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第1問(H23)
 ドメインは全社レベルと事業レベルに分けて考えられるが、ドメインの定義なら
びに再定義に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア D.エーベル(Abell)の「顧客層」「顧客機能」「技術」という3次元による事業ドメ
  インの定義では、各次元の「広がり」と「差別化」によってドメインの再定義の選択
  ができる。
 イ 事業ドメインは将来の事業展開をにらんだ研究開発分野のように、企業の活動
  の成果が外部からは見えず、潜在的な状態にとどまっている範囲も指す。
 ウ 自社の製品ラインの範囲で示すような事業ドメインの物理的定義では、事業領
  域や範囲が狭くなってT.レビット(Levitt)のいう「近視眼的」な定義に陥ってし
  まうことがしばしば起こる。
 エ 全社ドメインの定義によって企業の基本的な性格を確立できるが、製品やサー
  ビスで競争者と競う範囲は特定できない。
 オ 単一事業を営む場合には製品ラインの広狭にかかわらず事業レベルの定義がそ
  のまま全社レベルの定義となるが、企業環境が変化するためにドメインも一定不
  変ではない。
第2問(H23)
 次のM&Aに関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 わが国では以前は欧米に比べてM&Aが盛んに取り組まれたとは言い難かった。
むしろわが国企業では、@M&Aよりも内部成長方式による多角化を用いることが多
かった。
 しかし、近年わが国の企業のM&Aは国内のみならず海外でも活発化している。
そればかりか、それとは逆に海外企業によるわが国企業のM&Aも多く見られるよ
うになった。
 M&Aの方式は多様であり、どのようなM&Aに取り組むかは、その目的や企業
の戦略によって異なってくる。また、企業の業績に貢献するM&Aであるために
は、AM&Aに関する経営上の課題に対処することが重要である。

(設問1)
 文中の下線部@について、多角化とM&Aに関する特徴や問題点の記述とし
て、最も不適切なものはどれか。

 ア 開発された技術をてこに新規事業が増えるにつれて、社内でシナジー効果を
  追究する機会が高まるが、シナジー効果が成長にうまく結び付かない場合、多
  角化を維持するための費用がかさんだり、多様な事業をマネジメントするコス
  トが大きくなるという問題がある。
 イ グリーンメーラー的な投機的な投資家や企業価値の実現による配当を迫る投
  資ファンドの動きが活発になると、企業はそれらに狙われないように企業防衛
  の姿勢を強めようとするため、M&Aも少なくなりがちである。
 ウ 成長の牽引力となる技術が枯渇してくると、新規な技術による事業機会も少
  なくなりがちであり、技術イノベーションによる多角化戦略は困難になる。
 エ 長期雇用慣行等に支えられて従業員のみならず経営者も会社への一体感が強
  くなると、このような企業がM&Aの対象になった場合、お家の一大事と受け
  止められ、会社ぐるみでM&Aに抵抗する動きが生じやすい。
 オ 貿易摩擦等の外圧に押されて企業の海外進出が活発になると、国内での生産
  技術開発や新製品開発が回避され、内部成長方式による多角化戦略は機能しな
  くなる。
(設問2)
 文中の下線部Aで指摘されているようなM&Aが成功するために注意すべき経
営上の課題についての記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア M&Aで企業規模が大きくなれば、獲得した規模の経済性や市場支配力の便
  益を上回る管理コストが発生する可能性が高まるので、管理コストの削減を図
  るとともに、そのことによって経営の柔軟性が失われないように注意する必要
  がある。
 イ 企業間のベクトルを合わせて統合するには、それぞれの企業で培われてきた
  企業文化の衝突を避け、互いを尊重しつつ、1つの企業体に融合することを図
  ることが重要になる。
 ウ 買収先の企業の主要なスタッフの離職が多くなると、マネジメント能力や専
  門的な知識や技能などの人的資源が損なわれて組織能力が弱くなるので、買収
  先の企業の従業員の賃金や待遇を手厚くすることを怠らないようにすることが
  必要である。
 エ 買収戦略にのめりこむと、買収先企業を適切に評価することがおろそかにな
  り、高いプレミアム価格を相手に支払ったり、高いコストの借り入れや格付け
  の低い社債の過度な発行などが起こりやすく、大きな負債が経営危機を招きや
  すくなることに注意が必要である。
 オ 買収によって新規事業分野をすばやく手に入れることは、イノベーションに
  よる内部成長方式の代替であるので、M&Aの成功が積み重なるにつれて、研
  究開発予算の削減や内部開発努力の軽視の傾向が強まり、イノベーション能力
  が劣化しやすくなることに注意が必要である。
第3問(H23)
 企業の強みと弱みに関する分析フレームワークについての記述として、最も不適
切なものはどれか。

