点は、消費者の内的参照価格が下がることである。
(設問2)
 文中の下線部Aに示す状況に対するY氏の対応策に関する記述として、最も
適切なものはどれか。

 ア インターネット小売事業と実店舗による小売事業との間の明確な線引きが今
  後より必要となってくる。そのため、顧客対応のための組織体制づくりにおい
  ても両者の相乗り状況を排除して、それぞれの形態固有のサービス品質の向上
  に取り組んでいくことが望まれる。
 イ 同じ顧客であっても、実店舗で購買する場合とインターネット店舗で購買す
  る場合とでは買い物目的は大きく異なるので、顧客データ上の扱いとしては
  別々の個人として認識する方が有効である。
 ウ 顧客データ分析の基盤がかなり整ってきている場合には、オムニ・チャネル
  化の推進が望ましい。そのプロセスでは、インターネット店舗とすべての実店
  舗を横断する形での顧客情報の統合や在庫データの共有によって、従来難しか
  ったサービスの提供が視野に入ってくる。
 エ 消費者費用の観点から判断すると、インターネット店舗で購買した方が、顧
  客にとってより負担の少ないことが明らかである。したがって、今後はインタ
  ーネット販売をさらに重視することが望ましい。
第29問(H26)
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 美容院を営む一家で育ったP氏は、美容専門学校に進学して美容師になった兄・
姉とは異なり、高校卒業後、ある大学で企業経営理論を学んだ。大学卒業後、P氏
は消費財メーカーでの営業やマーケティング調査部署などにおける数年間の勤務を
経て、両親が経営する@フランチャイズ方式による美容院の成長を支援するために基
幹スタッフとして入社した。そこで、P氏は将来の美容院チェーン経営者にとって
不可欠なAサービスやサービス・マーケティングについて、フランチャイズ方式での
事業拡大の構想と関連付けながら学ぶことにした。

(設問1)
 文中の下線部@に示す「フランチャイズ方式」に関する記述として、最も適切な
ものはどれか。

 ア P氏の兄と姉はともに美容師であり、資格取得後、家業の美容院に勤務して
  いたが、法人を設立して独立するにあたってこの美容院とフランチャイズ契約
  を結び、第一号のフランチャイザー、つまり加盟店となった。
 イ P氏は将来的に美容院事業の国際展開も視野に入れているが、国境を越えた
  フランチャイズ・システムの導入はサービス業においては先例がみられないた
  め、代替的な参入様式を検討している。
 ウ 加盟店から確実に一定額のロイヤルティを徴収するためには、粗利益分配方
  式を導入することが適切である。
 エ フランチャイズ方式とは、一般的に一定の資金の制約のもとでのスピーディ
  ーな多店舗化を達成するための手段のひとつである。
(設問2)
 文中の下線部Aに示す「サービスやサービス・マーケティング」に関する記述と
して、最も適切なものはどれか。

 ア P氏は加盟店を募集するにあたって、事前の生産と在庫ができないというサ
  ービス固有の問題を、本部による継続的なカット・シャンプーの技能講習を通
  して有効に解決できる点を訴求している。
 イ サービス・マーケティングのマネジメントでは、有形財の4Psにpeopleを
  加えた5Psで考えることが通常である。
 ウ サービス・マーケティングをめぐる課題のひとつはサービスの無形性に対し
  て可視的な属性を付加していくことであるが、フランチャイズ方式の導入によ
  ってこの問題の解決を図ることは極めて難しい。
 エ フランチャイズ方式を通じて大学のキャンパスや空港など新たなタイプの立
  地における加盟店の獲得を目指す場合には、チェーン全体の中で価格やサービ
  ス内容の柔軟性を獲得することが可能となる。
(設問3)
 文中の下線部Aに示す「サービスやサービス・マーケティング」に関する記述と
して、最も適切なものはどれか。

 ア サービス業においては、従業員が顧客に対して全力で尽くすことはもちろ
  ん、顧客こそが価値を共につくるパートナーであるという認識をもつことが重
  要である。
 イ サービスの特性のひとつに「非均質性」がある。この問題を解決するための適
  切な方法が、顧客に対する来店ポイント付与制度である。
 ウ 従業員の組織に対する当事者意識の水準が高い企業の間では、顧客が知覚す
  る価値が低くなる傾向が、近年の研究によって明らかにされている。
 エ 美容院の顧客から寄せられる主な不満は「カットした後、しばらくすると、
  髪型が崩れてしまう」というものである。このような消費による価値の消滅は
  サービスに固有の性格であり、有形財には当てはまらない。
第30問(H26)
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 消費行動の分析においては、一般的に消費者個人ではなく、家族という
□ A □単位、あるいは家計という□ B □単位が基本的な分析の単位として
用いられる。その理由は、□ C □の選択や□ D □の配分において、家族人
数に代表される規模的要因が大きく影響するため、個人ベースでの分析よりも家計
単位での分析が適しているからである。
 □ D □の配分としての消費行動は、生活様式や□ C □によって規定され
るが、消費行動を分析する視点には、3つの代表的アプローチがある。それらは、
@ライフサイクル・アプローチ、ライフスタイル・アプローチ、ならびにAライフコー
ス・アプローチである。いずれも、生活主体としての家族ないし個人の生活構造上
の特徴に着目し、その集約的指標と消費行動とを関連付けて分析するための視点で
ある。