 ア 経営資源の模倣には直接的な複製だけではなく、競争優位にある企業が保有す
  る経営資源を別の経営資源で代替することによる模倣もある。
 イ 経営資源やケイパビリティが競争優位を生じさせており、企業の内部者にとっ
  て競争優位の源泉との関係が理解できない場合、経路依存性による模倣困難が生
  じている。
 ウ 経営資源やケイパビリティに経済価値があり、他の競合企業や潜在的な競合企
  業が保持していないものである場合、希少性に基づく競争優位の源泉となりう
  る。
 エ 経済価値のない経営資源やケイパビリティしか保持していない企業は、経済価
  値を有するものを新たに獲得するか、これまで有してきた強みをまったく新しい
  方法で活用し直すかの選択を迫られる。
 オ 成功している企業の経営資源を競合企業が模倣する場合にコスト上の不利を被
  るのであれば、少なくともある一定期間の持続的な競争優位が得られる。
第4問(H23)
 企業は環境の競争要因を分析して適切な戦略行動をとろうとする。その際の環境
分析について考慮すべき点の記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア コストに占める固定費の比率が高い製品の場合、企業は生産能力を最大限に活
  用しようとしがちであるため、業界は過剰生産に陥りやすいので、できるだけす
  ばやくその製品を売り抜けて、業界からの撤退を図ることが重要になる。
 イ 自社が必要とする部材の供給企業が減少すると、競合企業との競争のため調達
  価格がつりあがりやすいので、代替的な部材の調達や自社開発を検討することも
  視野に入れておくことが重要になる。
 ウ 自社の製品やサービスと補完性のあるものを販売する企業と強いアライアンス
  があると、顧客の望む価値を統合的に提供して競合他社にない競争優位を構築し
  得るので、このようなアライアンス相手を見出すことは重要になる。
 エ 新規参入企業がもたらす追加的な生産能力は、消費者の購入コストの上昇を抑
  え、競合企業には売上の減少や収益性の低下をもたらすので、参入障壁の強固さ
  や参入企業への業界の反撃能力を点検することが重要である。
 オ 製品がコモディティ化すると、顧客のスイッチングコストが低下して、競合企
  業との価格競争が激化するので、差別化を目指すには一歩先んじた独自製品の開
  発とその販売を目指すことが重要である。
第5問(H23)
 企業の競争優位の源泉に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 企業と顧客の間で情報の非対称性が大きな製品・サービスでは、通常、ブラン
  ド・イメージや企業の評判のような客観的にとらえにくい要因に基づく差別化の
  重要性が大きい。
 イ 顧客が支払う意思のある価格の上限が顧客の支払い意欲を示すと考えると、通
  常、差別化による優位は顧客が自社の製品を競合する製品よりも高く評価してい
  るという強みを持つことを意味する。
 ウ コスト優位は競合他社よりも低コストを実現できるため、通常、競合他社より
  も低価格で製品販売しても利益を確保できる強みを意味する。
 エ コスト優位を確立した企業は、競合他社よりも常に製品1単位当たりのコスト
  とそのコストの総額が低いため、低価格で製品・サービスを販売できる。
 オ どのような差別化による優位をつくるかを考える際には、通常、環境の変化だ
  けではなく自社の強みと顧客の範囲をどのようにとらえて定義するかが重要であ
  る。
第6問(H23)
 中小企業ではニッチ市場に特化したり、特定の市場セグメントに自社の事業領域
を絞り込んだりする集中戦略がとられることが多い。そのような集中戦略をとる企
業の戦略対応として、最も不適切なものはどれか。

 ア 自社が強みを発揮している市場セグメントに他社が参入してきた場合、自社の
  コンピタンスをより強力に発揮できるようにビジネスの仕組みを見直す。
 イ 自社製品の特性を高く評価する顧客層に事業領域を絞り込むことによって、こ
  れまでの価格政策を見直し、プレミアム価格を設定して差別化戦略に取り組む。
 ウ 自社の得意とする市場セグメントに事業領域を絞り込むことによって、業界大
  手の追随を振り切ることができるばかりか、好業績を長期に維持できる。
 エ 絞り込みをかけた事業領域の顧客ニーズが、時間の経過とともに、業界全体の
  ニーズと似通ったものにならないように監視するとともに、顧客が評価する独自
  な製品の提供を怠らないようにする。
 オ 絞り込んだ事業領域で独自な戦略で業績を回復させることができたが、そのこ
  とによって自社技術も狭くなる可能性があるので、新製品の開発やそのための技
  術開発への投資を強めることを検討する。
第7問(H23)
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 単一の事業を営む企業が多角化によって事業構造を変革し、持続的な成長を実現
する行動は、「範囲の経済」の視点から説明できる。「範囲の経済」が存在すれば、企
業が複数の事業を展開することによって。それぞれの事業を独立に営むときより
も、より経済的な事業運営が可能になる。

(設問1)
  文中の下線部に関する以下の文章の空欄A〜Cにあてはまるものの最も適切な
 組み合わせを下記の解答群から選べ。

  2つの製品の生産量をそれぞれ x1、x2で表し、その費用関数をC(x1, x2)で
 表したとき、「範囲の経済」の関係は以下のように示すことができる。

    C(x1, x2)□ A □C(x1, 0)□ B □C(0, x2)

  この関係が成立すれば「範囲の経済」が存在する。この式のC(x1, x2)がx1、x2
を同時に生産、販売するときの□ C □)であり、C(x1, 0)が第1製品だけ
を生産、販売するときの□ C □、C(0, x2)が第2製品だけを生産、販売す
るときの□ C □である。

[解答群]
 ア A:>   B:+   C:総費用
 イ A:>   B:−   C:平均費用
 ウ A:<   B:−   C:総費用
 エ A:>   B:+   C:平均費用
 オ A:<   B:+   C:総費用
(設問2)
 文中の下線部に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 2つの事業がお互いに補い合って1つの物的資源をより完全に利用して生ま
  れる効果は、範囲の経済の効果である。
 イ 2つの事業がお互いに情報的資源を使い合うと、資源の特質から使用量の限
  界がなく他の分野で同時多量利用できるため、物的資源を使い合うよりも効率
  性の高い範囲の経済を生み出せる。
 ウ 合成繊維企業が蓄積した自らの化学技術を使用し、本業の補完・関連分野の
  事業に進出するのは範囲の経済の例である。
 エ 範囲の経済が生まれるのは、基本的には未利用資源の活用が原因であり、企
  業規模が大きいほど経済効果が良くなることを意味する。
 オ 範囲の経済は、多角化が進みすぎると新たに進出した事業と企業の保持して
  いるコア・コンピタンスとの関連性が希薄になって生じなくなる。
第8問(H23)
 完成品メーカーと部品供給メーカーとの企業間の取引には、常に競争と協調の両
面が存在する。そのような企業間の取引で発生する事態についての記述として、最
も不適切なものはどれか。

 ア 過剰な生産能力を持つ業界の部品メーカーA社は、過小な生産能力の業界の
  部品メーカーB社に比べて、高い利益率を獲得できる可能性は低くなる。
 イ 部品メーカーC社は、4社の完成品メーカー各社に同じ量の部品を独占的に
  供給しているが、その部品の生産ラインにトラブルが発生したため、生産量を長
  期にわたって減らさざるを得なくなったにもかかわらず、利益率はむしろ増加傾
  向に転じた。
 ウ 部品メーカーD社は、供給先の完成品メーカーE社との取引契約に、E社が
  他の部品メーカーに乗り換える場合D社に打診するという条項を結んでいるの
  で、値引き要求や競合他社との受注争奪で有利になる可能性が高くなった。
 エ 部品メーカーF社は、自社のみが生産できるある部品について取引の大きな
  完成品メーカーG社と最も有利な条件を自動的に適用するという契約書を結ん
  でいるが、このことが他の完成品メーカーにも知られた結果、各社の値引き要求
  に屈して利益が激減してしまった。
第9問(H23)
 技術開発に必要な経営資源を「技術革新において中核となる技術上のノウハウ」と
その「補完資産」とに分けて考えた場合、ハイテク・ベンチャー企業に関する記述と
して、最も不適切なものはどれか。

 ア 多くの顧客に対して販売促進活動を行い、顧客からの注文を受けて製品を届
  け、対価を受け取っている企業は、補完資産としての販売力を自社で保有してい
  る。
 イ 技術革新を商業化して経営成果として結実させるために必要なマーケティング
  やアフターサービスの活動に関する能力は補完資産として重要である。
 ウ 少数の特定の顧客企業が自社の大部分の製品を購入している場合、補完資産と
  しての販売力を自社で保有している。
 エ ハイテク・ベンチャー企業の「技術革新において中核となる技術上のノウハウ」
  は中核能力として位置づけられ、その獲得は技術革新実現の必要条件である。
 オ ハイテク・ベンチャー企業の「技術革新において中核となる技術上のノウハウ」
  を価値連鎖として完結するために、補完資産の外部への依存を考慮することは重
  要である。
第10問(H23)
 ベンチャー企業と大学や研究機関が連携を図り、イノベーションに取り組む動き
が多く見られるようになった。そのような状況や提携に際して考慮するべき問題点
についての記述として最も適切なものはどれか。

 ア オープン・イノベーションを推進するために、大学とベンチャー企業が連携し
  て、大学から独立した研究機関を設ける試みが行われているが、ベンチャー企業
  の資金力が弱いので、そのような研究機関から技術イノベーションが生まれるこ
  とはほとんど見られない。
 イ 行政による産業クラスター等の技術支援施策を受けて、わが国では大学や研究
  機関の技術の民間への移転が活発であり、その結果株式公開に至るベンチャー企
  業が多く生まれている。
 ウ 国立大学法人が他機関との技術連携をする場合、知財本部やTLOを通じるこ
  とが義務づけられているため、技術提携コストや調整の負担がかさむことになる
  が、そのことがベンチャー企業の国立大学との連携を難しくしている。
 エ 大学発ベンチャーが大学や研究機関と連携しながら、自前の技術を進化させた
  り、不足する技術力を補うことが行われているが、事業として発展するには企業
  者能力が重要になる。
 オ 米国に比べてわが国では大学発ベンチャーはあまり成功していないが、その理
  由として技術開発者の大学教員が経営に直接関与することが禁じられていること
  を指摘できる。
第11問(H23)
 グローバル化の進展とともに日本企業が海外に工場を開設する動きが活発化して
いる。しかし、海外進出は国際化に必要な経営資源が不足する中小企業にとっては
容易ではない。そのため中小企業では商社に仲介を受けながら、現地パートナーと
合弁企業を営む例が見られる。そのような海外進出で考慮すべき点の記述として、
最も不適切なものはどれか。

 ア 現地のパートナー企業の技術力が弱い場合、商社を介在して高品質の原材料を
  持ち込んだり、進出企業による現地での技術指導を通じて製品の品質が低下しな
  いようにすることは重要な経営のポイントになる。
 イ 現地のパートナー企業や現地国はわが国の企業の進んだ技術の移転を求めてい
  るが、自社技術の保護の観点から、商社等に協力してもらって、合弁事業開始前
  に、守るべき技術や製品の模倣禁止等に関して詳細な規定を含む合弁事業契約を
  パートナー企業と締結しておくことが重要になる。
 ウ 合弁事業の出資割合は出資企業がその比率に応じて合弁事業の経営に努力を傾
  注する程度を示すが、商社や現地企業は概してその経営努力とは無関係に配当を
  要求することでトラブルになることに注意することが重要になる。
 エ 商社が、情報能力を活かして進出企業に現地の各種情報を伝えたり、現地の法
  務等の対応を図ってくれるので、進出企業は現地国で工場のオペレーションに経
  営努力を傾注できる利点がある。
 オ パートナー企業の合弁事業以外での業務実態について見落とすと、守秘義務条
  項や競合禁止条項が破られ、製品の模倣が行われ、現地市場を失うばかりか、進
  出企業の信用を失墜しかねないので、現地駐在社員の現場の監視能力の向上を図
  ることが重要である。
第12問(H23)
 企業組織は、一般に分業と協業のシステムとして階層性という特徴を持ってい
る。この組織編成に関する記述として最も適切なものはどれか。