(設問1)
 文中の空欄A〜Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

 ア A:社会  B:経済  C:消費様式  D:支出
 イ A:社会  B:契約  C:購買様式  D:支出
 ウ A:生活  B:経済  C:購買行動  D:権限
 エ A:生活  B:契約  C:購買行動  D:権限
 オ A:文化  B:社会  C:購買様式  D:資源
(設問2)
 文中の下線部@に示す「ライフサイクル・アプローチ、ライフスタイル・アプ
ローチ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 ア 近年の家計調査によれば、家族ライフサイクルの終点近くに位置する後期高
  齢者による耐久消費財支出の増加傾向が読み取れる。
 イ ライフサイクル・アプローチに示されるフルネスト(full nest)段階におかれ
  た家計の消費支出をみると、医療、外食、ファッションといった項目の構成比
  が高まることが分かる。
 ウ ライフサイクル・アプローチは、家族という集団を人の一生に例え、「家族
  のライフサイクル」の普遍的な共通性に着目したアプローチである。個別の家
  族に固有な出来事の影響を反映した分析を行う点に最も大きな特徴がある。
 エ ライフサイクル・アプローチは、モチベーション・リサーチやパーソナリテ
  ィ研究から発展したサイコグラフィクスを源流とするとされる。
(設問3)
 文中の下線部Aに示す「ライフコース・アプローチ」に関する記述として、最も
適切なものはどれか。

 ア Fさんは、アメリカ人の夫とともに英会話による学童保育施設を開業した。
  これはDINKS型ライフコースを選択する家族の増加を受けてのことである。
 イ ライフコース・アプローチでは、近年着目される「絆」の重視や「家族回帰」を
  通じた家族や友人グループの中での合意に基づいた集団的な意思決定の影響が
  尊重されている。
 ウ ライフコースの概念では、ライフイベントごとの選択のあり方が個々の人生
  の道筋の多様化を生み出すとされている。これら選択の多様化によって、社会
  人教育や婚活(結婚活動)など新たな消費機会が生まれる。
 エ ライフコースの複雑化により、年齢別労働力率曲線にみる女性の年齢階級別
  の就労状況は「V字曲線」と呼ばれるようになっている。
第31問(H26)
 以下の図は、マーケティング・ミックスにおける価格の位置付けを示したもので
ある。この図に関する記述として、最も不適切なものを下記の解答群から選べ
31問 図
[解答群]
 ア 図中の点線Aに示す関係からは、広告や営業などの形で投下するマーケテ
  ィング費用が需要数量の増加を意図していることが分かる。
 イ 図中の点線Bに示すマーケティング費用と価格との関係からは、特定の製
  品の価格水準が、製品差別化の程度や販売経路の特徴といった他のマーケティ
  ング・ミックス属性の影響を受けていることが分かる。
 ウ 図中の点線Cに示す関係からは、設定した価格によって需要数量が変動す
  ることが分かる。ブランド化した製品では需要の価格弾力性が大きくなり、高
  価格でも多くの販売数量の実現が可能となる。
 エ マーケティング費用は、管理費用などの間接費の製品配賦額や製造原価とい
  う直接費とは区別される、マーケティング活動に固有の費用として識別される。
第32問(H26)
 ブランドに関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 競争関係にある企業の技術水準が高い位置で平準化している状況では、同じ価
  格帯の商品であれば機能的・品質的な違いを認めることが難しくなる。このよう
  な状態をパリティ(parity)と呼ぶ。それはコモディティ化の原因のひとつでもあ
  る。
 イ ブランド・エクイティとは、ブランド名やシンボルなどと結び付いて形成・蓄
  積された無形の正味資産を指す。
 ウ ブランド・エクステンション(ブランド拡張)とは、ある製品カテゴリーにおい
  て確立されたブランド名を同種の製品カテゴリー内の新しい製品に活用すること
  である。
 エ ブランドの機能に従った分類を行うと、企業ブランドと製品ブランド(個別ブ
  ランド)に分けることができる。これらのブランドには、品質保証の役割(エンド
  ユーザーとしての役割)や購買駆動機能(ドライバーとしての役割)がある。
第33問(H26)
 企業の「海外市場への進出」に関連して、企業が国境を越えたマーケティング活動
を展開するまで、そして、その程度を深めていくプロセスには、一般的にみて次の
5つの段階が存在すると考えられている。
  第1段階:国内マーケティング(Domestic marketing)
  第2段階:輸出マーケティング(Export marketing)
  第3段階:国際マーケティング(International marketing)
  第4段階:多国籍マーケティング(Multinational marketing)
  第5段階:グローバルマーケティング(Global marketing)
 これらの段階に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 第1段階では、対象とする市場は国内となる。これら企業の競争相手には国内
  の企業だけでなく海外企業も含まれるが、この段階では多くの企業は国際的な事
  業環境への注視を行わない。
 イ 第2段階では、中間業者を利用する形での輸出が着手され、次第に直接輸出に
  移行していく場合がある。こうした国際化の展開は、組織内部の問題の観点から
  とらえると、経営者のマインドや組織資源・能力、あるいは事業規模によって左
  右されることがある。
 ウ 第3段階では、海外事業は完全に企業の事業活動の重要な構成要素として統合
  化される。この段階では進出先の市場ごとに異なる文化、社会経済的背景を考慮
  に入れた上で、標準製品の使用方法や使用場面を工夫する提案を行うことで適応
  化が進展する。
 エ 第4段階では、製品開発、生産、マーケティング活動などを主要地域の中で統
  合的に実施することがもたらす規模の経済の重要性が高まる。共通性の高い地域
  内での統一コミュニケーション・キャンペーンを実施したり、物流費用の共同負
  担や生産拠点の共同化を採用したりすることが具体的な内容である。
 オ 第5段階では、従来の段階でみられた高コスト化傾向を防ぐために、マーケテ
  ィング・ミックス標準化によるグローバル顧客の創出や、事業活動全体の国境を
  越えた統合性の強化などを実施している。