 ア イノベーションを目的とした組織においては指揮命令系統の一元性が確保され
  ていなければならないので、階層組織よりはグループ型のフラットな組織が望ま
  しい。
 イ 管理者の職務に関する事業の範囲やタイムスパンの責任に応じて、組織は階層
  を設計する必要がある。
 ウ 組織における職務の公式化を進めることによって、管理者の統制範囲(span of
  control)は狭くなるので、階層数は増える傾向にある。
 エ 組織の階層を構成する中間管理職の職務について、責任と権限が公式に一致し
  なければならない。
 オ 不確実性が高い環境下では、分権化を進めるために、階層のないフラットな構造
  にすることが望ましい。
第13問(H23)
 動機づけに関する概念モデルの1つに「職務特性モデル」がある。この概念モデル
についての記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 個人の動機づけは、仕事の業績評価システム、上司や先輩を通じてのフィード
  バックの程度に影響される。
 イ 個人の動機づけは、仕事の出来栄えが社内の人々や顧客に、どれほどのインパ
  クトをもたらすかの程度に影響される。
 ウ 個人の動機づけは、仕事の流れの全体像にかかわっている程度に影響される。
 エ 個人の動機づけは、仕事をうまく遂行する上で必要なスキル(技能)の多様性の
  程度に影響される。
 オ 個人の動機づけは、担当する仕事の範囲で、自主的に工夫して仕事のやり方を
  決められる程度に影響される。
第14問(H23)
 日本企業において人事制度の見直しが進んでいる。事業構造の再構築のなかで、
成果に応じて格差のある報酬配分を行うことのメリットとデメリットを調和させた
導入が重要になる。
 これに関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 新たな報酬制度を運用する際には、評価者と被評価者が意見を交わしながら目
  標管理シートを作成するなど、意思疎通の機会を通して満足感を高めるとよい。
 イ 職場には既存の文化や風土、価値観が存在するため、新たな評価制度を導入す
  る際には、その基準や手続きに関して十分に理解されるための時間が必要であ
  る。
 ウ 評価者が被評価者の全般的な要望や意見を説明しながら評価を行ったならば、
  評価結果が期待したほどでない場合でも、不公正感が抑えられ、動機づけを高
  めることができる。
 エ 評価に対する納得感は、自己比較とともに他者相対比較の側面もあることか
  ら、適切に動機づけを高めるためには、社内の公正な評価制度に関する情報開示
  が必要となる。
 オ 自らが投入した時間・努力量や成果と、それに対する評価・報酬とが見合うな
  らば、人は公正感を感じる。
第15問(H23)
 優れた人材を採用し、定着率を高め、能力を高めるには、キャリア開発プログラ
ムを充実させておく必要がある。キャリア開発プログラムに関する記述として最も
適切なものはどれか。

 ア キャリア開発の公平性を期すために、直属の上司による評価ではなく、人事部
  のような中立的機関が客観的評価基準を用意する必要がある。
 イ キャリア開発プログラムは人事部のようなスタッフ部門ではなく、ラインの管
  理者の責任において策定される必要がある。
 ウ キャリア開発は、組織階層を昇進することだけでなく、よりチャレンジングで
  魅力的なプロジェクトに参加させることを通じてなされる。
 エ 経営戦略や事業計画は頻繁に変化するので、キャリア開発プログラムはそうし
  た計画とは独立に長期的視点から設計しなければならない。
 オ キャリア開発プログラムにおけるメンタリングでは、メンターがプライバシー
  に十分配慮し、自身の職務経験を基礎にした公式のアドバイスをするよう訓練さ
  れる必要がある。
第16問(H23)
 従業員の企業に対する帰属意識に関する概念に組織コミットメントがある。組織
コミットメントとは、一般に組織と個人の心理的距離や関係を規定する概念であ
る。組織コミットメントに関する記述として最も適切なものはどれか。

 ア 規範的コミットメントとは、合理的に組織目標へ自我投入し、個人の役割状況
  にかかわらず、組織へ関与することである。
 イ 功利的コミットメントとは、活動の継続・中止にかかわらず、首尾一貫する行
  動のことである。
 ウ 情緒的コミットメントとは、個人の信念に基づいて組織の価値や目標へ感情
  的、かつ、熱狂的に支持をすることである。
 エ 態度的コミットメントとは、組織の価値や目標を進んで受け入れ、関連した役
  割などに積極的に関与することである。
第17問(H23)
 不確実な状況変化のなか職場で良好な人間関係を築きながら、リーダーシップを
発揮することが大きな課題となってきている。リーダー・メンバー交換(LMX)理
論に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア リーダーシップが有効に発揮されるかどうかは、リーダーがメンバーと良好な
  交換関係を築くことができるかに依存している。
 イ リーダーとの特別な関係を構築しない外集団のメンバーは、公式権限に基づく
  やり取りのみになるため、業績評価が低く、離職の意志も高くなる。
 ウ リーダーは、自分の部下の一部の小集団と特別な関係を築くが、この集団に属
  するメンバーはリスクをとらずに、より多くの資源や機会を活かす傾向がある。
 エ リーダーは、組織内の様々な人々に対してそれぞれ異なる行動を取り、自分と
  似た考え方や個人特性を持ったメンバーで、能力の高い者を内集団のフォロワー
  に選ぶ傾向が高い。
 オ リーダーは、自分が必要とする貢献行動をメンバーに求めると同時に、その貢
  献行動に対する内的・外的報酬を提供する。
第18問(H23)
 企業経営者が、損失を隠す粉飾決算を行い、投資を呼び込むために株価をつり上
げ、そのことが公表されて倒産するに至るという事件が起きることがある。このよ
うな場合、投資家、顧客、従業員、地域社会の他、利害関係者に大きな損害を与え
る可能性があるとともに、資本主義経済システムへの信頼そのものを失わせてしま
う可能性がある。
 有効なコーポレートガバナンスの仕組みに関する記述として最も適切なものはど
れか。

 ア 株式市場に上場し、より多くの株主に株式を分散して保有してもらい、多様な
  株主による株主総会でのチェック機構を強化する。
 イ 企業の会計基準を時価会計にあらため、外部監査会社による積極型会計
  (aggressive accounting)を法的に義務づけ積極的に情報の開示を促進させる。
 ウ 内部統制と内部統制報告書の作成を促進し、情報の開示や説明責任の明確化な
  どを図る必要がある。
 エ 万一こうした損害が発生した場合、その被害を最小限に抑えるために、一定以
  上の資産をデリバティブなどのリスク管理資産として留保しておくよう義務づけ
  る。
第19問(H23)
 企業はその生存にとって必要な資源を、外部環境を構成する他の組織に依存して
いるために、そうしたステイクホルダーからのコントロールを受け入れる必要があ
るという「資源依存モデル」がある。
 資源依存モデルに関する以下の設問に答えよ。

(設問1)
 資源依存モデルによれば、環境の構造的特徴によって、焦点組織が直面する不
確実性は異なってくるという。このことに関する記述として最も適切なものはど
れか。

 ア 組織間相互依存度が高くても、重要な資源が豊かにある場合、組織間コンフ
  リクトの可能性は低くなるため、焦点組織が直面する不確実性は低くなる。
 イ 組織間で権力の集中度が高くなると、組織間コンフリクトの可能性は高くな
  るため、焦点組織が直面する不確実性は高くなる
 ウ 組織間で権力の集中度が低くなると、組織間の相互依存度が高くなり、組織
  間コンフリクトの可能性が高くなるため、焦点組織が直面する不確実性は高く
  なる。
 エ 組織間の連結の度合いが高く、組織間で権力の集中度が低い場合、組織間コ
  ンフリクトの可能性が低くなるため、焦点組織が直面する不確実性は低くな
  る。
 オ 組織間の連結の度合いが高いと、組織間の相互依存度が高くなり、組織間コ
  ンフリクトの可能性が低くなるため、焦点組織が直面する不確実性は低くな
  る。
(設問2)
 資源依存モデルによれば、環境コンテキストは、組織の行動や構造の変化、経
営者の継承や交代、組織内の権力関係の変化などをもたらすという。このことに
関する記述として最も適切なものはどれか。

 ア 環境コンテキストが組織内の権力関係に影響を与えることを通じて、誰が経
  営者として選任されるかに影響を与え、組織の行動や構造の変化をもたらし、
  その結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。
 イ 環境コンテキストが組織内の権力関係に影響を与え、組織の行動や構造の変
  化をもたらすので、誰が経営者として選任されるかを決めることを通じて、そ
  の結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。
 ウ 環境コンテキストが組織の行動や構造の変化をもたらし、組織内の権力関係
  に影響を与えることを通じて、誰が経営者として選任されるかに影響を与え、
  その結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。
 エ 環境コンテキストが誰が経営者として選任されるかに影響を与えることを通
  じて、組織内の権力関係に影響を与え、組織の行動や構造の変化をもたらし、
  その結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。
 オ 環境コンテキストが誰が経営者として選任されるかに影響を与えることを通
  じて、組織の行動や構造の変化をもたらし、組織内の権力関係に影響を与え、
  その結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。
第20問(H23)
 次のケースを読み、あなたがA社のコンサルタントとして診断するとすれば、
経営者への助言として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 「創業以来、個性的な開発者による小規模なプログラムの受注開発を請け負って
きたA社は、その成長とともに、次第により大きな規模の企業から複雑なプログ
ラムの開発を受注するように主な事業ドメインをシフトしてきた。従業員数も急激
に増加してきたが、2年ほどたつと、取引先企業のコスト削減要求が強くなり、一
方で競争も激化し、売上高の伸び率も鈍化してきた。それまで開発者同士を切磋琢
磨させるために導入していた個人へのインセンティブシステムを廃止し、従業員も
削減し始めた。またこの時期から、創業当初からいた個性的な開発者たちが次々と
A社を辞職していき、利益率も悪化し始めた。
 そこでA社は、個人へのインセンティブシステムを復活させ、従業員のモチ
ベーションを高めようと組織改革に取り組んだ。しかし、取引先企業からは納期の
遅れや品質面での苦情が多数寄せられるようになり、その修復にコストがかかるよ
うになり、一時的に利益率は回復したものの、その後、かえって利益率は低下して
しまった。」

[解答群]
 ア 開発者たちの創造性を高めるため、個人へのインセンティブの幅を大きく
  し、従業員間の競争を促進する。
 イ 個人へのインセンティブの幅を小さくし、プロジェクト単位での顧客満足度
  を報酬に反映させるようにする。
 ウ 従業員を削減し、個人の責任を明確にするとともに、個人へのインセンティ
  ブの幅を大きくする。
 エ 職務のルーティン化を進め、個人へのインセンティブの幅を削減し、人件費
  総額を圧縮する。
 オ 創業当初からいた個性的な開発者たちをA社に戻すため、特別の給与体系
  を用意する。
第21問(H23)
 時間外・休日労働に関する労使協定(以下「三六協定」という。)に関する記述とし
て、最も不適切なものはどれか。

 ア 三六協定(労働協約による場合を除く。)の有効期限に関する法令上の定めはな
  いが、行政通達では、有効期間を1年間とすることが望ましいとされている。
 イ 三六協定の有効期間中に労使いずれかから一方的な協定破棄の申し入れをして
  も、他方がこれに応じないときは、当該協定の効力には影響がない。
 ウ 事業場の労働者の過半数で組織された労働組合との間で締結された三六協定
  に、労使両当事者の署名又は記名押印があればその協定は労働協約となるが、そ
  の効力は、当該組合の組合員だけでなく、当該事業場の全労働者に及ぶ。
 エ 特別条項付き三六協定を定める場合、特別の事情があるときは限度時間を超え
  て労働させることができるが、その長さと回数には上限が定められている。
第22問(H23)
 社外積立型退職金(年金)制度に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 確定給付企業年金には基金型と規約型があるが、基金型は、厚生年金基金と同
  様、厚生労働大臣の認可を受けて設立した基金が運営主体となるのに対し、規約
  型は、税制適格年金と同様、財務大臣の承認を受けた規約に基づいて、金融機関
  が実施主体となって運営するものである。
 イ 確定拠出年金の企業型年金は、厚生年金適用事業所の事業主が単独又は共同し
  て実施する制度であり、その加入者は60歳未満のもので、厚生年金保険の被保
  険者又は私立学校教職員共済制度の加入者のいずれかに該当する者である。
 ウ 厚生年金基金の掛金は、原則として、加入員と加入員を使用する事業主がそれ
  ぞれ掛金の半額を負担することになっている。
 エ 中小企業退職金共済の給付は、原則として、労働者が退職したときに退職一時
  金として支払われるものであるが、一定の要件を満たす場合には、5年間又は
  10年間に分割し、年金と同様の方法で受け取ることができる。
第23問(H23)
 安全衛生管理体制に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場を巡視し、設備、作業方法又は衛生
  状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するために
  必要な措置を講じる義務がある。
 イ 産業医及び衛生管理者は、ともに原則として選出すべき事由が発生してから
  14日以内に選任し、それぞれ選任したときは、遅滞なく選任報告書を所轄労働
  基準監督署長に提出しなければならない。
 ウ 常時10人以上50人未満の労働者を雇用する事業場では、業種を問わず、衛生
  推進者を選任することとされている。
 エ 常時50人以上の労働者を雇用するすべての事業場で設置が義務づけられてい
  る衛生委員会の委員には、必ず衛生管理者と産業医を指名しなければならない。
第24問(H23)
 解雇(雇止めを含む。)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 期間の定めのある労働契約を締結した場合は、やむを得ない事由がある場合で
  なければ、その労働契約が満了するまでの間は労働者を解雇することができな
  い。
 イ 定年後の再雇用制度を設けている場合に、労使協定で定めた再雇用制度の対象
  となる高年齢者に係る基準に達しない高年齢者を再雇用しない場合には、解雇予
  告が必要になる。
 ウ 有期労働契約(30日未満の有期契約を除く。)を3回以上更新し、又は雇入れの
  日から起算して1年を超えて継続勤務している場合に、当該契約を更新しないこ
  ととしようとするときは、使用者は、少なくとも当該契約の期間の満了する日の
  30日前までに、当該労働者にその旨予告しなければならない。ただし、あらか
  じめ更新しない旨が明示されている場合はこの限りではない。
 エ 労働契約で試用期間を3か月間と定めた場合にも、解雇予告なしに即時解雇す
  ることができるのは、行政官庁の認定を受けた場合を除き、雇入れの日から2週
  間以内に限られる。
第25問(H23)
 割増賃金の算定基礎賃金となる手当に関する記述として、最も適切なものはどれ
か。

 ア 賃貸住宅居住者に家賃の一定割合を手当として支給する一方、持家居住者にも
  ローン月額の一定割合を手当として支給する場合、このような手当は住宅手当と
  はいえないので、割増賃金の算定基礎賃金から控除することはできない。
 イ 転勤命令によって、赴任地に家族を帯同せずに単身で住居を設ける場合に支給
  される、いわゆる単身赴任手当は、法令上の別居手当と考えられるので、割増賃
  金の算定基礎賃金から除外することができる。
 ウ 扶養家族数に応じて支払われるものでも、物価手当や都市手当などの名称のも
  のは、家族手当ではないので、割増賃金の算定基礎賃金に含めなければならな
  い。
 エ 毎月ある一定量の目標を突破した場合に、出来高に応じて支払われる奨励手当
  は、割増賃金の算定基礎賃金には含まれない。
第26問(H23)
  次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 近年、具体的な製品価格の決定に当たり、PSM(Price Sensitivity Measurement)
調査という方法が利用されるようになっている。PSMの基本的な考え方は以下の
とおりである。
 まず、消費者の受容価格に関する次の4つの質問がなされる。
@ どの価格で、その製品があまりにも安いので品質に不安を感じ始めますか。
A どの価格で、品質に不安はないが、安いと感じますか。
B どの価格で、その品質ゆえ、買う価値があるが、高いと感じ始めますか。
C どの価格で、その製品があまりにも高いので品質が良いにもかかわらず、買う
 価値がないと感じますか。
 下図の曲線a〜dは、この4つの質問に対する回答を示しており、aとbは価格
の低い方からの、cとdは価格の高い方からの累積回答率でグラフ化されている。
第26問図
(設問1)
 調査の質問@〜Cと、それぞれの回答率を示した図中の曲線a〜dの組み合わ
せとして最も適切なものはどれか。

 ア @:a  A:b  B:c  C:d
 イ @:a  A:c  B:b  C:d
 ウ @:b  A:a  B:d  C:c
 エ @:c  A:d  B:b  C:a
 オ @:d  A:c  B:a  C:b
(設問2)
 この図から読み取ることのできる消費者の受容価格帯として最も適切なものは
どれか。

 ア AB
 イ AC
 ウ AD
 エ BC
 オ BD
第27問(H23)
  次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 多くの製品がコモディティ化している今日の成熟市場では、消費者にとって価値
ある@ブランドを創造・提供することが重要である。顧客ベースのブランド・エクイ
ティという概念によれば、ブランドの強さは消費者の□ A □によって決まる。
 □ A □は、□ B □と□ C □という2つの次元から構成される。強い
ブランドを構築するためには、Aブランド要素の選択、支援的マーケティング・プロ
グラムの開発、二次的な連想の活用によって、深く広い□ B □と、強く、好ま
しく、ユニークな□ C □を獲得する必要がある。

(設問1)
 文中の空欄A〜Cにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものはどれ
か。

 ア A:ブランド・アイデンティティ  B:ブランド知識
   C:ブランド・イメージ
 イ A:ブランド・イメージ      B:ブランド知識
   C:ブランド・ロイヤルティ
 ウ A:ブランド・ロイヤルティ    B:ブランド認知
   C:ブランド知識
 エ A:ブランド知識         B:ブランド認知
   C:ブランド・イメージ
 オ A:ブランド認知         B:ブランド・アイデンティティ
   C:ブランド・ロイヤルティ
(設問2)
 文中の下線部@に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 成功している既存ブランドを利用することで、迅速かつ低コストで新製品を
  導入することができる。
 イ 製品ミックスの整合性が低下するほど、企業ブランドによって製品の意味を
  明確化する必要がある。
 ウ プライベート・ブランドは、ナショナル・ブランドと比べて、売上高に占め
  る販売管理費が低いため、相対的に高い粗利益率を確保できる。
 エ ブランドによって、製品に対する消費者の知覚が変化することがある。
 オ ブランドの最も基本的な機能は、ある企業の製品を他の企業の製品から区別
  する識別機能である。
(設問3)
 文中の下線部Aに関する以下の文章の空欄A〜Cにあてはまる語句の組み合わ
せとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 ブランドは様々な要素から構成され、それらによって消費者はブランドを知覚
する。
 □ A □は視覚と聴覚に訴求することができるとともに、言語的な意味性も
備えることができる。□ B □は聴覚のみへの訴求だが、言語的な意味性は高
い。
 □ C □は、視覚だけでなく触覚にも訴求できる点に特徴がある。

[解答群]
 ア A:キャラクター    B:パッケージ   C:スローガン
 イ A:ジングル      B:キャラクター  C:ロゴ
 ウ A:パッケージ     B:スローガン   C:ジングル
 エ A:ブランド・ネーム  B:ジングル    C:スローガン
 オ A:ブランド・ネーム  B:スローガン   C:パッケージ
第28問(H23)
 市場調査において一次データを収集するための調査方法に関する記述として、最
も不適切なものはどれか。

 ア インターネットによるサーベイ調査は低コストで短期間にデータを回収できる
  が、面接法や電話法ほど正直な回答が得られない。
 イ 観察調査は客観性と正確性に優れているが、収集できるデータのタイプには制
  約がある。
 ウ グループ・インタビューでは、回答者の反応に応じて機動的な質問ができる
  が、調査の成否がインタビュアーの力量に大きく左右される。
 エ 実験法によって、特定の要因間の因果関係を明らかにすることができるが、そ
  の他の要因の影響を統制できなければ実験結果を信頼することはできない。
 オ 留置法によってサーベイ調査を行うことによって質問票の回収率と調査結果の
  信頼性を高めることができるが、調査コストは高くなってしまう。
第29問(H23)
 ある地方都市の小規模菓子メーカーA社(資本金3,000万円)は、クッキー、ビ
スケットを中心に安心、安全な菓子作りに取り組んできた。低カロリーのクッキー
は同社の主力商品であるが、健康志向の高まりによって大手メーカーも同様のクッ
キーを製造・販売するようになっており、売上は伸び悩んでいた。また、低カロ
リーのクッキーは、カロリーを抑えるために砂糖を使わず、乳脂肪分を控えている
ため、従来のクッキーに比べてどうしても甘みや口当たりに劣っており、その購買
者は限られていた。
 しかし最近A社は長年の努力の結果、低カロリーながら従来のクッキーに勝る
とも劣らない味を実現する新技術の開発に成功した。同社ではこの画期的な技術に
よる新製品を今後の存続・成長の柱として育てるために、慎重にその市場導入の方
法を検討している。この新製品の「低カロリーでおいしい」というベネフィットは、
十分に消費者に知覚されるものであることが調査によって確認されていたので、価
格は1箱380円(20枚、80グラム)と従来製品よりも150円ほど高い価格を設定
し、これを堅持したいと考えていた。
 この新製品の流通経路政策として、最も不適切なものはどれか。
 なお、現時点での同社の売上は9割が地元スーパーチェーン、1割が自社のホー
ムページによるものである。

 ア インターネットによる直接販売を強化するために、自社ホームページに加え、
  インターネット上のショッピングモールに出店する。
 イ カロリー摂取に敏感な人が多くいると考えられる病院やホテルの売店で販売す
  る。
 ウ 新製品の付加価値をアピールするために、地元の洋菓子店を新たな販路として
  開拓する。
 エ 販売量を拡大するために、全国チェーンの大手スーパーにプライベート・ブラ
  ンドとして供給する。
第30問(H23)
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 電通『2009年 日本の広告費』によれば、日本の2009年の総広告費は2年連続で
減少し、5兆9,222億円となった。特に@マスコミ4媒体の広告費は5年連続の減少
を記録した。こうした状況のなか、企業のマーケティングにおけるAコミュニケー
ション戦略の新たな考え方が登場してきている。

(設問1)
 文中の下線部@に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア 新聞・雑誌といった印刷媒体は、広告変更の柔軟性は高いが、メッセージの
  寿命は短い。
 イ ターゲットを絞り込んで説得的なメッセージを発信するためには、テレビよ
  りもラジオや雑誌の方が適している。
 ウ テレビ広告のコストは、そのリーチを勘案すれば必ずしも高いとはいえな
  い。
 エ テレビ広告の場合、番組CMよりもスポットCMの方がタイミングやエリ
  アについて柔軟な出稿が可能である。
 オ ラジオはほぼ音声による訴求しかできないが、テレビよりもザッピングが少
  ない。
(設問2)
 文中の下線部Aに関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア CGM(Consumer Generated Media : 消費者生成型メディア)の普及に伴っ
  て、消費者が企業のマーケティング活動の成果に及ぼす影響は大きくなってい
  る。
 イ インターネット広告は、成果に応じた報酬を支払う取引が行われるため、費
  用対効果を追求する広告主のニーズに適合している。
 ウ 検索サイトで検索されたときに、検索結果の上位に表示されるよう自社の
  ウェブページの内容を調整することをアフィリエイト・プログラムという。
 エ ニュースサイトやブログ、マスコミ報道や消費者のクチコミなどは、企業や
  ブランドに対する信用や評判を得ることができるため、「アーンド・メディア
  (earned media)」と呼ばれている。
 オ 複数の広告媒体を活用し、パソコンや携帯電話を通じてインターネットでの
  検索や購買といった効果を発揮させることを目的とした媒体戦略は、クロス・
  メディアと呼ばれる。
第31問(H23)
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
 品揃えの中心が□ A □であるスーパーマーケットでの購買行動の多くは
□ B □の□ C □であるため、消費者が購買するブランドの決定にインスト
ア・マーチャンダイジングが大きな影響を及ぼす。インストア・マーチャンダイジ
ングとは、小売業の店頭活動であり、店内のフロア・レイアウト、商品陳列、店内
プロモーションを内容とする。

(設問1)
 文中の空欄A〜Cにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものはどれ
か。

 ア A:買回品  B:高関与  C:非計画購買
 イ A:買回品  B:低関与  C:計画購買
 ウ A:最寄品  B:高関与  C:条件購買
 エ A:最寄品  B:低関与  C:計画購買
 オ A:最寄品  B:低関与  C:非計画購買
(設問2)
 インストア・マーチャンダイジングの手法のひとつであるクロス・マーチャン
ダイジング(クロスMD)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 ア クロスMDによって、買物における消費者の情報処理負荷を軽減すること
  ができる。
 イ クロスMDによって消費者の購買点数を増加させることができる。
 ウ クロスMDの有効性は、他商品との組み合わせ購買が生じる確率(条件付き
  購買確率)を通常の購買確率で除したリフト値によって判断することができ
  る。
 エ クロスMDは、小売業者の商品部門間のコンフリクトを低下させる。
 オ メーカーが小売業者にクロスMDを提案する場合には、自社製品だけでな
  く他社製品の売上増にも寄与する提案が望ましい。
第32問(H23)
  次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 ある地方の山間部の温泉地で旅館を経営しているB社は、当該温泉地を代表す
る老舗高級旅館で、高サービス・高価格を特徴としている。その主要な顧客層は比
較的裕福な中高年層であるが、景気の悪化の影響もあり、ここ数年来客数が減少し
ており、客室稼働率の低下に悩まされている。このような状況への対策として、同
社は顧客満足度の向上に取り組もうとしていた。

(設問1)
 物財と比べたときのサービス財の一般的特徴に関する記述として、最も不適切
なものはどれか。

 ア サービス財の場合、買い手がその生産に関与し成果に影響を及ぼす。
 イ サービス財は需要の変動が大きいため、物財よりも多くの在庫をもたなけれ
  ばならない。
 ウ サービス財は生産と消費を時間的・空間的に分離して行うことができない。
 エ サービス財は物財と比べて品質を標準化することが困難である。
 オ サービス財は無形であるため、物財に比べ、利用前にその品質水準を評価す
  ることが難しい。
(設問2)
 B社の顧客満足度向上に向けた具体的施策として、最も不適切なものはどれ
か。
 ア 従業員の研修を徹底し、接客技術・知識の向上を図る。
 イ 従業員の表彰制度などを導入して、従業員のモチベーションを高める。
 ウ 接客のマニュアル化を徹底してサービスの標準化を図る。
 エ 料理、客室の調度品や寝具、温泉施設などに関する顧客の苦情やリクエスト
  などをデータベース化する。
 オ 料理の特徴・楽しみ方や温泉の効能・利用方法などを顧客に分かりやすく説
  明する。